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酷暑のざっくり『スーパー1』

仮面ライダースーパー1』感想・第34話

◆第34話「マサルがひろった 魔法の赤ランプ」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
 「どこ行っちゃったのかしらもう……あの人いっつも肝心な時に居ないんだから!」
 実際には事件を解決に導いている秘密のヒーローが、それを知らない周囲の人々からは真昼の行灯に見えるという定番ギャグなのですが、最近の一也さんの存在感が存在感だけに、あまり洒落になっていなくて困ります。
 それとこの時代の仮面ライダーは、生身でもう少し(前半ぐらいには)出鱈目な方が、やはり面白いなと。
 開始3分以上、道で拾った赤ランプを車に付けて暴走を繰り返した末にひっくり返る無軌道な若者たちや、赤ランプの案内に騙されてバイクで沼にはまってもがくチョロとハルミの姿などを延々と見せられ続けて心が凍りそうになっていると、そんな一也は数々の戦いの経験から迫り来る危機を察知し、店を飛び出した!
 ……もはや役立たずさんには何も期待してはならない、と今回もジュニア・ライダー隊を招集したハルミ軍曹は、赤ランプを使って悪戯している奴を見つけてふん縛って背後関係を洗いざらい吐かせた末に瀬戸内海で魚の餌にしてやるのじゃ、と兵隊を従えて出撃。
 ジュニア・ライダー隊を手駒に従え、番組乗っ取りを目論むハルミだが、収穫なしに終わったところに一也が現れると、うちらのカシラはやっぱり一也のアニキじゃ、と良がハルミに背を向けて一也に敬礼し、クーデターは失敗に終わるのであった。
 肝心の赤ランプはマサルが拾って隠していたが、家に持ち帰って夜になると、赤ランプに姿を変えていた怪人・レッドデンジャー(パトランパーとかではなかった!)が正体を現して一騒動となり、サブタイトルにした割には、別に「魔法の赤ランプ」と少年のやり取りがエピソードの中心になるわけでもなんでもなく、肩すかし。
 危険を知らせる赤ランプの信頼性を失わせる事によって人の世のルールをかき乱し、大パニックに発展させようと夢見るジンドグマは、赤ランプの心理的効果を確認する実験を繰り返しており、見所は、ランプ怪人を逃がす為に自ら運転して車で現れる妖怪王女。
 ところがエレキ光線で赤ランプが車の屋根から撃ち落とされると、「後は任せたよ!」と走り去ってしまい、なにをしたかったのか目を白黒させていると、地面に落ちた怪人の目つぶし攻撃を受けた直後、3台のパトカーに囲まれたスーパー1は、レッドデンジャーの偽装に違いないと早合点して問答無用にエレキ光線でパトランプを破壊。
 ものの見事に警官隊に取り囲まれると公務執行妨害、器物破損で逮捕する」と手錠をかけられ、《仮面ライダー》栄光の逮捕史にその名を刻むのであった……スーパー1のまま。
 露骨に不自然な事もあり、牢屋に放り込まれてすぐに警官がファイターの正体を現し、全ては妖怪王女の罠だったと語られるのですが、性格的に一也にはギリギリまで「本当に警察に捕まった」と思わせておく方が効いたと思いますし、その展開でもう少し一也の精神を追い詰めてほしかったです(笑)
 ……いや、真面目に最近の一也、内心の動揺とか葛藤が皆無レベルになりつつあるので、このまま無色透明なヒーロー概念と化してしまう前に、少し外部から刺激を与えないから、いきなりエレキ光線でパトカーを攻撃とかしてしまうと思うわけなのであります。
 ライダー忍法・ビルの谷間に黒い影、により天井に張り付いて銃撃を回避したスーパー1は牢破り。街に大パニックを引き起こそうとしていたレッドデンジャーに正拳突きを見舞うとクライマックスバトルとなり、火を噴くレッドリングを両手に持っての戦闘はなかなか迫力ある映像でありました。
 頭部の赤色ランプに戯画化された目が付き、体は何故かボディビル体型、というデザインのインパクトは強かったランプ怪人ですが、冷凍ガスを放つまでもない相手としてパンチのラッシュから閃光キックで大爆死。
 露骨な尺稼ぎに次ぐ尺稼ぎ・パトロールには出るが事件から遠ざけられるばかりの沖一也・存在が消滅寸前の谷・敵も味方も全体的にだらっとした動き・ひたすら微妙な物語のスケール感、とジュニア・ライダー隊の出番確保をベースとしたジンドグマ編の陥りつつある負の連鎖が全部出た、みたいなエピソードとなり、そろそろカンフル剤の投入が欲しくなってきますが……
 次回――「馬鹿! 椅子が人殺しをするか」(芝刑事/『ロボット刑事』)