『大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第41話
◆第41話「変身パパの大冒険」◆ (監督:東条昭平 脚本:曽田博久)
デスダークは、カイコモズーが生み出すスーパーシルクから着用者のパワーを100倍にするストロングスーツを作り出し、ブラジル人FW一挙3人補強でJ1昇格や! ばりに夢一杯のストロング戦闘員計画を密かに進めていた!
「そんな夢みたいな事が」
身内から、鼻で笑う感じでツッコまれた(笑)
「暗黒科学に不可能はない!」
最近は外注に頼りがちだった暗黒科学ですが、そろそろ本気を見せてやるとスーパーシルクをマシンに通し、銀ぴかに赤いラインの入った目映いストロングスーツが完成するが、直後、マシンが爆発(笑)
……暗黒科学には、まだ早すぎる技術でありました。
パトロール中の赤間が爆発音を聞きつけて駆けつけると、慌てふためき倉庫から逃げ出してくるデスダーク一味の姿を目撃し、これは、かつてない恥ずかしさ。
「ゴーグルレッド?!」
「デスギラー!」
お互い、なにやってるの? と顔を見合わせている間に、爆発跡で必死にスーツを探すマゼンダが、真っ先に逃げ出したデスギラーとはひと味違う仕事人ぶりを見せますが、爆発の拍子に飛んでいったスーツは、一部始終を目撃した警備員の男に拾われていた。
強引に流れ始めたEDテーマを背に赤が戦っているところにメンバーが合流し、後ろ姿が雪だるま体型のカイコモズー、ちょっとダーク味のあるKAWAII。
劇伴をEDテーマにした事により、毎度お馴染み最初の一当たりのテンポにちょっと変化がつき、黒と青のシンメトリーアクションや、桃と黄のカメラを寄せての立ち回りなど、だらっとせずメリハリのついた画になったのは良かったところ。
紳士協定を破られ、撤収宣言後の背中にゴーグルキックを浴びながら退却したデスギラー一行は、帰ったら帰ったで大元帥からお叱りを受け、スーパーシルクの原材料が爆発で全て吹っ飛んでしまったとの事ですが、貴重な素材を用いデスダークの戦力を根幹から増強する重要な強化計画を何故かディストピアの外で行う辺り、スーツ製造装置の安全性に関する不安を把握していたが、それを現場に伝えていなかった疑念が漂います。
「ということは……一着しか無い貴重なスーツだということだ!」
「草の根分けても探し出せ!」
デスダークの動きが騒がしくなる中、暗黒科学には早すぎた技術を手に入れた警備員の男は、仕事からの帰り道、息子が参加している少年球チームが暴走族に絡まれているのを目撃。
へっぴり腰で助けに入るも、毎度ながら当時の世相が不安になってくる世紀末無法集団みたいな暴走族のバイクに追い回されて悲鳴を上げて逃げ惑う羽目になり、息子たちの前で面目丸つぶれになったその時――
――「それを着れば強くなる。100倍の力を出すことができるのだ」
脳裏によぎるデスギラーの言葉が完全に、
――「力が欲しいか?」(笑)
……力が、力が欲しいぞぉぉぉと子供達に背を向けて逃げ出し、木陰でスーパージャ○アンツのスーツに手早く着替えたお父さんは、暗黒科学の力で100倍マッスルを手に入れ、物事の基本は筋肉!
