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夏休みてんぐ大戦

大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第30話

◆第30話「猪苗代の黄金魔剣」◆ (監督:東条昭平 脚本:曽田博久)
 掴みの見所は、長い足を高々と上げる赤間のハイキック。
 ルックスは好きなので、最終回までに一度ぐらいは華麗なロープアクションも成功させてあげてほしいです、赤間
 「あれが噂のゴーグルファイブか。やっと巡り会えた」
 天狗モズーの鼻からミサイル!
 だが謎の老人は全然大丈夫だ!!
 和装で木刀を振るい、デスダークの戦闘員を蹴散らす老人の大暴れに始まり、通りすがりなのか通報を受けたのか、それを助けるゴーグルファイブ
 「黄金魔剣、必ずちょうだいするぞ!」
 天狗モズーは捨て台詞を残して撤収し、会津イッテツ流の25代目を名乗った老人から、流派に伝わる魔剣をデスダークから守ってもらいたいと依頼を受けたゴーグルVは、乞われるままに福島県猪苗代湖へ向かうが、そこで待っていたのは、孫娘と結婚して流派の後継者になってほしいという老人の無茶な申し出であった。
 食費・宿泊費向こう持ちで、楽しく観光旅行できると思ったのが大間違いだ!
 女学生を前に一人だけその気になってしまう黄島だが、赤黒青から一斉にはたかれるのが今作にしてはユーモアを効かせた演出となり、場の空気がちょっと和んだところで(黄島を落とすだけでなく、そこに繋がるのが効果的)、窓の外にわざとらしくギターをかき鳴らしながら現れる男子学生。
 「世界的冒険家・赤間健一、ロープを使ったクライミングの達人……だが日本じゃあ、二番目だ」
 「二番目だと? じゃあ、日本一は誰だ」
 「ひゅう~♪ ちっちっちちちち、はっはっはは」
 ……どころか、「田舎のプレスリーめ!」と老人からバケツで水をぶっかけられて退散していくのが、色々と時代を感じさせます(笑)
 婿になりようがないから、と一人だけ外で待機させられていた桃園が学生を追いかけていって事情を聞き、老人は老人で色々と無茶苦茶ですが、クラシックギターぶらさげて湖畔まで走って逃げて黄昏れている、君は君で大概だな……。
 「そもそもデスダークの古文書によれば、黄金魔剣は暗黒科学に伝わるものなのです」
 デスダークではデスマルク大元帥が魔剣の所有権を主張しており、いざとなれば法廷闘争も辞さないがまずは腕力での解決を目指したい、と“デスダークの勇者”の響きに胸をときめかせるデスギラーを会津へと派遣。
 現地では既にマズルカが、孫娘にちょっかいかける田舎のプレスリーに老人が怒り心頭との情報を掴んでおり、どこからから響き渡るギターの音色を誘い水にして老人と赤間らの分断を図ると、ギター抱えた天狗軍団が四方八方から姿を見せるのは大変素敵な画で、遠征ロケの勢いか、今回はいつになく演出が冴えています(笑)
 「はははははははは! 一杯食ったなゴーグルファイブ!」
 ギター天狗部隊の真ん中にデスギラーが現れると軽業バトルが展開し、鶴ヶ城?をバックに変身した男衆は、揃ってサーベルを手にチャンバラ風味の殺陣を繰り広げるが、その間に老人と孫娘はデスダークに捕まり、魔剣の在処を吐くと洞穴の中に閉じ込められてしまう。
 桃園とギター青年も合流して山腹を探し回るも二人は見つからないが、必死の思いで青年が奏でたギターの音色が洞穴まで響き渡ると、少女がそれに応えて洞窟の壁を石で叩く震動を黄島の耳が捉え、設定を、鮮やかに、拾った……!
 まあ、このぐらいは普通にやってほしいレベルではありますが、今作では割と椿事の部類であり、アクの強い老人・振り回される孫娘・淡い恋心といった要素がゴーグルファイブを媒介に繋がってヒーローの「勝利」と老人の「変化」をもたらし、第22話以降急速に、曽田脚本が最低限の水準を取り戻してくれているのは、大変助かります。
 音の聞こえてくる方向をゴーグルアイで探って老人と孫娘を救出し、黄金魔剣を掘り出したデスダークを止めるのは、ゴーグル天狗軍団!
 「何者だ貴様ら!」
 と誰何されるとすぐに変装を解くので、一瞬ちょっとビックリさせる、以外の意味は本当に何もないコスプレでしたが、敵も味方も天狗尽くしで、戦え、大戦隊!(磐梯山の近傍には、「天狗の庭」と呼ばれる景勝地があるとのこと)
 クライマックスは一同ゴーグルサーベルという名の日本刀を振るう事で味に変化を加えると、遂に黄金魔剣(使い切りとはいえ、このプロップがちょっと安っぽかったのは残念)を手にしたデスギラーが、デスダークの勇者に俺はなる! と、かつてない力を発揮。
 概ね不敗を誇ってきたゴーグルサーベル投擲さえ無効化すると、個人武器攻撃も当然のように跳ね返すが、あ、これ、呪いの類では……? とゴーグルシャワーで浄化されてしまい、前作に続いて、神聖魔法、強い。
 呪いのブースト装備は強制解除され、天狗団扇vsリボンタイフーンの風力対決に勝利したゴーグルファイブは、ゴーグルスカイからのサーベルアタック、そしてビクトリーフラッシュ!
 デスギラーが現場に居るので無言で天狗モズーが出撃すると、大変珍しい戦闘機の迎撃指示でコンボガの出番と台詞が確保され、軽く(本当に軽く……)撃墜してから、ゴーゴーチェンジ。
 鼻どころから顔を飛ばしてくる天狗コングだが、ベーゴマアタックからの電子銀河斬りでずんばらりんと絶命するのであった。
 黄金魔剣はさっくりと猪苗代湖に沈められ、磐梯山に立つ5人の姿で、つづく。
 ナレーション「さらば磐梯山、さらば、猪苗代湖
 デスマルク大元帥の古文書による情報以外これといった伝来の経緯を語られなかった黄金魔剣については、バード星人による宇宙辺境への不法投棄だった疑いが、かなり濃いと考えられます。
 常になく広い空間で戦うとそれだけで映像に新鮮さが出て映える、という効果もありますが、会津遠征による画と妙に勢いのいい演出、各要素がしっかりと連動する脚本が合わさって、今作としてはなかなか楽しい一本でした。