『大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第37話
◆第37話「謎の爆撃機を撃て」◆ (監督:東条昭平 脚本:松本功)
「面白い! 音もなく風に乗って空からの奇襲攻撃とは考えたな」
暗躍するムササビモズーにより、東京各地で次々と爆撃の被害が発生!
「風に乗って、音もなく飛来する、謎の爆撃機って?」
「まさか! デスダーク一味の仕業じゃないのかな?!」
「そいつは心配だ」
……デスダークでなかった場合、日本の首都が外国もしくは未知のテロ組織の攻撃を受けていることになって、大変深刻ですね!!
元気象庁の予報官だった井上博士は、デスダークに脅迫されてムササビ滑空攻撃の為に風の計算を強要されており、ムササビ型怪人をステルス爆撃機に見立て、「気象」要素と繋げる事で軍事作戦的なアプローチで描いたのは、面白い味付け。
ゴーグルファイブのパトロールむなしく爆撃されるコンビナートだが、突然の乱気流にもまれたムササビモズーはまんまと墜落してしまい、隠密性の高さに対して突風に弱い、長所/短所が明確に示されているのも良い感じです。
ゴーグルファイブに捕捉されたムササビモズーは、一当たりすると再び風に乗って撤収するが、これによってモズーが強風を利用している事に気付いたゴーグルファイブは、爆撃事件発生時の風向きから逆算して敵アジトのおおよその位置を割り出す事に成功。
頭脳戦の要素も入ってここまでは割と良かったのですが……コンボガの一人が井上博士の孫と同級生だった事から、「風」について知ろうと博士の研究所を訪れたところ、それを目にしたデスギラーが発作的に子供達を捕まえた為に、事態は雑に急旋回。
連絡を受けたゴーグルVは、風向きの逆算とあまり関係なく、「風」と「お天気博士」の情報から井上邸に急ぐと雑に血祭りにあげられそうになっていた子供達を助けてデスダークとの肉弾戦になだれ込み、怪人の能力と気象の要素を絡めて市井の研究者を巻き込む仕掛けは悪くなかっただけに、デスギラーの雑な人質の取り方・使い方から、全ての流れが雑なお馴染み風味になってしまったのが惜しまれます。
映像的には、劇中で井上邸とされているロケ先の建物を使いたかったのか、あちこち跳ね回りながら建物をたっぷり映す集団戦となり、爆撃しやすい荒野に移動すると、繰り出されるムササビ戦闘員部隊……に妙に苦戦するゴーグルファイブですが、別に飛べるわけでもなんでもないので、両手両足で黒い風呂敷を背中に広げた姿に眩惑されているだけです(笑)
空中からミサイル攻撃を仕掛けてくるムササビモズーに対しては、風が無くても飛べるんだ! と普通にゴーグルスカイからのサーベルアタックで撃墜し、後はもうゴールデンスピアで終わりかな……と油断していたら、5人が空中で
スV大VK
みたいな形に並ぶゴーグルスカイ組体操(V担当の黒青は上下逆さま)から回転する、ゴーグルバトルファイトならぬゴーグルハリケーンタイフーンで突風を起こし、ムササビモズーの弱点を拾ってくれたのは、前半の名残があって良かったところ。
ムササビモズーが昏倒すると、主題歌に合わせて本日もたっぷり1分のゴールデンスピアが放たれ、このままでは、主題歌がゴールデンスピアのテーマになりそうです。
「「「「「やった! ゴールデンスピア!!」」」」」
……この念押しには、ちょっと癖になる面白さがありますが。
ムササビコングが出動すると、毎度お馴染み……とぼんやりモードに入っていたら、合体前にファイター・タンク・ダンプ、更にはシーザーが次々と飛び道具を放つのを挟んでからのゴーゴーチェンジとなって、これは完全に不意打ち。
巨大戦が始まると、コングと戦闘機部隊の連係攻撃もスパイスとなり、戦闘機はシーザーが撃墜すると、残るムササビモズーは、パンチ・スピン・電子斬りのコンボで成敗され、あまりに遅くはありましたが、長らくバンクシーン垂れ流しだった変形合体に変化を入れ、巨大戦にも一工夫を付け加えてくれたのは、今作比として大変良かったです。
初動は会心だったムササビモズーですが……なにが悪いかを考えていくと、そろそろデスギラーは、子供を見ると人質に取ろうとする癖を、あらためた方が良いのではないか。
次回――俺とおまえの兄弟ロケットで、黄島太、25話ぶり3回目のメイン回?!
……黒田と赤間から凄い罵声が飛んできたりしそうで、ちょっとドキドキ。