東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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大魔女危機一髪

救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第25-26話

◆第25話「大魔女降臨の時」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希
 OP冒頭が、巨大な悪魔の手が地球を押し潰して爆発させる映像に替わった他、VランサーやVモードブレスなどアクションも幾つかカットが変更されて、OP映像がマイナーチェンジ。
 ナレーション「――今、まさに、グランドクロスが完成しようとしていた」
 巽兄弟が迫る“その日”を前に緊張を隠せず苛立つ一方、ジルフィーザ(ここで名前を出してくれたのは良かった)の遺したカードから司祭サイマ獣ハレルヤンが生み出され、災魔一家は遂に、大魔女降臨の儀式を開始。
 (とうとう始まったのか!)
 都心上空に巨大な暗雲が生じると落雷が高層ビルを吹き飛ばし、ゴーゴーファイブ緊急出動!
 「何があろうと、この街は俺達の手で守る!」
 相次ぐ落雷の被害に兄弟は手分けして救急マシンを出動させ、大魔女降臨編だから、と戦闘一本槍にせず、前振りにレスキュー活動を絡めるのは、今作らしいアプローチ。
 5人のレスキュー活動(メカ特撮は過去映像でカバー)とサイマ獣による儀式の進行が交互に描かれ、落雷の地点からなにかに気付いたモンドは、マイナスエネルギー観測装置をバイクにつけて走り出し……急に、凄く手作り感(笑)
 「マイナスエネルギーよ、魔方陣に満ちるがーーー!」
 「……いったい、なんだあれは……?」
 「儀式だ。大魔女をお迎えする為のな!」
 ゴーゴーファイブ懸命のレスキューが続く中、「マイナスエネルギーの研究」とか「グランドクロスが……」とか言い出した当初はこんな感じだったのかもしれない、と街の愉快な発明おじさん寄りになったモンドは一人、儀式の場に辿り着くと地下に作られた祭壇を目にするが、直後、コボルダに発見されてしまう。
 Sっ気の強いディーナスがモンドの顔を知っていた事から(コボルダは微妙)、グランドクロスにより地球に集まるマイナスエネルギーを濃縮して大魔女へと送り届ける儀式の完成を、間近で見せつけられる事になるモンド――
 「いよいよ地球の破滅。楽しみね」
 だがその時、レスキュー活動に目処を付けたゴーゴーファイブが、天に向かって伸びる光の柱に気付くと、5人揃って緊急カチコミ。
 儀式に銃弾で待ったをかけると災魔一家との総力戦となり、モンド・ドス・アタック!
 東映伝統芸の炸裂から怯んだ司祭サイマ獣はVマシンガンで蜂の巣になり、『仁義なき戦い』のテーマ曲が流れかかるが、おもむろに再起動すると多分マイナスパワーで自らを巨大化させ、典型的な「やったか?!」なのですが、特に死んだフリをする必然性が感じられなかった為(なにぶん、敵としての格が低いので撃破の達成感が薄い)、安易なサプライズで話の腰を折ってしまった印象。
 儀式の阻止はならず、とうとう大魔女の顔が上空に浮かぶと地球は闇に包まれ大津波ベイエリアに迫り、虹彩が縦に細長いのがヘビを思わせる事もあり、大枠ではギリシャ神話のメデューサを彷彿とさせる大魔女グランディーヌ様、なにやら今週はこんな事ばかり書いていますが、とにかく、顔が、怖い。
 コボルダとディーナスがおもむろに帰宅すると、ゴーゴーファイブはビクトリーロボとライナーボーイを繰り出して司祭サイマ獣を止めようとするが、MVロボさえ吸収しきれないエネルギーを放つ司祭災魔に大苦戦。
 魔法陣からマイナスエネルギーの放出が続いている――つまり儀式はまだ完了していない――事に気付いたモンドは、ひとり地下に戻ると瓦礫の破片を手にして、祭壇の中心部にモンド・ドンキ・アタック!
