『救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第11-12話
◆第11話「灼熱の2大災魔獣」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希)
遥か外宇宙よりグランディーヌの声を聞いた災魔4兄妹は、1クール目の締めに設定の再確認を行いながら営業ノルマ達成の為に盛り上がると、ドロップの眷属たる火炎サイマ獣ヘルゲロスを誕生させ、火山の噴火による首都バーニング大作戦を発動。
赤青緑黄が、ベイエリアでモンドの人体実験に煙を上げる中、モンドの発明品を武蔵岳の活火山研究所へ届けに向かっていたマツリはバスジャック事件に巻き込まれ、火炎サイマ獣により迫る噴火の危機と無謀なバスジャックが絡み合い、ゴーゴーファイブは武蔵岳へと出撃。
新ロボへの伏線を張りつつ、天の災害と人の犯罪を組み合わせて両者のサスペンスを並行していくのですが、バスジャック犯(逃亡中の銀行強盗)の描写が弱い為にバランスが悪く、どんな犯罪者でも救える命には手を伸ばす、とする主題も響きが浅くなり、人情ドラマは月並み以下の出来になってしまいました。
ちなみに、特撮ヒーロー物×ローカルバス密室劇としては、『鳥人戦隊ジェットマン』第12話「地獄行バス」(監督:東條昭平 脚本:井上敏樹)が傑作という話は隙あらば何度でもしたい。
鉄橋から転落しかけた登山バスを緑マシンが救出してレスキュー要素が消化され、九死に一生を得て心を入れ替えた強盗がバスの運転を買って出て麓を目指すと、マツリを加えたゴーゴーファイブは火山の噴火を阻止する為に武蔵岳へと入り……マツリはもう、変身してもいいのでは(笑)
まあ、サイマ獣を外に追い立てたところで変身から名乗りに繋げたかったのはわかるのですが、生身の一人だけが荷物を持たされている画の不自然さなど、ちょっと無理のある流れになりました。
前回の今回で率先して飛びかかっていった黄が火炎絵放射に撃墜され、変身後も肩から大事な装置入りのカバンを提げている桃を援護要員にして赤が突貫を仕掛けるのも、んん……?? という描写になり、前回に続き、アクションシーンの組み立てがいまいち。
赤の近距離消化剤噴射に押し負けたサイマ獣がぐったりするとカラミティブレイカーで始末され、遠隔巨大化すると盛大に炎を吐き出すが、そもそも基本、ビクトリーロボは火消し魂で炎耐性持ちなのであった!
火事場でこそ真価を発揮するVロボは、再び消化剤で弱らせてからビクトリープロミネンスを放ち、サイマ獣をさっくり一刀両断。
これにて一件落着、と思われたその時、なんと地底のマグマ溜まりの中から、灼熱ボディと化した溶岩巨人が復活し、雑にポイ捨てして勝った気になってはいけないと、ヒーローにも良い教訓になりました。
「もしや、あれは母上様の魔力っ」
「母上様の……恐るべき、力!」
災魔兄妹がすかさずグランディーヌを持ち上げると、マグマ棍棒の一撃でブレイバーソードが叩き折られ、モンド、ビックリ仰天。
Vロボを殴り倒したマグマゴレムは更に、犬サイマを強化復活させる魔力を発動し、真っ赤に燃える二大サイマ獣に囲まれて袋だたきに遭うVロボに、珍しくナレーションさんがエールを送って、つづく。
如何にも強化前後編の前編、といった出来で、次回――なんか凄いの出てきた。
◆第12話「決死の新連結合体」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希)
「このぉ! 調子に乗るんじゃないぜ!」
これまで無敗を誇ってきたハシゴパンチも通用せず、絶体絶命のビクトリーロボは、通信途絶でベイエリアのバックアップも受けられないまま地割れの中に沈み、勝利を確信したジルフィーザーは、首都壊滅作戦の進行を命令(雑にポイ捨てして勝った気になってはいけない!)。
武蔵岳から周辺に火の玉が降り注ぐ中、辛うじてVロボから脱出した巽兄妹は活火山研究所を目指すが、そこには麓への道が通行不能になった登山バス一行も避難してきていた。
研究所の責任者は、モンドの旧友であり、巽母――リツコ――とは「親友っていうよりライバル」だった五十嵐博士で、クールの締めに強化展開に合わせて、随所に巽母の名前を出してくれたのは今回の良かったところ。
更なる大噴火の予兆が迫る中、インプ軍団が研究所を襲撃し、マトイら5人は着装。
ビクトリーロボ最後のエネルギーで噴火を止めようと乗り込んでいくと、その決死の姿に子供たちを信じると決めたモンドは、躊躇していた切り札を切る覚悟を固め、モンドと共に突貫でコックピット改造に手を貸す速瀬さん(の宇宙飛行士スキル)が、役に立った……!
