東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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共に誓った ユー・アンド・ミー

仮面ライダースーパー1』簡易構成分析(ジンドグマ編)

 遅ればせながら、『スーパー1』後半の軽いまとめ。

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◆第24話「レッツゴー!! ジュニア・ライダー隊」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
◆第25話「飛行機も吸いよせる!! 強力磁石怪人」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
◆第26話「時計にご用心? ジンドグマの罠!!」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:伊上勝
◆第27話「子供の味方! チャイルドXの正体は?」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:土筆勉)
◆第28話「人間を写しとる 怪奇ビデオ怪人!」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝
◆第29話「雨あめ降れふれ! 怪奇傘男!!」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
◆第30話「悪の超特急! ローラースケート怪人」◆ (監督:小西通雄 脚本:伊上勝
◆第31話「人間を吸い込む! スプレー怪人の恐怖」◆ (監督:小西通雄 脚本:鷺山京子)
◆第32話「ライダーを餌にしろ! 釣り竿怪人出現」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝
◆第33話「みんなで闘おう! 恐怖のラジコン怪人」◆ (監督:山田稔 脚本:富田祐弘
◆第34話「マサルがひろった 魔法の赤ランプ」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
◆第35話「怪奇イス人間! 処刑の部屋!」◆ (監督:冨田義治 脚本:伊上勝
◆第36話「ハサミ怪人のチョキンチョキン作戦!!」◆ (監督:冨田義治 脚本:吉田耕助)
◆第37話「巨腕コマ怪人! 灯台の死闘!!」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝
◆第38話「危い! 冷蔵庫怪人の中に入るな!!」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
◆第39話「強力ライター怪人の弱点はどこだ!!」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:伊上勝
◆第40話「あっ人間が溶ける! 石けん怪人出現」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:吉田耕助)
◆第41話「動物園の一也・水中檻から脱出不能?」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:江連卓)
◆第42話「悪魔元帥の大仮装パーティ」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:伊上勝
◆第43話「世界が凍る!? 扇風機怪人の威力」◆ (監督:山田稔 脚本:富田祐弘
◆第44話「ニョキ・ニョキのびる ハシゴ怪人の魔手」◆ (監督:山田稔 脚本:鷺山京子)
◆第45話「君の考えた最優秀怪人ショオカキング」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:伊上勝
◆第46話「悪魔元帥怒る! 変身せよ鬼火! 王女!!」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:江連卓)
◆第47話「黄金の雨! 幽霊博士最後のワナ!!」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
◆第48話「地球よさらば! 一也 宇宙への旅立ち!!」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
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 ドグマが壊滅して敵組織がジンドグマに代替わりし、ジュニア・ライダー隊が誕生して大幅なテコ入れが行われる後半戦25話の演出・脚本は以下。

 演出〔山田稔:13本 佐伯孚治:6本 小西通雄:2本 冨田義治:2本 奥中惇夫:2本〕
 脚本〔江連卓:9本 伊上勝:9本 鷺山京子:2本 吉田耕助:2本 富田祐弘:2本 土筆勉:1本〕

 大きな変化としては、前作途中で降板した伊上勝が、ほぼ2話に1話ペースで参加しており、代わりに江連・土筆両名の本数が減っている事。土筆さんは第27話が最後となり、メインライターの江連さんは、さすがにラスト3話を担当して格好を付けましたが、もう少しで、後半戦は伊上先生の方が参加本数が多くなるところでした。
 他にも新規の脚本家が2人加わっており、テコ入れ路線変更と共に脚本陣の起用に変化があった様子が窺えます。
 前半戦と合わせて、合計の演出・脚本は以下。

 演出〔山田稔:22本 佐伯孚治:10本 小西通雄:6本 奥中惇夫:4本 田中秀夫:2本 広田茂穂:2本 冨田義治:2本〕
 脚本〔江連卓:21本 伊上勝:10本 土筆勉:7本 鷺山京子:4本 熊谷節:2本 吉田耕助:2本 富田祐弘:2本〕

 演出では、前作に続いて山田監督が20本越えとなり、ラスト2本も担当。
 脚本は、立ち上がりかなり意欲的な設定で“新しいライダー”を描こうとした節が見える江連卓が最多も、後半戦では“ひたすら70年代ヒーローの引き出しを展開していた”伊上勝がメインライターのごとき勢いで参加しており、放送局サイドの編成都合によるらしい番組の路線変更を機に、作品としてはねじれの見える作りとなりました。

