『仮面ライダースーパー1』感想・第45話
◆第45話「君の考えた最優秀怪人ショオカキング」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:伊上勝)
「チェーンジ・レーダーハンド! レーダーアイ発射!」
見所は、もはや1ミリの揺らぎもなくミサイルの扱いを受けるレーダーアイ。
「ここにあるのは、全国のみんなから送られた、ジンドグマの怪人だ。こんなにたくさん送ってくれて、ありがとう。とても面白いアイデアが多くて、選ぶのに苦労したほどです」
特に劇中におけるジンドグマの作戦とは繋げずに、一也が数々の応募作を背に笑顔で語り出し“ジンドグマ怪人のアイデアを喜ぶ沖一也”という面妖な画でスタートすると、最優秀怪人ショオカキングには応募イラストでは右腕にハシゴがついているどころか、ハシゴを手にした戦闘員のイラストまで描かれており、前回のハシゴーン、公募アイデアの一部をいただいてたの?! という衝撃すぎる導入(笑)
右手は鉤爪に変更され、口からマグナム弾を必殺装備とするショオカキングは、今日も今日として《投石》スキルのレベルアップに励もうとしていたライダー隊を消火ならぬ消化液で襲撃し、そこに飛んでくるスーパー1。
自信満々だった怪人だが、スーパー1に投げ飛ばされて連続パンチを受けると、鉤爪を駆使しながら慌てて逃走。バイクで後を追うスーパー1だったが、ジンドグマ怪人と誤解を受けて謎のバイク青年の襲撃を受け――
「ジンドグマと戦う、ナンバラ・ケン」
ケンの名を継ぐ者なのか、佐久間ケン(『仮面ライダーV3』)を思い出す腰の砕けそうな喋りの青年は、殺された両親と妹の復讐の為にジンドグマと戦っていると言い出し、あまりにも設定が雑すぎて、セルフパロディでニヤリとさせたいのか、或いはなにもかも面倒になってきたのか、判断に困ります。
東京ドロドロ作戦を成功に導くべくスーパー1抹殺を目論む鬼火司令が「回りくどいぞ!」と先生に怒られていた頃、谷モーターショップに連れて行かれたナンバラは早くも受け入れられると、一也と互いを持ち上げあってから模擬試合で武術の腕を披露し……俳優さんが単独クレジットなど色々な事情があったのでしょうが、両者の対決にやたら採られる尺、1ゴールデンスピア。
……「ゴールデンスピア」とは、『大戦隊ゴーグルV』の後期必殺技であり、毎回毎回、約1分にわたるその長い長いバンク映像をフルサイズで流すという恐ろしい代物なのだ!
改めてゴールデンスピアの恐ろしさに戦慄しつつ、模擬試合での様子からナンバラに疑いを向ける谷だが、やたらナンバラとウマが合う一也は疑念を一笑に付し、玄海と弁慶の退場から約20話、どうやら一也が飢えていたのは、体育会系の付き合いだった模様です。
……まあ勿論、ナンバラの正体はショオカキングなわけですが、この後、
●夜中にこっそり部屋を抜け出したのでどこへ行くのかと思ったら亡き家族に祈っていた → 一也の寝込みを怪人が襲うが、ベランダから投げ落とされると、谷を殴って逃走
●崖を登るのにロープを上から垂らすが、別にロープを切ったりはしない(なんなら、足を滑らせた一也が勝手にピンチに陥る) → 一也が崖を登ったところで姿を消すと怪人が襲ってくるが、二段蹴りであっさり吹き飛ぶ
と、如何にも……と見せて、いやそうじゃない、を二度繰り返すのですが、直後の奇襲攻撃になんのプラス効果も出ていない為、一也の油断を突くわけでもなければ、万全の罠に誘い込むわけでもなく、強力な筈の怪人がただ醜態をさらす、ミスディレクションの為のミスディレクションをしつこく見せるダラダラした展開が続き、「どんでん返し」そのものが目的化してしまう悪い時の伊上脚本と、今作ままある尺潰し傾向が最悪の形で結合してしまう事に。
ショオカキングの偽装爆発の後、ナンバラを人質に迫る鬼火司令に対し、既にその正体を見切ったスーパー1が、
「仲間が殺せるのか!」
と高笑いしながら逆に問いかけるのは、唯一面白かったところです。
「ええい、なんたること。ここまで上出来だったのに!」
だいぶ認識の差を感じますが、鬼火司令にどやされて地面に転がったナンバラはショオカキングへと姿を変え、改めての一騎打ち。
ナンバラの拳法を持ち上げていたスーパー1は科学の力で飛び道具の撃ち合いに持ち込むと、土手っ腹に深々とレーダーミサイルの突き刺さったショオカキングは弾け飛び、不滅のフロンティアスピリッツ!
決まり手:レーダーアイ、という大変珍しい最期を迎えた怪人となりました。
「恐るべき敵だった……」
ナレーション「最強の敵を倒した、仮面ライダースーパー1」
敵を持ち上げ自分の価値を高く示す、スーパー1の筑波洋仕草にナレーションさんが乗っかって粉飾決算が施されると、
ナレーション「そのスーパー1に、ジンドグマの大攻撃が始まろうとしていた」
それに続いてクライマックス突入が予告されて、つづく。