なんとなく先輩からは、キャストを用意してみたはいいものの使い方を決めあぐねている雰囲気が漂っているのですが、ひとまず、基地に押しかけてきてお祈りしているだけにならずにホッとしました。
(母さん、私は息子たちを危険にさらす、悪い父親かもしれない。しかし、あいつらの頑張りに、賭けてみたいんだ)
改造したコックピットの座席が移動していき……
「行け、ゴーライナー!」
再起動するも2大サイマ獣に行く手を阻まれていたVロボは、モンドから新たな前進の為の一時退却を指示されると、緊急分離。近傍まで送り込まれたゴーライナーに救急マシンが格納されると新システムが起動され、ゴーライナー…………飛んだ(笑)
カタパルトで打ち上げられたゴーライナーが、空中で変形合体するインパクト抜群の映像によって、連結合体・グランドライナー、ここに誕生!
「みんな、これが新型ロボ、グランドライナーだ」
操縦するだけでパイロットに苦痛を与え体力を奪い命の危険にさらす悪魔の兵器に乗り込んだゴーゴーファイブは、二大サイマ獣への雪辱戦に挑み…………デ・カ・い。
身長およそ2倍、古の箱型ロボを思わせる圧倒的サイズ差で、えーこれは、操縦するだけでパイロットが死にそうになってもやむを得ないですね……当法廷では、被告人・巽モンドに、無罪、を言い渡したいと思います。
両肩から飛び道具を発射するだけでコックピットの5人が苦痛にのたうち回り、扱いは完全に禁忌の魔剣ですが、《スーパー戦隊》不滅の法則“デカいは強い”に則り、マグマ巨人はあっさり消滅。
「光の拳よ! 灼熱の嵐を呼べ!」
残るヘルゲロスの火球を受けても微動だにしないグランドライナーは、肩パーツを両の拳に取り付けて放つ必殺拳グランドストームによりサイマ獣を消し飛ばし、破壊力以上に反動が衝撃のデビュー戦を飾るのであった。
それはそれとして噴火を続けている火山も、冷却ミサイルによって沈静化……というか山の上の方がまとめて凍りつけにされ、これはこれで色々と大丈夫なのかちょっぴり不安ですが、とにかく噴火は止まった!!
科学の発展には代償が付きものだ!!
「悔しいけど、正解だったのね。リツコと結婚して。あんな素晴らしい子供達が育ったんですもの」
五十嵐博士とリツコさんは、若い頃にモンドを巡って恋のさや当てをしていた仲だったと、視聴者としては別に知りたくなかった情報が付け加えられ、現在、私の脳内で「リツコ」の音から連想されてしまったのが、『人造人間キカイダー』(1972)のヒロイン、愛する男の為ならば、小脇にハンドバッグ抱えて小学生づれで悪の組織の勢力下に忍び込み、他人(子供)のラジオを勝手に分解して部品を拝借し、湖岸にボートを突っ込ませるなど朝飯前の、“ダークの女”ミツ子さんで、大変困っています。
強盗犯はなんか良い感じに皆に受け入れられていたが、それはそれとして逮捕から、人生のやり直しへの決意で幕を閉じるのは、なんとなく<レスキューポリス>テイストで、幕。
……まあこの状況で、警察に通報してたの誰なの感は凄く出ましたが!!
新型ロボ登場だけでは前後編を乗り切れないと判断したのか、加えた強盗ドラマの方は、どうにも今ひとつの出来。
第1話からベースになるマシン(ゴーライナー)は登場していた事もあってか、過去2年の『メガ』第20話、『ギンガ』第19話に比べるとかなり早い段階で2号ロボの投入となり、まさかの、いきなり超ビッグサイズ。
箱型ロボの系譜といって良さそうですが、列車の四角感を活かした体型は箱寄りなりに押し出しが効いて格好いいですし、顔も二枚目なので今後の活躍に期待したいと思います……が、この時期の投入という事は、恐らくシリーズ史上でも珍しそうな、箱系ロボの完敗を見られるのかもしれないと、それはそれで期待(笑)
次回――エビフライの大きさにこだわるみみっちくて横暴な長兄とは縁を切り、弟妹、高級ホテルで豪華ランチ?!