東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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太陽はおお光をくれる

救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第23話

◆第23話「幽霊救出作戦」◆ (監督:長石多可男 脚本:宮下隼一)
 「お客さん、知ってます? 有名なんすよ、ここ。出るって」
 トンネルに出た幽霊にタクシー運転手が襲われ、コンビニに買い物に行ったダイモンは幽霊を目撃して這々の体で逃げ帰り、怪談怪談ザ・怪談。
 「この世に科学で説明できない事なんて一つも無いんだ」
 わざとらしく白衣を羽織り、仮面ライダーゴーストの存在を否定するナガレだが、マトイとショウに被り物で脅かされると「意外と恐がり」とからかわれ、そこの3人には、落としたコーヒーカップが砕けて床と絨毯にコーヒーが飛び散った件について、後でマツリさんから膝詰めで説教があります!
 恐怖の大王になり損ねたジルフィーザが退職した災魔一族では、継承権の繰り上がったコボルダが鼻息を荒くする一方、グランディーヌの期待はドロップに向けられており、間に挟まれたディーナスの立場が、割と無かった。
 眠り続けるドロップの姿はまるでサナギのような繭に包まれ……どうしても脳裏をよぎるドロンザネタは自制しようと思うのですが、サナギが割れたら全裸の広瀬匠が出てきたら、物凄く衝撃的で、思わずグランドクロスも止まりそう。
 地球に近づいていた大魔女グランディーヌと思われるエネルギー体の動きが奇妙にも一時停止する中、地上では、その名もずばり墓荒らしサイマ獣が墓を荒らして幽霊軍団を生み出しており、ストレートな怪談エピソードでストレートな能力持ちの怪人を出したら、サイマ獣としてはだいぶ異色の存在となりました(笑)
 ……コボルダの眷属、なの……?
 科学万能主義を唱えるナガレは、祖父を幽霊軍団の一員にされてしまった少年に助けを求められると、「恐がりじゃない」と見栄を張ったばかりに二人で怪しげな洋館を調べる事になり、続くストレートな怪談演出。
 「ポルターガイストぉ?!」
 微妙な演技とひっくり返った絶叫が一周回ってちょっと面白くなったナガレは、やたら殺意の高いポルターガイストを前に着装すると、速攻でVモードブレスから謎の光線を発射し……直撃した幽霊が一瞬で灰になったので、プラスエネルギーを光線状に飛ばすお清め光線でありましょうか。
 太陽戦隊との関連性も深そうですが、今見るとゴーゴーファイブ、神聖系のお祓い属性が強い(笑)
 姿を見せたサイマ獣ゾンビーストの攻撃を受けるとタイミング良く残りメンバーも駆けつけるが(誰かが着装すると本部で信号をキャッチする仕様?)、灼き尽くせ幽霊! と放たれそうになったお祓いビームから少年が祖父の幽霊をかばっている内に逃げられてしまい、一同は一時帰還。
 「そいつは恐らく、こういう事だろう……」
 祖父の幽霊には確かに意志があった、と語る少年の主張を聞いたモンドは、サイマ獣が幽霊軍団を作り出す際、墓の中の遺骨や灰からDNA情報を取り出して再現しており、それが生前の記憶の一部を再現しているのだろう、と説明をつけ、科学の使徒としてナガレとは年期の違いを見せつけます。
 絵本作家であった祖父ともう一度言葉をかわしたい、と少年は切々と訴え、死者を弄ぶ災魔一族許すまじ、と幽霊軍団を止めようとするゴーゴーファイブが、地下から伸びた死者の手に足を掴まれるとロープアクションで大脱出、はホラー物のお約束と救急戦隊の得意技を組み合わせて良いアクションでした。
 自由を取り戻すやいなや、あなたさっきの話聞いていたの?! という勢いで幽霊軍団を薙ぎ払おうとする赤だが、慌てて青が幽霊をカバーリング
 「たとえ泥人形だろうと幽霊だろうと! 大切に想う人がいれば、それは生きた人間と同じだ! その想いを無視して、本当のレスキューは出来ない!」
 少年への気遣いとレスキュー魂を接続しようとして、霊の心も地球の未来! はどうも無理筋になりましたが、まあでも竜馬さん(『特警ウインスペクター』主人公)なら言って実践するかもしれないとは、宮下脚本レスキュー繋がりでちょっと思いました(笑)
 少年と祖父の再会にこだわる青と、被害が出ている以上は一秒たりとも手をこまねいてはいられないとする赤の主張が対立し、死闘・死闘・死闘! が続いた後の箸休め怪談エピソード……かと思ったら幽霊ガスを浴びた市民が割と本格的にのたうち回って被害描写がシリアスだったのはこの為だったようですが、二人が揉めている間に当の少年が現場に現れてしまうので葛藤と対立はあっという間に下流に押し流されていき、着地も飛躍もできずに宙ぶらりんのまま消滅。
 演出×脚本のキャリアからすればいただけない組み立てで、これなら、軽めの箸休めに割り切った方が良かったのでは……と思うのですが、少年の呼びかけに祖父の魂が目覚めるゴーストミラクルが発生すると、その他の幽霊軍団も消滅。
 手勢を失ったサイマ獣はビッグVバスターですかっと消滅し、この手のヒューマンドラマはどうもツボではなく、個人的には、自由意志を取り戻した爺ちゃん幽霊の、ウラメシダイナマイト! とかの方向に行ってくれた方が好きです(笑)
 キャンペーン中なので、敵の格と関係なく容赦無用のMVロボが繰り出されると、ウラメシビームを吸収してのマックスノヴァで抹消し……マックスノヴァ、レスキュー物でままある、建造物が爆発倒壊! だが爆炎が晴れると感動的なBGMと共に要救を助け無事に姿を見せるヒーロー! を必殺技化したものと考えると、色々と納得。
 ゴーゴーファイブの勝利を見届けた少年は、ふわりと宙に浮き上がるとそのまま空に消えていき……ゲスト少年の目の下にやたらクマが目立っていたので、この少年こそ幽霊だったらどうしよう……と気になってはいたのですが、あ、本当に、幽霊だった……。
 天使になった少年が祖父の霊魂を救いに来たのかもしれない……というオチの付け方を考えると、少年の頭頂部が容姿にそぐわない部分染めになっていたのも(演出上、強調はされない)、天使の輪をほのめかす伏線であったのでしょうか。
 次回――高速戦隊の夏休みは1日だが、救急戦隊の夏休みは何日だ?!