『大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第39話
◆第39話「悪魔の人食い絵本」◆ (監督:山田稔 脚本:鷺山京子)
どう聞いても! 声がマズルカの! ちり紙交換!!
が子供たちに配った絵本……それを読んだ子供たちはミミズクモズーの能力により次々と絵本の中に吸い込まれていき、子供の声が消えた公園に大量の絵本だけが散らばっている画は、なかなかホラー。
デスダークは絵本に吸い込んだ子供たちを人質に使ってその家族を脅迫して思うがままに利用とする作戦を計画しており、つまり少年ライ……げふんげふん。
事情を聞いて回ったゴーグルVはミミズクモズーと一当たりすると怪しい絵本の存在に気付くが、コンボガールがその絵本を少年の見舞いに渡しており、病院に駆けつけた桃園が少年の代わりに絵本の中に吸い込まれてしまう!
「なに? ゴーグルピンクが?」
「なにを血迷ったか。絵本の中に飛び込んで参りました」
この機会にピンクの入った本を焼いちゃおうぜ、と幹部一同が盛り上がる中、画面奥で棒立ち(というかなんというか)の総統タブー……に触れるのがタブー、な空気になっておりますが、デスギラーとの差別化の為か(或いは、衣装が重かったのか?)ビスマルク大元帥を派手な椅子にふんぞり返らせてしまったのが、画面構成としてはやはり大変よろしくなかった、と改めて痛感させられます。
桃園入りの絵本はミミズクモズーにより回収され、絵本の中で目を覚ました桃園が、書き割りで構成された閉鎖空間(見開き2ページ分)に戸惑う変化の付け方は面白くなり、胡散臭いミミズクに気付いた桃園を襲う、槍・槍・槍、そして爆発。
ミミズクモズーが直接絵本の中に現れると、吊りで動きを封じられた桃園入り絵本はデスダークの神への生贄として燃やされる事になり、古来より、ヒーローが最後に頼るのが筋肉ならば、悪の組織が最後に頼るのはオカルトです!
ゴーグルピンク焼死の危機に、ちり紙交換の車に乗ってやってくるマズルカ、がなんともえいないおかしみを漂わせるのですが、助手席(マズルカ)にも運転席(戦闘員)にも居なかったデスギラーが続けて出てきて……荷台に寝転んでいた?!
と思ったら、荷台のチリ紙の中からイエローとが飛び出してくると車体の下からはブルーが転がり出てきて、次いでブラックとレッドも湧いて出てくる大戦隊マジック。
「デスギラー! おまえたちの悪企みを、むざむざ見逃すゴーグルファイブじゃないぞ!」
メンバーの一人が絵本の中に閉じ込められるシチュエーションはせっかく面白かったのに、どうやって追跡してきたのか、全く不明で処理されたのは実に残念。
絵本の丸焼きを食い止めようとゴーグルクラブが投げつけられるが、デスマルク大元帥特製の祭壇には通用せず、
「よーし、メガトンボールだ!」
おい。
ピンクがデスダークではなく勢い余った男衆に爆殺されそうになっていますが、幸いメガトンボールも大元帥のオカルトパワーにより食い止められ、悪の組織が最後に頼るのはオカルトです!
絵本の中の桃園は、炎にまかれた状態から新体操で鍛えた体幹により空中回転するとロープを焼き切り脱出を試みるも今度は檻に閉じ込められるが、内部のミミズクを爆殺することにより絵本空間を破壊する、赤心少林拳ばりの大脱出。
「人間の心を知らないデスダーク! 許せないわ! 絵本の中の世界、そして勿論この世でも、正義の剣に勝った、悪はないわ! ゴーグルファイブは、永遠に不滅よ!」
親子の絆を引き裂くデスダークに怒りを燃やす桃園が長々と啖呵を切って、呪いの人形コスプレ回に続いて“凜々しい”押しとなり、『サンバルカン』を挟んだ事もあってか、手探り感&妙にテンプレートめいた期間が長かった桃園ですが、顔立ちからしても、もっと早々にこの路線を強調していっても良かった気はします。
ミミズク羽爆弾をゴーグルリボンで打ち破ると、まさかのゴーグルハリケーンタイフーンから、ゴーグルクラッカーならぬゴーグルボンバーが炸裂し、ピンクダイヤバトンの一撃を挟んで、ゴールデンスピアー!
……立て続けに大技を打ち込む流れからゴールデンスピアーに持ち込むと、尋常ではなく目立つテンポの殺しっぷり(笑)
ミミズクコングが出動すると、今回は特にアレンジを加えずに合体し、ミミズクモズーの羽攻撃に苦戦するゴーグルロボだが、空中に浮かんで大回転するゴーグルロボ大竜巻での反撃から、レバー操作で電子銀河斬り。
……この間、青と黄がいつものモーションをしているけどカメラに映してもらえないのかと思うと、涙が流れて止まりません。
子供たちは無事に解放され、絵本のヒントを現場に残す都合によりデスダーク回収班の動きがやたら遅かったので、黄島が絵本をゴミ箱に捨てた、みたいな事例が多発していない事を色々な意味で祈りたい。
90年代《メタルヒーロー》の鷺山脚本は結構好きなのですが、80年代初頭の《ライダー》《戦隊》での仕事はもうひとつパッとしないものが続いた中では、比較的テンポ良く進行し、演出と噛み合った映像的な面白みは一番あった1本。
だけに、桃園失踪後のチリ紙交換追跡がざっくりしてしまったのが惜しまれますが、後年だったら如何にもありそうな桃園がメルヘン世界を彷徨うターンも無いなど(見開き2ページの世界として説得力はあるものの)、今作の尺配分の厳しさを改めて感じさせる、スピア1分・チェンジ2分でありました。
そろそろ総統タブーはデスマルク大元帥の椅子を取り上げた方がいい気がしてきましたが、次回――そうだ、基地狙おう。