 悪の組織の尖兵でもなければ、悪の組織に対抗する存在でもない、シリーズ新機軸の改造人間
 として生み出され、
 一方の柱に“宇宙を目指す科学技術”
 もう一方の柱に“人の肉体と精神面を支える拳法”
 を置く事で、改造人間テーマを足場に「人間とテクノロジーの融合」を描く企図の見えた今作ですが、後半戦に入って拳法要素を実質的に失った事により二本柱のバランスが崩れ、戦闘面ではファイブハンド無双を、キャラクター面では“沖一也のパーソナリティの空白化”を生んでしまったのは、惜しまれるところ。
 特に一也については、後半戦が始まった当初はジュニア・ライダー隊が実質的な主役の座に躍り出て、純然たる“解決装置としてのヒーロー”になりかけていたのですが、30話台半ばぐらいからさすがにその路線に歯止めがかかったのは、ホッとしました。
 ……そうなると今度は、ジュニア・ライダー隊と一也、それぞれの活躍度合いで綱引きが発生し、結局、天秤の片方に一也/スーパー1を乗せ、片方にジュニア・ライダー隊を乗せる方策は、最後まで最適なバランスを見いだせないまま終わり、「ライダー隊が最前線に出てくると画の緊張感が崩壊する」「悪の組織がライダー隊に合わせて大幅スケールダウンしてしまう」といった弊害が目立つ事に。
 前半の路線のまま進めていたら、当初の企図に則ってバランス良く進められたか? というのはまた別のifになりますが(必ずしも、電半の出来が良かったというわけでもなく)、前半の「テクノロジー/拳法」から、後半の「沖一也/ジュニア・ライダー隊」へと、天秤の上に乗せるものが大きく変更された、のが今作全体の構造における特徴、といえるかと思います。
 で、前半はその二つの要素をもって、新しいヒーロー(沖一也)を描こうとしていたけれど、後半は二つの要素の綱引きから発生するヒーロー像というのが特に存在しない……どだい難しかったとは思いますが、そこに生み出されるものを設定できなかったのは、今作後半戦における大きな難点、となりました。
 ……この問題については最後の最後だけ、“宇宙に飛び立ちヒーロー概念に昇華される一也”と“その魂を受け継ぎ地球の未来を担うライダー隊”の形で綺麗に落としこまれ、感想本文でも書きましたが、最終回、原点回帰と本歌取りを重視した《仮面ライダー》の総括という着地を選んだのは、苦しい道行きの中で上手く収まりましたし、今作の導入にあった「宇宙」の拾い方としても良かったところ。
 ……まあ、しばらく「宇宙」を忘れていた為に、よりにもよってラスボスが、スーパー1が宇宙開発の改造人間である事を忘れていた疑惑の発生する大事故を招く事になりましたが(笑)
 後半の敵組織・ジンドグマについては、トップの前でだけ仲の悪い幹部ロールプレイを行うジンドグマ学級会は、良し悪しはあるのも特徴付けにはなりましたし、生物を捨て、無機物(日用品)モチーフに切り替えた怪人は面白アベレージが高くて良かったです。
 ジンドグマ怪人の面白さ=《スーパー戦隊》に寄せた面白さ、といった面はありますが、終盤のハシゴ怪人などは、スーパー1との殺陣の相性も良く、非情に印象的な一体。
 後はもう少し早めに、学級会気分で大規模な悪事を働く“緩さが怖い”を打ち出せれば組織全体の印象も変わったかもしれませんが、上述したように、「沖一也とジュニア・ライダー隊」の綱引きにより生じる『スーパー1』後半戦のヒーロー像というのものが特に存在しないので、それに対するネガ、としての悪の組織像も掘り下げきれなかった感があります。
 本文で何度か触れましたが、『イナズマン』→『イナズマンF』や『ウルトラマン80』の例のように、“劇中で主人公の境遇に大きな変化があった場合”は、一言二言でもいいので、主人公自身に心の整理をさせておかないとアイデンティティが溶けていく事があり、前半~後半の切り替えに際して、一也が宇宙研や赤心寺について何も言及しないまま次に進んでしまったのは、「ヒーロー」「悪の組織」の双方に響く、手痛い失点。
 前半~後半のねじれもありますが、諸々の試行錯誤や工夫を凝らした、シリーズとしては新機軸のヒーロー像を、沖一也という主人公の魅力に繋げきれなかったのは、重ね重ね惜しまれる部分です。
 ただ、そこから最終回、主人公のパーソナルな要素を引っ張り出しきて、ライダー隊ともども、それぞれの象徴するものを示して着地(飛翔)に導き、終わり良ければ……とまでは言いませんが、終わりで空中分解する事なく、殺陣の魅力は最後まで保ちながら、挑戦と定食の間で《昭和ライダー》の一区切り、を描いて一定の責任を取ってみせたのは誠実だったと思える作品でありました。