『仮面ライダーBLACK』感想・第6話
◆第6話「秘密透視のなぞ」◆ (監督:辻理 脚本:内藤誠)
美術学校の生徒や著名画家を次々と大鷲怪人がさらっていき、川の上を滑空する大鷲怪人が画家に迫ると、画家を抱えててそのまま飛び去っていく映像はかなりの迫力。
「ふふふふふふふふ……意図が掴めないだと。愚かな人間どもめが」
ゴルゴムではTVのニュースを見ながらダロムが肩を揺らして笑い、
「動機が掴めぬ? 愚かな人間共の発想の貧しさよ」
「まさか、この世から一冊残らず本を消滅させる事が、我がバイオロンの目的とは、夢にも思いませんね。あははははははは」(『機動刑事ジバン』第23話「マンガを喰いすぎた怪物」(監督:岡本明久 脚本:扇澤延男))
わかりませんよ!!
……を思い出さずにはいられなかったのですが、ダロムとドクター・ギバ@バイオロン総帥の声が同じなのがまた、大変困ります。
ゴルゴム、組織としては非常にシリアスかつ悪辣ながら、私の中で3神官のイメージがなんとなく後の『ダイレンジャー』のゴーマ3幹部と被り気味だったのですが、よりによってそこにギバ様まで侵食してきてしまい、とっても困ります(笑)
イメージを具体化する能力に長けた画家たちを透視能力者に育て上げる事により、企業秘密を奪い合う超能力スパイ合戦の末に人類文明の発展を妨げようと目論むゴルゴム、基本的に寿命が長いので気が長いのですが、そうやってのんびり構えている内に、人類文明が思ったより発展してしまったのでは。
「ええい、愚かな人類め。けしからん、この『スーパーマリオブラザーズ』というものは、大変けしからんぞ! 黒松教授に命じて、ファミコンソフトというものを、片っ端から買い集めさせなくてはならぬ!」
ゴルゴム最高会議において、「人類、もう50年ぐらい滅ぼさずにおいてファミコン作らせておくべきかどうか」について激論がかわされたとかわされないとか秋月博士の日記に記されていたらしいのですがそれはさておき、さらわれた美大生の友人を助けた光太郎は、ゴルゴムの出資金を使って人倫にもとる実験を繰り返している超心理学研究所へと潜入し、ライダー生活初のステルスミッション。
一方、首尾良く大企業に送り込まれた透視能力者同士の、企業秘密を巡る超能力ウォーズが始まり……パソコンの画面を見つめながら、互いの設計図を映し出したり潰し合ったりする、だいぶ謎のくだり(笑)
そもそも「画家は透視能力者(劇中描写を見るに、いわゆる「千里眼」タイプ)に向いている」の時点で大きな飛躍があるところに、「透視能力者を産業スパイとして雇う企業」にも大きな飛躍があるので、理屈の飛躍が1エピソードのキャパシティを越えてOBしてしまっているのですが、そこで筋に合わせて飛距離を抑える(劇中での最低限の合理性を持たせる)のに必要な、企業側が能力者をどう受け入れているのか、の部分がスキップされてしまった為に、人間の欲望が自滅の引き金を引くような意味合いも受け止めにくく、ただただ消化しにくいシーンになってしまいました。
勿論、飛躍と飛躍を掛け合わせて隣のホールでホールインワンする場合もたまにはありますが、今回については明後日の空にボールが消えていってしまう事に。
スパイ合戦がダブルノックアウトに終わっていた頃、光太郎は落とし穴に落ちはせずに、実験ラボへと辿り着いていた!
記憶の消去や後催眠による自殺の強要など、人倫を完全に踏み外した博士らに向けて、ゴルゴムと手を切るよう懸命に説得する姿が光太郎の青年らしい真っ直ぐさを示し……思えば光太郎にとって、ゴルゴムの協力者たちはいずれも、亡き義父の分身として現れるのは、非常にきつい構造。
聞く耳を持たない研究者らと乱戦になりかけたところで大鷲怪人が出現すると、怪人により外に叩き出された光太郎は変身し、蒸気を噴き出す全身を見せながらのポーズと名乗り、そこからぐいっとズームイン、の見せ方はシンプルな格好良さが痺れました。
大鷲フラッシュで視覚に異常をきたしたBLACKは、バトルホッパーを召喚。飛行する怪人の後を追って初の主題歌バトルとなり、宙を舞う怪人の背中に飛びつくと、両者空中を移動したまま、BLACKが大鷲怪人の背にチョップの連打を浴びせるのは、ビックリした映像。
そう、ノミなら足! ヤギなら角! ワシなら翼だ!
相次ぐ戦いの中で、順調に殺意を高めていくBLACKに翼をへし折られた大鷲怪人は墜落。これまでよりもちょっと溜めを効かせたライダーキックを延髄に叩き込まれて消滅し、最初の2話ほどはどうなる事かと思いましたが、黙々とした肉弾戦なりに活劇のメリハリを付けようとする点は早急に手が入ってきて、戦闘シーンはだいぶ面白くなって参りました。
画伯と美大生は二人展を開き、美大生友人も快復して大団円となるのですが……“催眠状態における記憶は失っている”事にされたのに、光太郎が被害者2人と顔見知り風味だったり、研究所以外で接点の描かれていない画伯と美大生が親しげだったり、とだいぶ不自然な着地となり、アクションシーンにおける、吊り! 吊り! 吊り! は凄かった一方、話の内容には雑さの目立つ一本でした。
ゴルゴムに与していた超心理学研究所も、シリーズ従来作よろしく派手に消し飛ぶわけでもないので若干の据わりの悪さは生まれ、こちらについては援助金が打ち切られるとか、更に地下に潜るとか、で一定の納得はできますが、表向き地位も名誉もある一般人が積極参加している組織形態だと、頻繁に爆破オチさせ辛いのは、悩ましい部分にはなりそうです。
…………まあ、その内に光太郎が、「ヒーローが基地を破壊するのは天然自然の法則」に覚醒する可能性はありますが。
次回――ば、バトルホッパーーーー?!
ホッパーのアニキに迫る危機!
ナレーション「立て! 我が友バトルホッパーよ。もう一度、あの爆音を聞かせてくれ」
が大変格好良かったのに、サブタイトルがまた、もう少しなかったの?! な感じですが、今のところ割と、サブタイトルがぞんざい。
私、インテリジェンスソードとか、“人格(ないし意識らしきもの)を持った無機物の相棒”が割とツボでして、バトルホッパーは初回における命の恩人ポジションからもポイントが結構高いので、早々にスポットが当たってくれるのは嬉しい。