『大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第31-32話
◆第31話「ブルー! 大突撃!」◆ (監督:小西通雄 脚本:鷺山京子)
「試験番号1番! 悪魔の心指数、2!」
「悪の計算能力、0!」
「悪の創作力、1!」
デスダークは将来の人材確保の為、子供たちをさらい集めてデスダークの科学者にしようと適性試験を行い、「暗黒科学(者)とは何か」もはやすっかりよくわからなくなってきていますが、飛び出してくる用語がけったいすぎて面白い(笑)
「もういい! 100点満点だというのに、一桁ではないか!」
「ええい落第だ!」
その頃、道に飛び出した野球少年を助けた青山は、ギャラリーの目を意識した無駄なハイジャンプ捕球で子供達から尊敬の眼差しを勝ち取ると少年野球のメンバーと仲良くなり、「レッド! 危機一髪!」「ブラック! 大逆転」に続くパターンのサブタイトルでのメイン回となりましたが、こうなると残り話数で「イエロー!」「ピンク!」も是非とも揃うのを期待したくなります(笑)
子供たちの失踪事件について手分けして調査を行うゴーフルファイブは、ガラガラヘビモズーが催眠音波による集団誘拐を行っている現場を青山が目撃。
生身バトルから変身しての戦闘シーンまでがソロでたっぷりと描かれて、水が無いけど夏の青山祭となると、ピンチに陥ったところで一同合流するが、尻尾を振り回して様々な現象を起こすガラガラヘビモズーに大苦戦。
だがそこへベラとベスが現れる(!)と、空に浮かんだ大元帥自らが帰還を指示し、形勢有利のままガラガラヘビモズーは撤収。
「レッド、なんとかしてガラガラ金縛りを破る方法を考えないと、奴は倒せないぜ」
今作としては大変珍しいところへの言及が出てきて作劇の進歩を感じさせる一方、基地へ戻ったガラガラヘビモズーを待っていたのは、総統直々のお叱りの言葉だった。
「おまえのさらってきた子供たちは、使い物にならん!」
……僭越ながら総統閣下、それは、そもそも作戦の方向が間違っているのでは。
と、正面切っては言えない立場のガラガラヘビモズーは、やはり最後にものをいうのは頭脳ではなく筋肉と塾通いの子供たちから野球少年たちへと標的を変え、そんな怪人に炸裂する、左サイドスローの《投石》!!
少年を人質に取られた青山は、スモークグレネードを地面に投げつけて一時逃走すると、誘拐した子供たちを乗せたバスの後を追跡し、メンバーソロのアクション主体だと、どうしても雰囲気が似たり寄ったりになってしまうのは、苦しいところ。
処刑寸前の子供たちを救出したブルーとヘビの一騎打ちがしばらく続き、残り4人が合流して子供達を安全圏へ逃がすと、毎度お馴染み、仕切り直しで戦え大戦隊!
ガラガラヘビ超音波とメカヘビ攻撃に苦しむゴーグルVだが、尻尾の破壊で特殊攻撃を封じると、ジェットリングからのビクトリーフラッシュで仕留め、巨大戦では超音波からの猛攻を受けるゴーグルロボだが、フラッシュで反撃すると電子銀河斬りでさっくり真っ二つにするのであった。
冒頭から、れっきとした青山回だったのは良かった一方、どうしても黒田アクション回の二番煎じ・三番煎じにしからなず、青山ならではのもうワンジャンプが生まれないのは、物足りないところでありました。
野球少年へ向けた「俺も小さい頃、弱虫で泣き虫だった」の言葉でパーソナルを掘り下げたのは一瞬で、それが青山自身の行動原理として強調される事もなく、後半は青山に憧れる少年の勇気が《投石》の形で出力されてそこで終わりとなってしまうので、二人の関係性をもう少し後半の展開に劇的に作用できていれば、と惜しまれます。
後、掴みでデスダークが「悪魔の心指数、2!」と頓珍漢な方向へ爆走していくのは面白かったので、ゴーグルVサイドから見た「集団誘拐」の要素だけが残って、「暗黒科学適性試験」が消滅してしまうのは、残念でした(笑)
◆第32話「ドキッ 骨ぬき人間」◆ (監督:服部和史 脚本:筒井ともみ)
ヤドカリモズーの骨抜きガスを浴びた人間は、その名の通り、身も心も骨抜き人間になってしまうのだ!
