『救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第31話
◆第31話「切り裂け災魔空間(サイマゾーン)」◆ (監督:長石多可男 脚本:宮下隼一)
私設メカ推し戦隊らしくはありますが、新型ロボの耐圧試験中に、水圧に負けて全滅しそうになった戦隊は、きっと空前絶後。
危うく、歴史に残る壊滅理由になるところでした。
モンドが大慌てでビクトリーマーズの修理と再調整を進める一方、マトイの指示で買い出し(まだカレーだ……)に出た弟妹たちが、サラマンデスの繰り出した吸引サイマ獣の体内へと吸い込まれてしまう。
前回の失態をコボルダとディーナスに追及され、雪辱に燃えるサラマンデス――どうもこう、精神的余裕に欠けるきらいがあるのは若さゆえでありましょうか――は弟妹4人を人質にマトイを呼び出し、これが1980年代なら「地獄谷」とか「悪魔峠」とかにされるところですが、それを避けた結果、「ポイントY18」がゴーゴーファイブと災魔一族で共有されているのも、それそれでおかしな事になって、なかなか難しいなと思った場面(笑)
「来たぞサラマンデス! 弟たちはどこだ!」
「タダでは教えられん。おまえの首と――交換だ」
首をかっ切る仕草から指を鳴らし、自分なりの“格好いい”を模索するサラマンデスと赤が激突し、今回もゴーブラスターによろめくサラマンデス、そろそろ切実にローリング回避を覚えよう、サラマンデス。
「ゴーゴーファイブと、地上の命運、我が手にあり」
『偉大なる龍皇子サラマンデス伝説』の編集により、今回が初陣だった事になったサラマンデスの姿に、災魔一家がそれぞれコメントして下がった株を外野から持ち上げると、サイマ獣を轢こうとしたゴーレッドは、サラマンデスの攻撃を受けて変身解除。
「自分の命を懸けてまで、弟や妹を助けたいのか。愚かな。兄妹などという下らぬものに、そんな価値など無い」
みんな、『偉大なる龍皇子サラマンデス伝説』チャンネルを視聴中なのに、それは口走っていいのか。
「ぬ?! なんだとぉ!」
「サラマンデスの奴、とうとう本音を」
……駄目でした。
むしろ炎属性なので、失言・大炎上を気にした素振りもなくマトイに迫るサラマンデスだが……
「……まるでわかってねえようだな、お坊ちゃんよ」
「?! お坊ちゃん?!」
そこは、気にしていた。
「兄妹だから助けたいんじゃ、命を懸けるんじゃねぇ。それだけじゃねぇんだ! 平和を守る為に戦ってきた仲間だからだ! 楽しいこと……苦しいこと……嬉しいこと……悲しいこと……どんな時も、みんな一緒にぶつかって味わってきた仲間だからだ!」
マトイがサラマンデスにぶつける言葉には、これまでの行動原理からすると、少々違和感があったのですが……
「それがわからねぇサラマンデス。おまえには兄妹は居ても仲間はいねぇっつぅことだ!」
血の繋がっている「家族」は居ても、それはただ“血の繋がっている存在”でしかなく、喜怒哀楽を共にする「仲間」になっていないのだと突きつけ、ヒーローサイドの主題を重視するあまりに、「家族」であれば全肯定される、と持っていきかねない危険な埋設地雷を先回りで解除して、成る程。
異次元格好いいマトイ兄さんを第27話で描いてしまった為にパンチが足りないのもあって、やや強引にはなりましたが、一つの価値観を絶対視する事や、「家族」というだけで相手を理解したつもりになってしまうといった、終盤に顔を出しがちな危険性に対して手を打ってきたのは、先々に効いてきそうです(勿論、よけた地雷をまた踏む可能性もありますが)。
「……あら? 図星だったかな、お坊ちゃんよぉ」
再び着装した赤はVランサーでサイマ獣の腹をかっさばき、サイマ獣の体内空間にVランサーの刃が突き出してくる映像がインパクト大。
往生せいやーーーと刃を立てるも、至近距離でサイマ獣の冷凍ガスを浴びた赤は凍り付いて倒れてダブルノックアウト……かと思われたが、弟妹たちの声が届くと燃えるレスキュー魂で復活し、4人も復活。
が、割とざっくり奇跡っぽくなってしまったのは、惜しい。
以前の回でもやっていましたが、長めの前口上を5人で分担するのは、兄妹戦隊らしさも出て格好いい演出で、ゴーゴーファイブは怒濤の反撃でサイマ獣を葬り去り、偉大なる龍皇子サラマンデス、初陣リターンズ失敗!
