『仮面ライダースーパー1』感想・第46話
◆第46話「悪魔元帥怒る! 変身せよ鬼火! 王女!!」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:江連卓)
悪魔元帥先生の居ないところでは、やっぱりテーブル囲んで楽しく談笑しているジンドグマ幹部陣だが、そこにファンファーレ抜きで元帥先生が不意打ち出勤してくると、咳払いを一つ。
「おまえらー、早く席につけ!」
……じゃなかった、
「ワシがどれほど怒っておるのか、おまえたちにはわからんのか!」
先生は昨日、虎の子のへそくりが全て外れ馬券という名の紙くずに変わり、次の給料日まで、352円で過ごさなくてはいけません! と怒りの元帥は剣を抜いてジンドグマ史上初のお仕置きビームを放ち、不在の妖怪王女を除く一同悶絶。
「このうつけ者どもめが!」
朝から説教を受けた魔女参謀が、我々はサボって駄弁っていたのではなく、既に妖怪王女がスーパー1抹殺の為に活動しているのを全世界に向けて楽しく実況配信していたのです! と弁明すると、鬼火司令もベルトのスイッチを押して本来の姿へと変身し――その正体は、ジンドグマ超A級怪人・オニビビンバ(混ぜご飯)!
「時こそきたり! いでよ! 俺の夜光虫ども!」
そこはかとなく消火器感を漂わせるオニビビンバは、白馬にまたがり荒野に向かうと、この日の為に鍛え上げたスーパー1暗殺部隊を目覚めさせ、着ぐるみ怪人が馬の鞍の上に直立しているのが、地味に凄いような。
前回まんまと騙されたのを反省したのか、筋トレ友達の居ない寂しさを修行で埋める一也が松明と鎌を手にした鬼火軍団襲撃を受けると、鬼火司令も馬にまたがり参戦し、幹部キャラとしては特にパッとしたところのなかった鬼火司令ですが、武器が大鎌なのは、+1点。
「鬼火司令、暗黒拳法」
適当言い出した鬼火司令が部下と連携しながら猛然と大鎌を振るうのは、幹部クラスの殺陣として差別化になり、鎌の刃を白刃取りから一也は変身スーパー1。
鬼火司令もオニビビンバへと姿を変えると、火を噴く背中のバズーカ砲からビビンバファイヤーで炙り焼きにされるスーパー1だが、当然のように冷凍ガスで反撃し、コマより弱いぞオニビビンバ……はダブルキックを受けると撤収。
「仮面ライダースーパー1! 今日の所は痛み分けだ! 次に会う時は、必ずおまえを倒してみせるぞ!」
てっきり負け惜しみかと思われたが、視神経メカに損傷を受けたスーパー1はメンテマシンから全治三日の診断を下されると、一晩で直せとクレームをつけるもすげなく却下され、偉い人がなにを言っても、気合いでメカは直りません!
クライマックス突入という事でか、拳法・メンテマシンといった初期要素が改めて盛り込まれると、一也が大人しく療養中、谷モーターショップではミチルの拾ってきたフランス人形の瞳が怪しい光を放ち、谷とチョロがオートバイの下敷きになる事故が発生。
ミチルとマサルが訓練中のライダー隊に事情を報せに行くと、今度は自転車が勝手に宙に舞い……こいつが怪しいのでは、と取り囲まれるフランス人形。
そこへ折良くラジオから、フランス人形を探す女性の情報が聞こえてくるのは都市伝説めいてちょっと面白く、丁度良いからこの不穏なフランス人形を押しつけ……もとい、持ち主に返すと決めるライダー隊だが、そこで待ち受けていたのは、不気味な人形屋敷と怪しげな老執事。
館内部の雰囲気に怯えながらも二階へ案内された一同は、不気味な音に扉を開けると動く人形が館のお嬢様に姿を変えるのを目にしてしまい、対決要素を押し出したAパートから一転、一也が引っ込んで子供目線の冒険スリラーで展開するのは、今作ここまでの流れが圧縮されたような妙味はあります。
執事とお嬢様は勿論、鬼火司令と妖怪王女であり、目が治りきらないまま救出に向かった一也の背後に、マネキン人形のようにポーズを取ったファイターが並んでいる! のは面白い画でした(笑)
(駄目だ……姿が見えない……)
暗殺ファイター部隊の攻撃を受けた一也は早々と弱音を吐くが、ミラクル回避を続けている内に武器が風を切る音で間合いを計って反撃に転じ、赤心少林拳の達人を標的にする以上、鬼火暗殺部隊に必要だったのは、サイレント・キリングの修得。
人質を引き連れて現れた妖怪王女は、ジンドグマ超A級怪人・サタンドールの正体を現し……着ぐるみを2体投入出来なかったのか、見た目ただのドレスの女性です。
大幹部の正体なのに、見た目ただのドレスの女性です!
一応、吸血鬼風味に伸びた犬歯で噛みつき攻撃を敢行すると、背後で高笑いしていた鬼火司令は、目を離した人質の体当たりを背中に受けて階段を転がり落ち、鬼火司令の扱いはあんまりですが、ライダー隊がただのピンチ要員にならないワンアクションを見せてくれたのは、良かったところ。
「目は見えなくても、変身は出来る!」
ライダー隊を逃がし、踊り場に仁王立ちした一也は変身スーパー1……から、いきなり砂浜に飛び出してバイクを猛らせると暗殺部隊を次々と轢いていき、よく見えないけど、なんか、倒した、気がする。
ビビンバ砲と妖怪ドールの念動力に挟撃を受けるスーパー1は、必殺の鎌をかわすとチェンジ冷熱ハンド。同時発射も敵の姿を捉えきれずに海落ちするが、その拍子に視神経システムが完全回復すると反撃に転じ、エレキビームからのスーパーライダー水平線キックが炸裂。
妖怪王女と鬼火司令はざっくりまとめて始末され、どう考えても、最終作戦と対決に一人1話ずつ使ってほしかったところですが、行川アイランドや東武動物公園に行っている内に、ワゴンセール扱いとなってしまいました。
「鬼火司令よ妖怪王女よ、あんたらの恨みは、この幽霊博士が、晴らしてくれるわ……!」
走り去るスーパー1の背中に憎悪の視線を向ける幽霊博士のアップで、つづく。
クライマックス突入の皮切りながら、いつもと違うのは悪魔元帥の態度ぐらい、といった出来でしたが、「ヒーロー抹殺にこだわるあまり、終盤に敵組織の作戦規模が小さくなる」パターンに直撃してしまったのは残念。
予告によると次回は幽霊博士がそれなりにスケール感のある作戦を展開してくれそうなので、ジンドグマ最後の打ち上げ花火を期待したいです。