「後は我がデスダークの、思いのままに支配してやるのじゃ」
「やれぃ! 骨ぬき作戦!」
ゴーグルVと一当たりするや逃走したヤドカリモズーが油壺マリンパークに逃げ込むと、追跡していた赤間はそこで警備員をしている、旧知の元警察官と再会。
「大学の先輩後輩」(鉄板)でもなければ、「登れそうな壁を探してうろちょろしている時に職務質問された」(不審者)でもなく、「飼っていた子犬が迷子になった時に探してくれた縁」で動物を愛する好人物とアピールされる警備員だが、やたら感じの悪い館長から、ヤドカリモズーが再び逃走した原因として叱責を受けてしまう。
警備員父子のすれ違いと、少年に父親の立派さを諭す赤間の姿を織り込みつつ、ヤドカリモズーと再戦なると、殻の脱げたヤドカリを好機とばかり袋だたきにするゴーグルV。
しかしまたも逃走したヤドカリは丁度いい貝殻を求めて油壺マリンパークに侵入し、Aパートではゴーグルボールを弾き返していましたが、それは、暗黒科学の産物ではないのか(笑)
その時、本物の殻を拾っていた警備員が、それを囮に使ってヤドカリを確保、を試みるも息子を助けようとして危機に陥るとゴーグルレッドが駆けつけて、戦え大戦隊!
……赤間が警備員を讃えた理由が「かつて犯罪者の追跡よりも大事だと考えた正しさを選んだから」なのに、少年が父親への尊敬を取り戻すのが「ヤドカリ怪人に殴りかかったから」なので大変ちぐはぐな事になっているのですが、加えて、この殻は最終的に骨抜きガスの解毒剤的意味を持つ事になるので、息子の為とはいえ警備員が「重要そうな証拠物件を持ち逃げして私情で蛮勇に走った人」と化し、赤間の評価と真逆の方向で親子が絆を取り戻す為、何もかもピントがズレまくり。
結果、赤間が述べた言葉は少年の心に全く響いておらず、父親も父親で多数を救う可能性よりも息子に格好いいところを見せてついでにあの腐れ上司をぎゃふんと言わせてやるぜーーーみたいな気持ちだった事になってしまったわけですが(まあ生活もかかっているとはいえ)、取り出してもいないのに赤間のロープがまた切れました。
海岸線と公園を行き来しながらの集団戦では、突然の「ピンク旋風作戦」が宣言されると、某救急戦隊ばりの勢いでスクラムから空中に舞ったピンクがピンク旋風で骨抜きガスを跳ね返し、浴びた戦闘員が溶けて消えてしまったのですが、何で出来ているのかデスダーク戦闘員。
ガスを封じられたヤドカリは、触角ロープに貝殻爆弾、更には口から投網を放ち、最近のモズーは全体的に、小技多め路線。
網をかけられた5人はまとめて海に放り込まれて溺死の危機に陥るが、ゴーグルサーベルで辛くも脱出すると一斉ゴーグルキック。
殻にこもったヤドカリには、キックも将棋拳法もメガトンボールも通じないが、ゴーグル穴掘りで地下からひっくり返す頭脳プレイから、ゴーグルボールそしてビクトリーで倒すのは、それなりに戦闘に起伏がついて良かったところです。
ヤドカリモズーの消滅後に残った殻は、毒ガスの分析の為に黒と桃が持ち帰る形でロボとシーザーのメンバー分けに意味が与えられ……るかと思ったら、シーザー召喚・搭乗のバンクシーンに普通に黒と桃も居るので手分けした感じはあまり出ませんでしたが、戦闘開始。
巨大戦の最中に、殻の分析結果が報告されて解毒方法が判明すると、じゃあ本体は用済みだ、と銀河斬りで真っ二つにされ、現状そこまで効果は出ていませんが、〔敵サイドが有利のまま理由をつけて一時撤収 → ゴーグルVサイドが煙玉で撤収〕とした前回や〔巨大戦のメンバー分割に合わせて別の行動目的を与える&分析チームの存在を戦闘中に活用(?)〕した今回など、単調なパターン化や設計上のならではの部分に手を加えようとする意識は見え隠れしてきつつあるここ数話。
次回――イエローでもピンクでもなく、「シーザー」大爆破!