『大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第45話
◆第45話「二人のブラック!」◆ (監督:服部和史 脚本:松本功)
パトロール中、道ばたに倒れていた女性を助けようとした青山(最近はどうして、飛羽みたいな衣装なのか)だがそれはデスダークの罠で……なんかこの、狸だらけの寺、後の『ファイブマン』に出てきたような……?
「ゴーグルブルー、おまえが最後。これでゴーグルファイブは全員、私のアクションカメラに収めさせてもらったよ」
タヌキモズー&配下の忍者軍団と戦うブルーの姿を物陰からマズルカが激写すると、目的を果たしたデスダークは撤収。
青山が基地に帰ると、メンバーそれぞれ、そういえばストーカーの気配が……と思い出すのは芸が細かく、デスダークでは何故か今更、ゴーグルファイブについて細かく分析していた。
「どう? 誰に化けやすい?」
「誰でも同じです」
ゴーグルファイブのデータを頭に入れた狸モズーはその場で赤間に化けてみせ、声は怪人のままだが、がに股で自慢げな表情を見せる赤間が面白く、変身ネタの楽しいところをきっちりやってくれます。
総統タブーと大元帥は偽物作戦に大はしゃぎをし、狸モズーは声音や細かい仕草を完全コピーする標的をブラックに決め……何故、よりによって、チーム最強の男を(笑)
顔の邪悪な狸モズーは、腹の鼓を打ち鳴らすと河川敷で子供をさらい、ゴーグルファイブを挑発。追いかけてきた黄と桃を待ち伏せするも、駆けつけた赤黒青にゴーグルスティックをぶつけられ、物凄い勢いで二回転しながら砂山を転げ落ちる狸モズー、くったり人形では無いっぽくて割と凄い。
狸モズーは逃走を装って意図的にブラックを遠ざけると、そのブラックに変化して他のメンバーと合流し、今作定番にして難点である、“複数回の小競り合いがくどくなりがち”に対して、“複数回のバトルを行う意味”をデスダーク側に持たせたのは、面白い一工夫でした。
狸ブラックは素知らぬ顔でゴーグルファイブに混ざると、一緒に帰還しての基地潜入を目論むが、割とあっさり本物ブラックが戻ってきて、一同困惑。
「ブラックは俺だ」
「俺がブラックだ」
「全くそっくり。見分けがつかないわ」
まあこういう時は大体、両方まとめて撃つが正解ですね。
と思ったら、二人は『バトルフィーバーJ』辺りで流れそうなビッグバンド系のBGMに乗せて自発的にクラブをぶつけて戦い始め、さらっと武装までコピーしている暗黒科学と、本物に匹敵する身体能力を見せる狸ブラック。
赤青黄桃もコンボガも、これといって絆スキルを発動できずに観戦モードに入る中、熾烈なバック転と戦いは続き……
「腕も互角だな……」
「よーし、仕方がない。両方まとめてゴールデンスピアに耐えてもらおう」
じゃなかった、
「よーし、仕方がない。こうなったらスーツを脱いで黒田に戻ってもらう」
ところが両者は、スーツを脱いでも瓜二つ。そのまま生身での殴り合いに突入してらちが明かず、見つめる内にポンと手を打ったゴーグルレッドがひらめキング。
「そうだ。本物の黒田だったら、あの鉄塔の上から、飛び降りることが出来る筈だ」
素晴らしいアイデアを思いついた、みたいな調子で、身内に向けて朗らかに高所からの飛び降りを要求する赤、なんか今、ゴーグルファイブの絆ゲージと引き換えに、ゴーグルレッドの面白ゲージが急上昇しているのですが!!
結局、撃って溶けたら異星人だ、に辿り着く偽物判別法ですが……これ、タヌキモズーが赤間に化けて、
「本物の赤間だったら、あの鉄塔の上からロープで下りて来られる筈だ」
で見たかったですね!!
果たして、ロープが切れて途中で落ちた方が本物の赤間なのか、それとも狸の赤間なのか……。
ここでAパートが終わり、黒田以外の4人はずっとスーツ姿のまま、偽物作戦に対する真贋判定がひたすら現場で続く、というなかなか珍しい組み立てで、多分ゴーグルアイを使うと一発で正体判明するのですが、赤間健一は恐らく、この機会を利用してチームリーダーとしての権威を強めようと画策しています。
Bパート入るや、黒田1号はジャンプに成功して鮮やかに着地するが、黒田2号は着地に失敗した衝撃で狸モズーの正体を曝し、だから、どうしてチーム最強の男に化けたの?!
答はCMの後に引っ張って早々、筋力により問題が解決してしまうと、一度アジトに逃げ帰った狸モズーはデスギラーに説教されて標的を変更。今度は人質にされた少女たちを送り届けたピンクに成り代わるが、そんな事もあろうかと合言葉を決めていたゴーグルファイブとの頭脳戦に敗れ、殺った! ゴールデンスピアー! は回避されました。
二度までも得意技を破られ、自棄になって基地爆破計画を白状したタヌキモズーを相手に戦え大戦隊となり、ここ数話は、80年代半ばぐらいまでの特徴といえる、画面を広く使ってバラバラに動き回る5人をカット割り少なめで次々と見せていく形の集団戦が続きます(好き)。
タヌキ忍者軍団がデスダークファイブになって、ゴーグルファイブvsゴールファイブの構図は画として楽しく(偽物の武器は真っ黒にする事で視認性もよし)、見た目はゴーグルファイブでも中身は所詮戦闘員なので、ザクザク撃破。
残る狸モズーとゴーグルブラックの忍法対決となり、将棋忍法でタヌキモズーを圧倒する黒、影からブラックジュニア軍団を作り出すブラック分身の術が凄く怖いのですが……歩かと思ったら10体居たので、二歩でした。
狸モズーはゴールデンスピアーの餌食となり、狸メカや隠れ身の術を操る狸コングは、ゴーグルサンダーで弱ったところを電子斬りの露と消えるのであった。
ナレーション「信じ合える事は、素晴らしい。人間は、タヌキや、キツネではないのだから」
冒頭に出てきたお寺でコンボガ一同がタヌキを見て回っていると黒田が驚かすほのぼのした一幕から、ナレーションさんが綺麗にまとめに入りましたが……えー……今回のエピソードのどこかにありましたっけ、「信じ合う」要素(笑)
まっことブラックなオチでありました……ラストは、コンボガのみならずコンピューターお姉さんも外出して和気藹々に加わる大変珍しい形で、一同、タヌキ像の間から顔を出して、つづく。
アベレージあまり高くない松本脚本としては、『ゴーグルV』の縛りをどう“物語の面白さ”に繋げるのか? の点に工夫があり、終盤で悪くない一本でした。
サブタイトルほど黒田回でも無かったですが、その黒田回としての要点を、チームの絆でも優れた科学力でもなく、身体能力オンリーで解決してみせたのも、ここまで割り切っていると好み(笑)
中盤、黒田以外はほとんどスーツ姿で通す映像に製作サイドの事情を感じさせつつ、コピー忍法の都合を上手く組み合わせてメタ解決を試み、黒田についてはやや不自然な繋ぎを連発して力技で一人二役アクションさせるのも独特の味わいになり、色々な意味で黒田がもはや忍者と一体化していますが、既に次作『ダイナマン』の撮影も並行していた頃合いかもしれません。
次回――いよいよクライマックス突入…………なのか?
そして赤間が背負っているのは、ぴこぴこ0号?!