 本日二回目の仁義なきモンドにより祭壇は吹き飛ぶが、モンドはその爆発に飲み込まれて枯れ葉のように吹き飛んでいき、父の安否に兄弟が半ばパニックになりながらも哀しみを押し殺してMVロボが司祭サイマ獣を爆殺すると……あ、大魔女、帰った。
 ……う、ううーん…………大魔女の顔が出てきた時点でなんか帰宅してしまったコボルダとディーナスの意味不明な大失策なのですが、お城に戻って、母上様降臨おめでとうパーティの支度でもしていたのでしょうか。
 大魔女の姿が消えると、巽兄弟はモンドを探して地下へと降りていき、瓦礫の間から血に濡れたモンドの腕が見えているのは、ショッキングな場面。
 瓦礫をどけてモンドを引っ張り出す5人だが、呼びかけにはなんの反応もなく……
 「返事しろよ……死んだらもう、喧嘩できねぇじゃねぇか。まだまだ言いたいことあんだよぉ!!」
 演出や話の組み立てには不満の多い回でしたが、モンドの無事を願うショウの絶叫は、台詞のらしさも、言い回しも、父に対するショウの気持ちが感じ取れて大変良かったです。
 立ち上がり、主演メンバーの中では最も演技が安定していた事もあってか序盤は何かと話がふられがちだった一方、ここしばらくは少し目立たなくなっていたショウに、スポットライトを当ててくれた目配りも嬉しい。
 巽兄弟が物言わぬモンドを抱えて打ちひしがれる一方、大いなる天文魔術は終わりの刻を告げ――災魔一家もまた、悲しみのどん底で茫然自失となっていた。
 「グランドクロスが……終わってしまった」
 いや君たちホント、なんで早退したの…………?!
 「……兄上に続き、母上まで失ってしまうとは……!」
 自分たちの大失策はタンスの奥にしまってディーナスとコボルダが嘆き悲しむその時、城内に響く声。
 「――心配するな」
 「「?!」」
 「妾はここに居る」
 暗闇の中より現れた浮遊物体にディーナスもコボルダもおののき思わず後ずさるが、それこそ、勇んで地球にやってきたらNOW LOADING...の真っ最中にマシンの電源を落とされてしまい、物凄く中途半端に降臨してしまった大魔女だった!
 グランドクロス攻防戦は両陣営が痛み分けの形となって、つづく。
 『超光戦士シャンゼリオン』(1996年)で本編監督デビュー、『星獣戦隊ギンガマン』(1998年)で《スーパー戦隊》初参加、次作『未来戦隊タイムレンジャー』(2000年)で初のパイロット版を担当する事になる、売り出し中の諸田監督に大きな山場が任されましたが、ローテ的にも今回は、小中監督で見たかった、のが正直。
 勿論、小中監督だったらどうだったのか……はIFにしかなりませんが、手持ちカメラなどでやたら忙しく画面を動かしたり、祭壇の炎の照り返し表現を強調したり、大魔女の顔が出てきてからは画面全体に薄暗いフィルターをかけ通しだったり、で総じて視認性が悪い上に映像に落ち着きがなさ過ぎるのは、節目のイベント回としては裏目に出た印象で大きくマイナス。
 一番致命的だったのは、儀式そのものがさっぱり見栄えしない点で、これは美術関係の予算の問題もあるでしょうし、石切場ロケなどで雰囲気を補おうという工夫は見えたのですが、なにぶん、スタート時から約束されていた中盤の山場として24話分の積み重ねにふさわしい舞台設定が必要だったのに、ポッと出のサイマ獣がパッとしない祭壇に向けて、いまいちよくわからない儀式をごにょごにょやっている画(恐らく、カメラの動きが激しいのはそれを誤魔化す狙いもあったのでしょうが)では全く足りず、肝心のところで著しいハッタリ不足に陥って盛り上がりを損ねてしまいました。
 後付けの岡目八目としては、司祭サイマ獣の位置にジルフィーザが入っていればまだ、立ちはだかる壁としての格も、ジルフィーザ自身の退場回としての説得力も多少は出たかなと思うのですが……Vランサー~マックスビクトリーロボまでの新装備ラッシュの荒波を飲み込みきれず、ターニングポイントの組み立てにまで響いてしまった感があります(仮に司祭役がジルフィーザだと、弟妹の謎の早退がますます苦しくなってしまうわけですが……ストーリー的には、謎の早退が致命傷でありました)。

◆第26話「炎の龍皇子誕生」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希
 「母上様、おいたわしや。そのようなお姿に」
 LOADINGを強制終了された大魔女グランディーヌは、宙に浮かぶ巨大なホヤというか、鍾乳石に邪悪な妖精の上半身がくっついたようなというか、網に詰めたタマネギを軒先からぶら下げているみたいなというか、なんとも微妙な大きさのオブジェと化してしまい、割とアップにされる顔周りの部分も作り物のパペット感が強くて、個人的にはもう少し大きめの置物路線で迫力を出してほしかったところ。
 「どんな姿になろうと、妾の目的は、大宇宙に君臨すること。ドロップの成長を急がせるのだ」
 大魔女はめげないサイマガッツを見せ、(未見の第3-4話で言及あったかもですが)災魔一族の経営方針を宣言。
 地球を聖地として破壊と絶望の坩堝に叩き込むのは、大魔女降臨の“条件”ではなく、あくまでも“その方が気分がアガるから”だった為、上半期営業目標の未達については一切言及されず、ジルフィーザがちょっぴり浮かばれません。
 一方、病院に運ばれて緊急手術を受けたモンドは、手術は成功したが意識不明で絶対安静の状態が続き、悲嘆に暮れながらも歯を食いしばる巽兄弟。
 「泣くなみんな。巽博士は、死んではいない。機能が一旦停止しただけだ」
 ……じゃなかった、すみませんやりなおします。
 「泣くなおまえ達。私はここに居る。このベイエリア55が私自身なのだ! 行け、ゴーゴーファイブ! 災魔一族を倒せ! ゆけ! ゴーゴーファイブ!!」
 ……いやいやいや、再生するテープを間違えました。……えー…………これかな?
