『大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第46話
◆第46話「超エネルギー出現」◆ (監督:東条昭平 脚本:曽田博久)
「待って下さい。未来科学研究所は、戦うだけの組織ではなかったはずです。どんな時にでも、素晴らしい未来を築く事を忘れてはいけません。平和で公害も無い未来都市、まさに未来科学が目指す世界ではありませんか!」
未来科学研究所に所属する青年科学者トオヤマが行った未来都市計画のプレゼンは、デスダークと戦っている真っ最中に空気を読みなさい、と非難囂々のまま頓挫しそうになっていたが、赤間が割って入って一席ぶると会議の空気はガラリと変わり、たった5人で最前線で戦っているゴーグルVの発言権が、大変強い!
赤間の援護射撃によって委員会で承認された未来都市計画は、数十年単位で計画が進められていく事になり、
「それじゃ僕たちが大人になったら手伝いますね」
「頼むよ。待ってるからね」
というのはまさに今作のコアで、導入で最終局面にふさわしい空気を作っていくのは、曽田先生、さすがの終盤力。
かくして動き出した未来都市プロジェクトの端緒として地質調査を始める研究チーム4人だが、富士山麓において、土木作業中のデスダークとばったり遭遇してしまうアクシデントが発生。
スカンクガスを浴びせられた4人は、まるで阿片中毒者のように酩酊して幻覚を見るようになると、未来都市の幻覚を追いかけて崖からダイブし……超えぐい。
調査班の遭難を知ったゴーグルファイブは現地へ向かうと流れ着いた荷物を確認し、自身が会議で後押しした事が結果としてトオヤマの死を招いたことを悔いて荷物を握りしめる赤間の心情の示し方が格好良く、悲嘆に俯く赤間は、荷物に付いた独特の香りに気付く。
「大変です! 赤間健一が近くをうろついています!」
香りの痕跡を探そうと単独で飛び出した赤間は、山中でスカンクガスを浴びせられると、亡きトオヤマが呼びかけてくる幻覚の中を彷徨う事になるが、変身そしてゴーグルアイにより森に潜むスカンクモズーを発見して反撃。
「モズー! 幻覚ガスを操るとみた。トオヤマを殺したのは貴様か!」
ゴーグルレッドは急に、見た事もない青白く光る電光サーベルを振り回して戦闘員を蹴散らすと、単独でのレッド風車から謎の光弾まで放ってターザンキックを怪人に叩き込み、本日のレッドは、忘れかけていたボウケンスピリットが全開だ!
デスギラーらが増援に現れ、ゴーグルファイブも合流すると、開けた場所で大規模な戦いに入りかけたところで、突如、一同を襲う巨大な地割れと崖崩れ。
デスダークが掘り進めていた洞穴の奥で爆発が起こると、赤熱する謎のエネルギー体が姿を見せて全員その場からの逃走を余儀なくされ、それこそ、デスダークが探し求めていた超エネルギー体・ハイトロン!
前作-前々作では、クライマックスフェーズ突入の仕掛けとして、物語終盤にテコ入れ第三勢力が投入されましたが、今作ではテコ入れエネルギー体が投入されると、巨大隕石由来の未知のエネルギーかもしれないと分析され、遥か昔、総統タブーが地球に飛来した際に乗ってきた隕石が元、みたいな接続もありそうな雰囲気に。
トオヤマの仇を討つべく、事の真相を突き止めようと敢えてデスダークに捕まった赤間は、背中にぴこぴこ0号を背負ってハイトロンに近づく坑道のカナリアの役目を担い、激しく震動する洞穴と赤熱するエネルギー体、赤間救出の為に飛ぶゴーグルシーザー、はなかなかのスペクタクルで、カタストロフの予兆で映像的な盛り上げを作ってきたのは良かったポイント。
トロッコの影に隠れながらデスギラーは赤間をせっつき、背負ったぴこぴこ0号は、分析装置とかではなく、脅迫用の爆弾でした(笑)
銀ぴかでえらくゴテゴテしており、最初から爆弾のつもりで作ったようにはとても見えないのですが、一体どこから出てきたのかこのプロップ。
ハイトロンの膨大な熱量を前に立ち往生する赤間が爆殺寸前、仲間達が駆けつけるとデスダーク一味を挟み撃ちにする格好になり、爆弾を放り捨てた赤間は変身……て、え、今回はブレス、取り上げてないの……?!
が、大きすぎる穴になりすぎましたが、一同、その場を離れて仕切り直し、未来を賭けて戦え! 大戦隊!
スカンク暗黒ガスによる悪夢の空間に囚われたゴーグルVは、鐘撞き、巨大送風機、無数の風船などなどに次々と襲われ、前半の電光サーベルに続き、だいぶ露骨に、同期『宇宙刑事ギャバン』風味。
幻覚攻撃に苦しみながらもスカンクモズーの居場所を見切ったゴーグルVは、ゴーグルシャワーで暗黒ガスを浄化。クライマックス突入の勢いか、最近は控え目だった一発解決スキルが次々と繰り出されると、逆転の主題歌と共にゴールデンスピアーを発動し、アターック!
ガス爆弾で攻撃してきたスカンクコングはざっくり電子銀河斬りで撃破するが、富士山麓からはハイトロンのエネルギー放射が続き、そこに出現したデストピアが、ハイトロンのエネルギーを取り込み、回収。
城内ではデスダーク一同がげへげへ笑うと世界征服に向けてテンションを高め、
「デスダークは世界を征服するぞ!」
「「「おー!!!」」」
大変不安を誘う球技大会ノリで、つづく。
クライマックス突入開始、現時点では赤間がハイトロンに命懸けで近づいた意味が敵味方双方にとってあまり無かった、という事になってしまい、映像のスペクタクルは良かったものの、スペクタクルの為のスペクタクルでしか無かったのが(窮地の脱出方法も含めて)残念になりましたが、導入部は良かったので、最終決戦が盛り上がる事に期待したいです。
次回――最終兵器あらわる!