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V・V・V ビクトリー!

 (※今回のサブタイトルを聞いて以降、頭の中で『コン・バトラーV』の主題歌が流れて止まらないので、純粋な親切心から読者諸氏にもお裾分けしたいと思います。)

救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第18話

◆第18話「逆襲のVランサー」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希
 「大魔女降臨のその日まで、月が二度欠け、二度満ちる間しかない。天の怒り、この私がゴーゴーファイブに思い知らせてやる!」
 部下に小言を云っていたら上司から小言を貰ってしまい、自ら最前線に立つ決断をしたジルフィザーは策士サイマ獣・スパイダラスを召喚。
 「悪魔の糸を紡ぎ、ゴーゴーファイブに死の衣装を着せてやれスパイダラス」
 迫る納期を示す「二ヶ月」の表現に続き、詩的な物言いの格好いいジルフィーザ、今回は他にも
 「今からおまえ達は墓石の下で、黙して語らぬ、骸となるのだ」
 「吠えるだけで勝てるなら、子犬のほうが、うぬらよりいくらも強い」
 といった、大仰な台詞回しとレトリックが、ジルフィーザの個性に繋がって良かったです。
 ベイエリアにおいても、宇宙から近づき、あと二ヶ月で地球に到達するエネルギーの存在が確認されており……メタ的には物語の折り返し地点で地球が修羅の巷になっても困るので、“グランドクロスをどう空振りさせるのか”が気になって仕方ありません(笑)
 中盤に明確な山場を指定する事で、物語として敵味方の双方に自然な緊張感を与えつつ、メタ視点での「そこでどういう話運びを見せるのか」に興味を持たせるのは、今作前半の上手い作り。
 まあ当然、ええぇ……と腰砕けになった場合のリスクは伴いますが。
 肩書きで頭脳派を自称するスパイダー災魔が人間を蜘蛛の巣に捕らえ、ゴーゴーファイブは出撃。インプスとの戦闘中に5人を分析したサイマ獣は、カラミティブレイカーをあっさり回避すると捕まえた人々ごと姿を消し、手分けして人々の行方を追う内に、マトイは遊園地に仕掛けられたスパイダー空間に取り込まれてしまう。
 砂丘を黙々と歩く人々、という今作ここまでとはタッチの違う非現実性を強調した映像から、手に手に武器を持った人々に襲われたマトイはクモ災魔によって拘束されてしまい、ジルフィーザと砂丘でご対面。
 「母上にお喜びいただく為に、この星を破壊と混乱に陥れ、聖地となす。大魔女は、愛や友情や秩序などというプラスエネルギーが、殊の外お嫌いなのだ」
 大魔女が地球に降臨しようとしているのは、天の星々がグランドをクロスを描いた時、宇宙中のマイナスエネルギーが地球に集まる為であると理屈が付けられ、“降臨の為に破壊する”どころか“降臨した時に気分がアガるように破壊しておく”のが、人類と災魔一族の相容れ無さを強調すると共に、これまでだいぶ曖昧に使われていた「プラスエネルギー」とはなにか、についてひとまずの定義づけをしてくれたのは、終盤にマジックワード地雷が破裂する危険度を低下させて良かったところ。
 マトイを追いかけてきた弟妹4人もスパイダー空間へと突入するが、スパイダー空間では分析済みの武器を封じられて大ピンチ。ライフバード召喚も異空間の壁を突破できずに不発に終わると手も足も出ないまま絶体絶命の危機に陥ってしまう。
 「私の弟や妹たちも、お前達に苦しめられたんだ。長男のおまえは最後に始末する。弟や妹たちの断末魔、そこで聞いているがいい」
