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物事の基本はいつも筋トレ

大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第44話

◆第44話「あ! 食べ物が砂に」◆ (監督:山田稔 脚本:鷺山京子)
 冒頭にメンバーの筋トレ風景が描かれ、鉄アレイを自分の足に落とした黄島が大騒ぎしていた頃、街に現れたコンドルモズーの起こした砂嵐により、あらゆる食べ物が砂と化してしまう!
 砂まみれ、どころではなく、人の触れた物体の組成そのものが砂になってしまい、久々に、暗黒科学にしては普通に凄い!
 トレーニング中だったゴーグルVは怪事件発生の連絡を受けて出撃していき、もうそろそろ番組が終わりそうな頃合いではありますが、組織的活動のディテールを掘り下げ。
 デスダークでは、コンドル砂嵐は人体に特殊な砂を付着させ、それに電波を送ることで食べ物を砂に変えてしまう種明かしが行われ、
 「勿論、砂は洗っても落ちません」
 を強調するのが、暗黒科学を感じさせます(笑)
 「やれぃ! 人間どもが飢えと渇きにのたうちまわり、一人残らず死に絶えるまで」
 かくして大々的な人類飢餓作戦が展開すると水も飲めない人々が生命維持の危機に陥る深刻な状況下、ゴーグルVはコンドルモズーをスティックで撃墜するが、逃走を許すと黄島が砂嵐を浴びてサンドタッチ体質になってしまう!
 触れたものみな砂と化し、飲み食いできずに街を彷徨う黄島の姿がコミカルタッチに描かれるのですが……むしろ研究所で徹底的に モルモットに 分析した方がいいのでは(笑)
 (なんのこれしき……俺は、ゴーグルイエローだ。お腹がすいても、ひもじうない。デスダークを倒すまでは……パトロールを続けるぞー)
 気概を見せる黄島だが絶食3日目は心身にこたえ、公園のブランコに座り込んでいたところに姿を見せたのは、おか持ち片手の女スパイ・マズルカ
 「飲まず食わずでご苦労様」
 出てくるなり正体はバレるので、コックのコスプレは、純粋な趣味です。
 おか持ちの中から料理の皿を取り出したマズルカは、正義を取るか、食物を取るか、鳥の照り焼きで仲間を売れ、と黄島に取引を持ちかけ、音楽はコミカルですが、やっている事は相当えぐい。
 背に腹は替えられぬ……悪魔の取引を飲んで廃墟のような人生を送るべきか抗うべきか、崖っぷちに追い込まれる黄島……あ、食べた。
 一つ食べた後、二つ目に食いついたところで再び砂に変えてしまうデスダークのやり口が大変えげつなく、マフィアはだしの拷問による「生死を巡る駆け引き」を映像上は「食事の皿」に落としこむ事により、作風の範囲内で成立させつつ黄島の揺らぎを飲み込みやすい形で表現しているのは、今回の大変良かったところ。
 「私たちの味方になるのよ。そうすれば、好きなものをいくらでも食べられるわ」
 追い詰められた黄島の返答は……描かれずにシーン変わると、鬼の形相の黄島がパトロール中の赤間に猛然と襲いかかり、歩道橋での生身バトルに突入。
 「赤間ぁ、おまえの負けだ! おまえの弱点は、トレーニングで痛めた、右足だ!」
 《スーパー戦隊》での“裏切り”展開は、シリーズの基本として虚偽前提になる為、灰色の状態で引っ張っても面白くなりにくいのですが、取っ組み合いの最中に、冒頭を伏線として自らの怪我を赤間のものだと口にする事により、攻撃が芝居であると伝えるのは、これまた秀逸な一手。
 マズルカが監視する中、黄島の思惑を知った赤間は、目と目を合わせて一瞬笑うと、場所を移して茶番バトルを継続。
 「行くぞ! ゴーグルイエロー!」
 「よぉし、こうなったら仕方がない!」
 だいぶ棒読みで返す赤間が面白い(笑)
 両者変身しての一騎打ちとなると、“弱点の足”を狙われて斜面を転がり落ちたレッドはボールの直撃を受けて吹き飛び、黄島の発言が“赤間へのメッセージ”になると同時に、事態の推移を監視するデスダークにとっては“イエローがレッドを倒す説得力”になっているのは、鮮やか。
 かくして鳥の照り焼きに目が眩んだ裏切り者として、ゴーグルレッドを葬りデスダークに鞍替えしたゴーグルイエローだが、そう簡単には信用されずに牢屋に閉じ込められ、デスイエロ軍曹の拝命はお預け。
 さっそく牢屋を脱出するも、腹の鳴る音でバレてしまうとコンドルモズーに破れかぶれの体当たりを仕掛けた黄島は、結果的に砂化マシンの破壊に成功。部屋の中にあった果物を鈍器代わりに握りしめた拍子に状態異常の回復に気付くもデスダークに消されそうになる黄島だがその時、黄と赤の連携によりアジトを突き止めたゴーグルVが逆包囲を仕掛けると奪われたブレスも取り戻し、ゴーグルイエロー!
 戦闘員を蹴散らし、黄とコンドルの一騎打ちとなり、コンドルマサカリ白刃取りから赤が一蹴り入れると、メガトン分身魔球、そしてゴールデンスピアー!
 やたらと、片足あげて両手を広げたポーズを取るコンドルモズー(サ、サンバルカン体操……?)はリフレッシュされてコングへ乗り込み、宙に浮かぶ巨大なコンドルコングと、それを画面手前で見上げるゴーグルVの合成は、インパクトがあって面白い画になりました。
 空中からミサイルを飛ばしてくるコンドルコングの回転攻撃に翻弄され、トマホークがコックピットを貫いて青が殉職しかけたりするが、カウンターでゴーグルフラッシュを浴びせて撃墜すると、大竜巻でダメージを与えてから地球圏電子銀河斬りでフィニッシュし、もう少し、コックピット部分の装甲を強化してあげてほしいゴーグルロボでありました(3回以上は死にかけてる記憶……)。
 ラストは、拠点で三日分の食事を次々と胃袋に放り込んでいく黄島の背後で、赤間と黄島の阿吽のやり取りについての解説が入り、青山は、すっかり黄島の後輩みたいなスタンスで、つづく。
 後半は、毎度ながらバトルシーン枠のがっちり決まっている『ゴーグルV』らしいざっくりした逆転劇になりましたが、定番の食糧パニックアイデアからメンバー個人に悪魔の取引が持ちかけられる一ひねりと、実質拷問シーン&偽の裏切りの伝え方が巧く、なかなかの秀逸回でした。
 次回――クライマックス前のテコ入れは、まだ、来ない。