アカウント凍結寸前のサラマンデスが冥王パワーで暗黒災魔ゾーンを作り出すと、MVロボは太陽充電が出来なくなり、更に、サイマ獣の力を10万倍に高めるのだ! と物凄いどんぶり勘定によりMVロボが強制合体解除されると、巨大インプ軍団まで湧いて出てきて戦う変化球のロボ戦で、巨大なサイマ獣の頭から攻撃を受けるのは、ほぼほぼ『宇宙刑事ギャバン』の魔空空間(笑)
MVロボが敗北したわけでもないのにビクトリーマーズを地球上で繰り出す理屈として、暗黒災魔ゾーンが設定される一方……現場にビクトリーマーズを搬送してくる為に、予備電源でライナーシャトルが基地に帰還するくだりは、メカ特撮とゴーライナーによる輸送システムにこだわる今作の長短となり、今作としての理屈はわかるし前回の特撮シーンの流用は出来るものの、話のテンポとしては、どうも間が抜ける事になってしまいました。
スペースゴーライナー打ち上げからゴーゴーファイブはマーズマシンに乗り換えて流星合体し、早くも変形プロセス扱いとなったビートル形態から、ビクトリー腹筋してビクトリーマーズが起動。
これに対してサラマンデスは深海ゾーンを作り出し、デビュー戦は宇宙、二戦目は海底、と過酷な環境下での戦いを強いられるビクトリーマーズ、敵の作戦で繰り出された偽コン・バトラーVみたい顔は気になりますが、基本武装の長槍(先端にシャトルミサイル付き)を振り回す殺陣は格好良く、重量級ロボ好きとしては、割と好きになれそうな気がしてきました。
…………しかしふと冷静に考えると、「マーズ」の名前を冠したロボは、結構な危険物なのでは?!
巽博士が勢い余って、負けると地球が消滅しそうな動力を搭載していない事を祈ります。
ビクトリーマーズが敗北する時、地球も同時に消し飛ぶので災魔一族の野望も潰えるのだ!!
(※何を言っているのかよくわからないという方は、マンガ『マーズ』(横山光輝)及び、アニメ『六神合体ゴッドマーズ』をご参照下さい)
……お察しのいい方は、筆者は単に「横山光輝」の名前を出したかっただけではないか、と思われるかもしれませんが、全くその通りで、好きなのです、横山光輝。
閑話休題、深海ゾーンを突破したVマーズは、金の心を持つスピアによるX斬りでサイマ獣を撃破し、勝利のポーズは横顔路線。
天文研究所襲撃を無かった事にした仕切り直しの初陣でも一敗地にまみれたサラマンデスは、ここぞとばかりに厭味を浴びせてくる兄と姉に向けて槍を振り回すご乱心を見せると、龍の冥王を宣言して若頭に正式就任し、『偉大なる龍皇子サラマンデス伝説』はこれからだ!!
今回の作戦失敗は後で、嫉妬に狂う兄姉が足を引っ張った筋書きに差し替えられてライブラリーに収められる予定です。
華々しいデビュー後、脳に栄養の不足気味な兄コボルダを持ち上げてしばらく影で立ち回るのかと思いきや、たった5話で改めて指揮権を主張する事になったサラマンデス……正直これなら、株が最高値だった時の勢いでトップに立ってくれた方が良かった気がするのですが、なんだか非情に微妙なタイミングになってしまいました。
果たしてサラマンデスは、失地回復できるのか!
それともこのまま泥沼にはまってしまうのか!
とりあえず、心の余裕と回避スキルを持ってほしい。