『仮面ライダースーパー1』感想・第30話
◆第30話「悪の超特急! ローラースケート怪人」◆ (監督:小西通雄 脚本:伊上勝)
今回は明るく軽快なローラースケートのシーンから始まり、同期『電子戦隊デンジマン』第15話でもローラースケートが題材にされましたが、国内では1960年代末からローラースケートの流行が発生し、1970年代後半になると「ローラーディスコ」が開店するなど、当時の流行ものであった模様。
「おまえはジンドグマのローラースケート隊の一員になった」
黒服の男がスケート青年に新品のサンプルと称してスケート靴を渡すと青年はスケートに操られるがままに走り出し、導入が前回と丸被りでどうしようかと思いましたが、帽子・サングラス・スーツで固めた黒服の男が、青年と共に黙々とローラースケートで疾走していく映像がなんともシュールで、ここから別の方向性に大きくジャンプ(笑)
左右から次々とスケート部隊が加わっていく映像も妙に面白く、そこに真っ正面からバイクで突っ込んでいく一也。
……ちょっと思い切りが良すぎませんか、一也さん。
「どこに行くんだ?!」
前回の大暴落を取り返そうとテンションの高い一也が躊躇無く暴力に訴えると、スケート部隊は毎度お馴染みファイターの変装とわかり、黒服の男は怪人マッハローラーへと変身。
飛び上がった一也も変身するが、激突寸前、鬼火司令が介入してマッハローラーが逃走すると、スーパー1は足止めに残った鬼火司令と拳を交え、ジンドグマ四天王と初めての戦い。
火の玉を操る鬼火司令は、閃光キックを受けると空蝉の術で姿を消し、まんまと逃げられたところにサブタイトルがかかるのがまた、ちょっと面白い(笑)
「よお諸君、お揃いだな」
基地へ戻った鬼火司令が、部下がやんちゃで嫌んなっちゃうぜ、と同僚に笑顔で説明しているところに悪魔元帥が出勤してくると、途端に感じの悪いホームルームのような空気で「鬼火くんがロッカーにアンパンを沢山詰め込んでいて困りますー」と吊し上げが始まるが、悪魔先生が「でもな先生は、そんな鬼火が、いつか凄いアンパンを作ってくれるところが見たいんだ」と仲裁して本日のジンドグマ劇場もつつがなく終了し……ホントなんなのか、この悪の組織(笑)
マッハローラーを完全に見失った一也は、チビとその姉がローラースケート場で遊ぶ姿に目を細め、ジュニアライダー隊の鉄の規律に「みんなでジンドグマの怪人を探し出すのに、一生懸命なんですよ」と満面の笑顔を浮かべて現実逃避しかけていたが、怪人がローラースケート隊の人員を物色しているところにそのライダー隊が巻き込まれ、「気が狂うまで、滑り続けろ!」と地獄ローラースケートに操られてしまう。
「見たか! ジンドグマに逆らうライダー隊の最期だあははははは!」
「ライダー隊に最期は無い!」
ジュニア・ライダー隊が画面に出てくると緩む一也のネジを、スーパー1の啖呵で締め直す力技により、冷凍ガスで強引にローラースケートを停止させると、滑走で逃げるマッハローラー! バイクで追うスーパー1!
格好いい挿入歌を背後に街中を爆走(バイクのまま歩道橋!)していく映像には変な勢いの面白さは発生し、ビルからビルもひとっ飛び!
追撃戦の末、倉庫でローラー部隊の待ち伏せを受けたスーパー1は怪人の頭から突然の殺人ガスを噴射されるが、スーパーライダー空蝉の術による回避から、
「マッハーローラー! お前の作戦もこれで終わりだ!」
と、特に何も打ち破っていないが謎の断言で殴り合いの土俵に持ち込み、迫り来るローラー部隊をちぎっては投げちぎっては投げ、の大暴れ。
残る怪人のローラー頭突きに苦戦するスーパー1だが、今日も便利なエレキ光線でローラースケートを破壊すると、足の止まったところに月面キックを叩き込み、強敵マッハローラーは「うぅ……無念、残念、口惜しやーーー!!」と弾け飛ぶのであった。
高速ダッシュに特化した怪人のアクションはなかなか面白かったですが、当初より設定が強そうすぎたエレキハンドの万能加減が天井知らずで、相手が悪かったとしかいいようがありません。
スーパー1・正気を取り戻したライダー隊・事件に巻き込まれたゲスト少年、が何か深い因縁の相手でもあったかのように怪人の爆死跡を無言で見つめると、劇中初使用の挿入歌(前作の前期EDぽい曲調)で締められ、ひたすら疾走感重視だったのに、ラストだけ別のフィルムが混ざったみたいな演出が、ちょっと謎。
前回に比べると一也の出番が多くて敵も味方も行動の勢いは良く、全体的に漂う尺余り感が微妙に間延びした穴埋めシーンを生んではいるものの、部分部分の見所は光るエピソードでありました。