『大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第35話
◆第35話「鉄喰い人間の襲撃」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
「ゴーグルファイブは、新しい必殺技を開発してしまった! いったい暗黒科学2000年の科学力は、どうしたのじゃ!!」
あ、怒った(笑)
「恐れながら総統タブー、私とてただ腕をこまねいているわけではありません」
台詞と共に両腕をクロスさせるのが手の込んだギャグに見えなくもない大元帥は、アフリカから取り寄せたハイエナの遺伝子を用いて怨念にまみれたハイエナモズーを作り出し、科学力について問い詰めたら何故か、オカルトが増量されました。
ハイエナモズーに噛まれた人間は、ハイエナ人間として金属を食べるようになってしまい、食い散らかされていく自動車の映像は、なかなかの面白さ。
ゴーグルピンクに地獄車からの連続蹴りを浴びたハイエナモズーは、隠れ蓑にしているアフリカ展の中に逃走したところ、友人一家と食事をしていてハイエナモズーの襲撃を受けたコンボガ少年が、飽食日本に怒りをぶつける少年と再会して悪の手先と決めつけ、コンボガ少年・ハルオが子供らしい短慮から騒ぎを引き起こすのは、これまでに無かった味付けとなりました。
アフリカの飢餓問題を題材として、ゲストと絡めつつコンボガの一人にフォーカスする一方、アフリカ展を隠れ蓑としてハイエナモズーを活動させていたデスギラーとマズルカは、無駄に人質を取っては無駄にゴーグルファイブの介入を招き、オカルトパワーで暴れ回るハイエナモズーもさしてデスダークの戦力の証明にはならず、「社会問題と子供たちのフィーチャー」と「強化されたゴーグルVに対する敵サイドの作戦と反撃」が上手く噛み合っていないのが残念。
「アフリカの掃除屋、ハイエナモズー! 骨までしゃぶれい!」
戦闘員と一当たりの後、逃げるデスダークを追って改めて揃い踏みする微妙なタイミングずらしから、いつもの主題歌ではないBGMで、黒タイツ+被り物のハイエナ軍団との戦闘が始まり、噛みつき攻撃に苦戦するゴーグルVだが、ハイエナ軍団を操るモズーの咀嚼音を分析、特殊装置で打ち消すことによって形勢逆転し、バックアップのコンボガと協力しながら、敵怪人の特殊能力を打ち破るのは、今作ここまでに欠けがちだった要素を補い、確かな作劇の進歩を感じさせます(今作の出だしが、何故か退歩していたわけではありますが……)。
配下だった筈のハイエナ軍団に襲われ、ハイエナモズーが逆に逃げ惑うと、さあ皆さんお待ちかね!
全世界注目のゴールデンスピアーが高らかに宣言されると、まあ2回目ではあるにしても、期待に違わぬフルバージョン、発動からハイエナモズーの爆発まで、約1分(笑)
更にそこからハイエナモズーが出動してリフレッシュすると、一暴れを挟んでゴーグルシーザー発進から合体完了までに約1分50秒を費やし、ただでさえシーザー発進から巨大戦が始まるまでが“無”みたいになっていた今作で、決め技開始から合計約3分のほぼバンク映像、はテンションの保持がかなり厳しいところ。
そんなわけで巨大戦がなんとなく終了すると、コンボガ一同はアフリカ展の再開を手伝い、「飢えの無い世界を作ろう」とする希望の象徴にコンボガを持ってくることで、“未来科学とそれを担う子供たち”が、今日の現実と明日の理想の橋渡しとなって、今作が本来持っていたテーマ性と真っ正面から繋がったのは、良かった部分。
……30話も半ばになって、やっとお手本的なエピソードが出てきたのは、あまりに遅きに失しましたが。
そんなわけでエピソード単独の出来は良いとは言い難かったものの、バンク映像問題以外の作劇には着実に改善の見出しが見られるとともに、「どうすれば『○○(作品名)』になるのか/こうすれば『○○』になる」という方法論――これがある作品は強い、というのが持論――確立の萌芽が窺えて、この先を知っている視点としては、シリーズ今後への道筋の見える一本でありました。
次回――暗殺VSコスプレ。
ナレーション「第一のターゲットはゴーグルレッド・赤間に絞られたしまったー! レッドがやられた!!」
が早すぎて(笑)