『大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第36話
◆第36話「決闘! 0・3秒!」◆ (監督:東条昭平 脚本:曽田博久)
デスダーク1の殺し屋・ヤマアラシモズーがゴーグルV暗殺の為に送り出され、
「ニードルガン、素晴らしい武器です」
「腕もいいのです。そこんところ、よろしく」
ニヒルを気取るヤマアラシモズー、テンガロンハットを斜にかぶったイメージか、眼帯をつけて隻眼の顔に味があり、なかなか面白いデザイン。
「さて、誰から片付けるかな? 桃園ミキ……いや、的が大きい、黄島太あたりにするかな?」
写真を並べるデスギラーから酷い発言が飛び出すが、それはそれとして、黄島太、第13話以来23話ぶりのメイン回チャンス?!
「まず、一番強い奴から倒すのが殺しのセオリーです」
……の夢は無惨に砕かれ、選ばれた標的は――赤間健一!
殺しのプロとしてヤマアラシモズーが赤間のバイクのテクニックを調べたり、最適な待ち伏せ場所を探す一方、犬の吠え声を気にした赤間は山中でモズーの落としたニードルを拾い、早くも、足下がお留守でした。
(ここから俺を……?)
過去に似たような経験でもあったのか、身辺に迫る魔手に気付いた赤間は、受けて立ってやるといわんばかりに色々なご衣装でバイクを走らせ、雨の日も風の日も昼も夜も赤間健一を徹底的に調べ上げたヤマアラシモズーは、赤間健一暗殺計画をレポートにまとめて大元帥に提出。
大元帥のレポート読み上げに実際の暗殺計画の段取りが重ねられる演出で、暗殺成功! と思ったら、イメトレでした!
……というオチかと思ったらそんな事はなく、ヤマアラシモズーの計画通りに誘い込まれて狙撃を受ける赤間だが、辛くも致命傷を避けると、戦闘員をけしかけてヤマアラシは逃走。
「恐るべき殺し屋。助かったのは奇跡としか思えん」
事前に警戒していた筈の割には、まあこんな日もある、ぐらいのノリでほいほいと誘導に引っかかっていた赤間が敵の凄腕を讃え、ディストピアに戻って上役から散々に罵倒されていやヤマアラシモズーもまた、僅かに陽光を反射したニードルに気付いて咄嗟に回避してみせた赤間の判断力を讃え、互いに、敵を褒める事で自分を下げない筑波洋ムーヴ。
ニードルガンによるダメージは確実にある筈、とアピールするヤマアラシは、無差別攻撃を材料に赤間に追い打ちの挑戦状を叩きつけ、
やはり途中で用心を怠り「恥ずかしいことに、油断までしちまった」と反省を見せる赤間は、痛みに耐えながらこの挑戦に応えようと身を起こそうとする。
そんな赤間に、暗殺を軽視していたのは皆も同じだと告げ、責任を分かち合おうとするチームの関係性が掘り下げられ、ひとり無言だった黒田は、赤間の鳩尾にパンチを叩き込んで気を失わせる荒療治。
「……すまん。ここは俺達に任せて休んでいてくれ。おまえの傷が癒えて5人揃った時こそ、ヤマアラシモズーと決着をつけるんだ」
敵と決着を付けるのは、あくまでも5人が揃った時に、というのが台詞と意識の置き方として格好良く、無差別攻撃を止める時間稼ぎとして挑戦状の場所に向かった4人は、改良ニードルを手に待ち構えるヤマアラシの前にブラックが立つと、耳を澄ませて発射音を聞き取ったイエローの合図によってブラックも致命傷を避け……黄島の鋭敏聴覚がこんなに活用される設定になろうとは(笑)
どこかの誰かのロープアクションに、爪の垢を煎じて飲ませたい。
そこからはなし崩し的に4人揃って敵の真っ正面に顔を出すと、高所に陣取ったヤマアラシモズーのニードル乱れ打ちにやられ放題になるのは物足りないところでしたが、基地で目を覚ました赤間はヤマアラシモズーの攻撃に注目すると分析をコンボガに指示し、前回に続いて〔実戦-データ解析〕の分業体制が描かれると、ニードルガンの次弾装填までの間隙に勝機を見出す。
「0・3秒! よし、この0・3秒の間に奴を倒すんだ!」
黒青黄桃が不可視のニードルを前に為す術なく壊滅寸前のところへ駆けつけた赤は、銃を手に改めて決闘を申し込むと、一撃を食らいながらも0・3秒の間に逆転の一撃を決め、利き手を打ち抜かれてのたうち回るヤマアラシモズーへ向けて、戦え! 大戦隊!
から、いつもと違うBGMで崖ダイブすると、いきなり変身を解いてのガンマンコスプレで戦う余興が入り、利き腕を失った相手に、これまでの恨みをまとめて返す気満々です。
かくして同じくガンマン仕様となった戦闘員軍団と西部の銃撃戦となり、火を噴く二丁拳銃、唸りを上げるリボルバーにショットガン。
一同ノリノリでギャグも交えると、黄島が殉職寸前になったりしたものの戦闘員を壊滅させ、改めてスーツを着ての主題歌バトル、即、
ゴールデンスピアー(1分)。
黄金の槍に貫かれたヤマアラシモズーが盛大に弾け飛ぶと帽子のオミットされたヤマアラシコングが出動し、ゴーゴーチェンジ。
ボール体当たりからのトゲミサイルを放つヤマアラシに対し、ハンドミサイルで反撃からゴーグルフラッシュ、そして電子銀河斬りで真っ二つにして、ゴーグルファイブ暗殺計画は失敗に終わるのであった。
赤間と黒田は荒野で無言の笑顔を向け合うとがっちり握手をかわし、曽田戦隊としてはこの後、弾北斗-星川竜(『科学戦隊ダイナマン』)、剣飛竜-疾風翔(『電撃戦隊チェンジマン』)といった、リーダー-サブリーダーの関係性を窺わせる画でありました。
監督は違いますが同じ曽田脚本で、前回は「エピソードゲスト及びテーマ性とコンボガを積極的に絡める」作りで、今回は「コンボガの出番が控え目な分、メンバー感の関係性を描く」作りとなって、まだまだ荒っぽい部分は多々あるものの、残り1クールほどながらも、ようやく色々、『ゴーグルファイブ』としての歯車が噛み合う配置にされ始めた、といった感があります。
……まあそろそろ曽田さん、次作立ち上げと並行作業が始まりそうですが、果たして、噛み合った歯車が回り始めて何かを動かす事はできるのか。
次回――東京大爆撃!