東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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火を噴く 赤心少林拳

仮面ライダースーパー1』簡易構成分析(ドグマ編)

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◆第1話「惑星用改造人間の大変身」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
 「スーパー1が欲しい」
◆第2話「闘いの時来たり! 技は赤心少林拳」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
 「空手道場を中心に周辺の土地家屋が欲しい」
◆第3話「行け!地の果て ドグマの黄金郷」◆ (監督:広田茂穂 脚本:江連卓)
 「黄金郷建設こそ、余の長年の夢じゃ」(黄金はない)
◆第4話「走れ一也! ドグマ死の結婚行進曲」◆ (監督:広田茂穂 脚本:土筆勉)
 「石油をタネに日本政府を脅迫して土地が欲しい」
◆第5話「跳べ一也! 悪魔のマシーンレース」◆ (監督:山田稔 脚本:土筆勉)
 「ドグマ近代美術館が建てたい」(美術品はない)
◆第6話「助けて――くもの巣館の恋人たち」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
 「美しい村を建設したいので村人を選びたい」(村はない)
◆第7話「ドグマ式生きているコンピューター」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:鷺山京子)
 「生体コンピューターが作りたい」
◆第8話「闘え一也! 死のドグマ裁判」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:土筆勉)
 「王国気取りで裁判ごっこがやりたい」(王国はない)
◆第9話「見たぞ!! ドグマ怪人製造工場の秘密」◆ (監督:小西通雄 脚本:江連卓)
 「カニすきが食べたい」
◆第10話「危うし! 悪魔のクリスマスプレゼント」◆ (監督:小西通雄 脚本:土筆勉)
 「クリスマスが憎いので、東京都民を大量虐殺したい」
◆第11話「SOS! 一也よ、ドグマに協力せよ!!」◆ (監督:山田稔 脚本:熊谷節)
 「地球滅亡を止めたい」
◆第12話「強敵あらわる! 赤心少林拳敗れたり」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
 「ドグマ秘密警察を発足させたい」
 (※沖一也のあおぞらけんぽうきょうしつスタート)
◆第13話「見つけたり! 必殺“梅花”の技」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
 「(同上)」
◆第14話「ドグマ全滅? 悪魔博士の笑いガス」◆ (監督:田中秀夫 脚本:土筆勉)
 「東京中を笑いの炎で焼き尽くしたい」
◆第15話「天才怪人対ライダーの知恵くらべ」◆ (監督:田中秀夫 脚本:熊谷節)
 「ドグマの計画が将来失敗に終わる可能性が99%なので阻止したい」
◆第16話「助けて! 一ツ目怪人が襲ってくるよ」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:江連卓)
 「今ある学校を全て焼き払ってドグマ学校を打ち立てたい」
◆第17話「一也の血が欲しい! 不思議な剣が呼ぶ」◆ (監督:佐伯孚治 脚本:江連卓)
 「妖刀ドグマンを生み出したので、ドグマ帝国建設を祈願したい」
◆第18話「ファイブ・ハンド チェンジ不能!!」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:土筆勉)
 「東京にドグマ王国の神殿を建て、一気に日本中の人間を、我がドグマの、熱烈な信者としてしまうのじゃ」(建設資金はない)
◆第19話「悪魔の学習塾!! 恐怖のラジカセ怪人」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:鷺山京子)
 「ドグマ帝国の未来を担う幹部候補生を育てたい」(だから帝国はない)
 (※沖一也のあおぞらけんぽうきょうしつ解散)
◆第20話「君の家に! ドグマの電話が今夜鳴る」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝
 「日本中の電話を発狂音波に接続したい」
◆第21話「緊急指令! ファイブ・ハンドを奪え!!」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
 「ファイブ・ハンドが欲しい」
◆第22話「怪人墓場の決闘! メガール将軍の最期」◆ (監督:小西通雄 脚本:江連卓)
 「メガール将軍は星を見ていた」
◆第23話「不死身の帝王テラーマクロの正体は?」◆ (監督:小西通雄 脚本:江連卓)
 「テラーマクロは永遠になりたい」
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 演出〔山田稔:9本 佐伯孚治:4本 小西通雄:4本 田中秀夫:2本 広田茂穂:2本 奥中惇夫:2本〕
 脚本〔江連卓:12本 土筆勉:6本 鷺山京子:2本 熊谷節:2本 伊上勝:1本〕

 演出は、長らくシリーズに関わってきた山田監督を中心に、この後、《スーパー戦隊》に参加したり《メタルヒーロー》に参加したり、といったメンバーが入り乱れ、前半時点で7人の監督が参加、と結構多め。
 脚本は前作後半の流れを受ける形で江連卓がメインライターとなると、サブライターも同様にスライドの形になりましたが、前作途中で降板となった伊上先生の参加は驚いたところ。
 折角なので、ドグマの夢いっぱいリストを併記してみましたが、「黄金郷建設こそ、余の長年の夢じゃ」(第3話)からの、「ドグマ近代美術館を建てようと思っているのでまず収蔵する美術品を盗むところから始める」(第5話)は、組織の芸風確立として見事なコンボでありました(笑)
 「王国気取りで裁判ごっこ」(第8話)は、不条理劇とドグマらしさの組み合わせが秀逸で、第5話&第8話でドグマの方向性を固めた(少なくとも見るこちら側の心構えが決まった)のは、立ち上がりに土筆さんがいい仕事。
 ドグマ王国の神殿を建てる為に、まずは仮神殿でお布施を集める第19話も、いい味が出ていましたし、こうして振り返ってみるとエピソードの出来不出来とは別に、“ドグマとしての味”がしっかりと存在していたのは悪の組織としては光ったところで、2クール弱での壊滅には、改めて惜しさも感じます。
 メインの江連脚本ではやはり、メガール将軍が退場し、宇宙研の闇が白日の下に曝される第22話が名作回。
 宇宙開発を背景に、改造人間を“宇宙へ踏み出す人類の 開拓兵器 希望”として扱う、シリーズ従来とは違った切り口に始まり、第1話から主人公の出自と背景に触れ、赤心寺での修行などを通してその人間的弱さやパーソナリティを掘り下げようとする試みに始まった今作ですが、ドグマの壊滅・玄海和尚の蒸発と共にそれらが水平線に沈んで消えると、第2部ジンドグマ編では思わぬ運命が一也を待ち受ける事となり、EDテーマも変更となった結果、個人的に最大の謎となったのが「唸る鉄拳 飛竜拳」「飛竜拳」とはなんだったのか?! です。
 えいえいえいえいえいええい! えい! えい! えい! とぁーーーーーっ!!
 ……しかしまあ、『イナズマン』→『同F』しかり『ウルトラマン80』しかり、主人公を取り巻く環境に大きな変化があった際は、仕切り直しに合わせて主人公のアイデンティティの再構築(最低限ちょっとした心境描写と所信表明ぐらいで良いので)をやっておかないと、チーズが溶けて穴だけが残る、みたいな虚無が生まれかねなくて危険、としみじみ思うのでありました。