 敵味方の兄妹要素をしっかり拾い、マトイの前で4人を惨殺しようとするジルフィーザだがその時、異空間の壁を破って突入してきたアタッカーポットに轢かれて砂地に転がり、ポットの中から姿を見せたのは漆黒のライダースーツに身を包んだ謎の人物。
 「何者?! ゴーゴーファイブは5人ではないのか?!」
 ヘルメットを脱ぐとその正体は、誰あろう巽モンド!
 「命の重さを知る者が、平和の為に立ち上がる時、人は皆、ゴーゴーファイブになる!」
 豪速球で今作におけるヒーローテーゼが放り込まれて台詞がもはや最終盤なのですが……こ、これは、次回から残酷な路線変更でコメディになる前の緊急処置?! と、ちょっぴり不安になるぐらいの勢い。
 モンドは5色のVメランを子供達に放り投げ、解放されたマトイも着装。
 「貴様ら!」
 「人の命は地球の未来! 燃えるレスキュー魂!」
 ブーメラン片手にポーズを取る変則揃い踏みから、いつの間にやらベルトに収納されていた新装備のVランサーを起動し……ちょうど先日、『大戦隊ゴーグルファイブ』の感想で、《スーパー戦隊》では「槍」は割と珍しいような……と書いた途端に、ドンピシャで出てきました、「槍」(笑)
 異空間でハッタリを加味したものの、つまるところデータ派怪人だったスパイダーは、新装備投入に策を見失うと果敢に正面突撃するも物凄い勢いで切り刻まれ、ジルフィーザもまた、突然の急展開に泡を食っている内にゴーレッドの猛攻撃を浴び、Vマシンガンモードからの合体攻撃で大爆死……はさすがに免れたものの、まさか長男の初陣で新兵器の踏み台にされるとは思わなかった慢心からの大不覚。
 忠臣スパイダーを刺し殺すと遠隔ピエールさせたジルフィーザは、新装備のテコ入れがあるなら事前に知らせて欲しかった! 最初は下駄を履かせてくれるって信じていたのに!! と退却し、幹部クラスの初戦としては、歴代でも結構な酷い扱いでは(笑)
 ……まあディーナスも、直接戦闘こそしていないものの、初顔合わせの際は、作戦失敗確定状態からの兄による雑すぎるネタばらしを食らって精神的に爆散していたので、割と災魔4兄妹に厳しい作風なのかもしれません。
 ゴーゴーファイブは、アタッカーポットによって問答無用で開けられた空間の亀裂からVロボを召喚するとお祓いプロミネンスし、プラスエネルギーとは秩序……つまり、お役所の書類手続きこそ、死せるサイマ獣には最も有効なのだ!
 巨大スパイダーが消し飛ぶと、異空間は消えて捕まっていた人々も解放され、関わっていないマトイ以外の兄妹一同、ブーメラン遊びしていたわけじゃなかったのに罵声を浴びせた件についてモンドに謝罪するのですが…………多分その人は、消えた人々を捜し回った末に空振りで帰ってきた子供達の気持ちについては深く考えずに、タイミングを計ってブーメランを見せて
 「何そのブーメラン?」
 「うむ、実はな……」
 と新装備の説明をするのをワクワクしながら家で待っていたのだと思うので、ほどほどで良いのではないかな……。
 この後、00年代に入ると追加戦士登場など大きめのイベントが入りがちなタイミングで、新装備投入と、近づくグランドクロスについての情報整理が行われ、ジルフィーザが脱がされた下駄をVランサーが履く無慈悲な展開でしたが、個人的には、ジルフィーザをあそこまで負けさせなくても良かったのではないか、と(笑)
 長兄出場ながら策士サイマ獣もそこまで面白いこともなく、ジルフィーザにはもう少し大物然とした立場をキープしていて欲しかったですが、次回――Vランサー登場・災魔長男完敗、の直後に今度はゴーゴーファイブ完敗?!
 ここ数話、ちょっとピリっとしない出来が続いているので、折り返し地点へ向けた良い起爆剤になってほしいところです。
 ちなみにVランサー、必殺技がグリップ付け替えによる銃モードだった事もあり、個人的には今のところ、「槍」というより「銃剣」みたいな印象。槍モードでの必殺技もあると嬉しい。