スーパージャンプでひらりと舞い戻ると、殴り飛ばした暴走族は木の上まで飛んでいき、バイクの突撃も軽々と受け止めると土手の向こうへ放り投げる大暴れ。
「二度と弱い者いじめしたら許さんぞ!」
そこに現れたゴーグルV、警備員の男に対して爆発騒ぎについて何か目撃していないか平然と尋ねる前に、ツッコむべきところがあるのではないか、赤間よ。
スーツのお陰で子供に格好付けることができた男は、何も見ていないと告げて当然のように不審げな視線を向けられると、「このオートバイ借りていこう」と暴走族の乗り捨てたバイクで走り出し、れっきとした犯罪行為ですが、ここでは、一時的に“ヒーロー”になっている事によりヒーローの持つイレギュラー性を獲得しているニュアンスといえるのかも。
「……へぇ~、変わった服着てるなぁ」
「新製品のライダースーツかなぁ?」
未来科学に染まりすぎて、少々感性のおかしくなっている黄島と青山ですが……バイクと組み合わせると、そう見えないこともない……のか? とちょっと納得してしまって悔しい(笑)
またここでは、上記の乗り逃げ行為に続いて、バイクがメタ的な記号として“ヒーロー性”を獲得させており、ヒーロー=多少変な服でもおかしくない、という図式も発生。
息子を背に、盗んだバイクで軽快に飛ばすお父さんだが、スーツ奪還を目論むデスダークに発見され、カイコモズーが繭から登場。
「待っていたぞ。そのスーツを返してもらおうか」
カイコ糸に絡め取られる男だが、一度目覚めた暴力の衝動は男の表情を大魔神に変え、筋肉! 筋肉さえあれば、サブマシンガンに撃たれてもへっちゃらだ!(※個人差があります)
カイコ糸を引きちぎり、サブマシンガンをものともしないストロングスーツの性能に内心で(暗黒科学万歳!)と喝采をあげたいデスギラーであったが、正気に戻って男を追いかけてきたゴーグルVが姿を見せて、再び撤収。
銀ぴかパパは、これまで謎に包まれてきたゴーグルファイブの一員として世間に誤認されると、流されるままにTVに向けて「正式メンバーではないが、友人として仲間として一緒に戦いたい」と言い出し、ゴーーーグルシルバー!
「おのれ! のぼせあがりおって!」
大元帥が苛立ちを募らせる中、赤間らは男に接触して追加戦士の歴史改変を思いとどまるように説得を試みるのだが……
「そんなもの着てるとデスダークに狙われ続ける事になるんです!」
「駄目です! 今更脱げません」
「なぜです?」
「コウイチは私を、強い父だと思い込んでいるんです」
偶然から身の丈以上の力を得てしまった普段は気弱な父親は、息子の前でヒーローである為なら24時間銀ぴかスーツ姿を辞さない覚悟を見せるが、息子がカイコモズーに捕まって人質にされてしまう。
呼び出しの場所へとひた走った変身パパは、息子の命を助ける為にスーツを脱ぎ捨て、身近なヒーロー(父親)に焦点を当て、身の丈以上の力を得てしまうトラブルと繋げた切り口は割と面白かったのですが、“ヒーロー”を巡る父子のドラマを掘り下げる前に時間切れになると、“力”と“息子の命”では葛藤の天秤も成立せず、父の悔恨や息子の思いが特に描かれないままゴーグルファイブが出てきて片付ける形になってしまったのは、物足りず。
親子を助けたゴーグルファイブは、スカイサーベルアタックでカイコの繭を破壊すると、5方向ゴーグルクラッカー更にまとめてクラッカーからのゴールデンスピアーを放ち、巨大戦ではゴーグルフラッシュを浴びながらもシルク大砲で反撃してくるカイコモズーに対し、ゴーグル大竜巻からの電子銀河斬りで両断するのであった。
「コウイチくん、お父さんの君を思う気持ちは誰にも負けないんだよ」
戦い終わると、スーツを着てヒーローである事よりもスーツを捨ててでも命を守ろうとしたのだと父の行動にフォローが入って、黄島、いい人。
ゴーグルファイブは、引退したシルバー一家を爽やかに見送り、
ナレーション「お父さんの、短い冒険は終わった。デスダークは、着々と、戦力の強化を図っている」
……事にされたけど特になにも強化されていないまま、つづく。
次回――将棋拳法・危機一髪!