 「ハイ、私ハ、ベイエリア55ガ造ッタ、巽モンドノアンドロイドデス」
 「皆さんが、いつまでも亡くなった巽博士を懐かしく思われているので、こっそり造ったんですよ」
 ………………どれなのでしょうね。
 そんな中、昆虫フォルムの探索サイマ獣・デスタグ(最近ドンドン何でもあり……)が記憶喪失の少年を捜し回っており、サイマ獣から少年を保護しようとするマツリだが、その少年の正体はなんと、冬眠中に肉体を離れて彷徨っていたドロップの魂だった!
 大魔女の声を受けた少年がドロップとしての意識を取り戻し、召喚した紅い繭と一体化した事により炎の中から新生したのは、赤き龍人――その名を、龍皇子サラマンデス。
 「母上様の為に、力の限り、戦います」
 全裸の広瀬匠にはならなかったが、緑川光ボイスを手に入れたドロップ改めサラマンデスが、アンチハザードスーツでも耐えられない炎を放つと、ゴーレッドの銃を奪って撃ち、ポイ捨てして鼻で笑う強者の余裕を見せつけ、長兄が最前線で履き損ねた下駄は、ここに落ちていた模様です。
 謎の少年が自分を助けてくれたと信じたい桃は、サラマンデスに呼びかけお姉さん(お母さん)アタックを仕掛けるも通用せず、頭をぐしゃっとされかけたところで、サラマンデスが頭痛に襲われて早退。
 後を任されたサイマ獣は、プレッシャーの消えたゴーゴーファイブに蹂躙されるとVバスターでさっくり葬り去られ、再生巨大化。
 ライナーボーイは飛び道具、からぐさっと剣で刺されると、これといって何も吸収しないマックスノヴァの塵と化し、ドロップ捜索にもさして役に立たず、ドロップ覚醒後はお役御免で倒され担当となり、だいぶ可哀想なサイマ獣となりました……。
 物語のスタート時より、いずれ成長しそう枠だったドロップが折り返し地点で新幹部となると、表向きは兄と姉を立てるが、内心では侮っている気配を漂わせ、コボルダはそれに全く気付いていないが、ディーナスは含む物を感じている……と、新体制となった災魔一家には波乱の兆しも芽生える一方、病院では巽モンドの意識が回復。
 ……大丈夫かなその父さん、体の9割ほどが機械の部品に替わったりしていないかな……。
 「……腹減った……」
 で、つづく。
 既定路線のドロップ成長回で、後半戦の体制が固まる事となりましたが、果たしてマツリの母属性は、終盤に逆転の切り札になるのや否や。今のところは、使っても使わなくてもいい布石、といった気配ですが、“母性”が種族を越えるのかは、今作後半のテーゼの扱いとして一つ意味を持ってきそうです……だいぶ一方的なので、とんだ地雷にならないかも心配にはなりますが。。
 前半戦の総決算になっても良かった筈のグランドクロスが湿気た花火みたいになり、どちらかというと“後半戦のプロローグ”扱いでしたが、半年間興味を惹いてきた題材の扱いとしてはそれでは良くないと思うわけで、災魔一族との戦いが新局面で再び盛り上がってくる事を期待したいです。