東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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みえないきづかい

仮面ライダースーパー1』感想・第29話

◆第29話「雨あめ降れふれ! 怪奇傘男!!」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
 歌謡曲をBGMにハルミとマサコの新宿ウィンドウショッピングで始まり、そんな2人がすれ違ったのは、魔女参謀に続いて素顔で登場?の妖怪王女。
 妖怪王女が故意に手放した日傘には人間コントロール装置が仕込まれており、親切心で日傘を拾ったが為に傘から手の離れなくなってしまったハルミの困惑がドタバタ調で描かれると、傘に操られるままにひたすら真っ直ぐ歩くハルミは、電柱に顔面からぶつかったところで自由を取り戻し……それで、いいのか。
 自ら装置の実験を行っていた妖怪王女は、王女らしくシルクハットの紳士・雨男に傅かれると、ハルミの姿を見下ろして高笑いし、
 「日傘に目が付いていた?」
 モーターショップで事情を語ったハルミは男3人からは頭の不自由な人扱いを受け、君たちは最近、人間としての株価をジュニア・ライダー隊に吸われっぱなしだな……。
 一方、日傘大作戦の顛末はジンドグマ四天王に大受けし、はしゃぎっぷりが中学校の教室の片隅になっておりますが、悪魔元帥が重役出勤してくると、鬼火司令が作戦内容に噛みついて妖怪王女が受け流し最後に悪魔元帥が鷹揚に取りまとめてみせ……ジンドグマ四天王が悪魔元帥の前で互いにけなし合っているのは、悪魔元帥に気持ちよく上司ムーヴをやらせる為の、茶番劇疑惑が浮上。
 ……悪魔元帥はやはりテラーマクロの息子で、ドグマ家3代目のボンボン育ちとかなのでは。
 妖怪王女の命令で作戦の現場指揮を執る雨男は、その能力によって雨を降らせる事で学校帰りの子供たちにコントロール傘を握らせ、「ハーメルンの笛吹き男」といった画で豪雨の中を行進する子供たちだが、踏切に突っ込んでいきそうになったところを駆けつけた一也の筋肉に救われる。
 (出来る。……こいつは並の拳法家じゃない)
 一也は雨男に投げ飛ばされるも辛くも踏切から脱出し、突然復活する、拳法要素(笑)
 つまり雨男の正体は、ドグマ決戦編で瀕死の重傷を負った後にジンドグマに回収されて改造手術を受けた赤心少林拳の元門弟であり……悪いのはジンドグマの心だ!
 「どうした沖一也。赤心少林拳が泣くぞ」
 格闘戦で後れを取った一也は、傘に仕込んだ針を体の数カ所に突き刺されると、雨男の正体である怪人傘男を前にスーパー煙玉を地面に叩きつけ……現場の谷とチョロより先に逃げたぞ(笑)
 3クール目に入ったところで一也株が大恐慌に突入してちり紙交換に出すしかない額面になりつつありますが、一也の負傷をライダー隊に告げる谷もまた、カリスマ性も貫禄も全くないまま場の主導権を良に奪われており、若手士官の暴走を全く止められない無能な指揮官として、このままでは早晩、クーデターが起きそうで心配です。
 せめてもの存在感を出そうと頭をひねり、ライダー隊に見知らぬ傘への危険性を呼びかけるよう指示を出す谷だが、そんな言葉が世間に響く筈もなく、雨男の作戦通りに、操り傘を手にとってしまう市民たち(まあ先日、時計は何故か集まりましたが……)。
 (急がなければ、 俺の立場 街が大変な事になる)
 一也がメカの修復を急ぐ中、傘に操られるままに暴徒と化した人々は歩みを阻むものを片っ端から爆破していき、2台の車炎上から、数年にわたって使われている玉突き衝突爆発炎上パニック映像へと繋がれ、一也の危惧通り、結構な大被害。
 ジュニア・ライダー隊は雨傘軍団の行進を食い止める為に《投石》スキルを発揮するが、怒りの雨傘ロケットで追い散らされ、ライダー隊が最前線で命懸けの戦いを続ける中、一也はひたすら、“いつまで経っても来ない人”扱いを受けて実質的な主役交代が加速していくのですが、個人的に見ていて楽しいかといわれば、見たいのはそれではない、というのが正直。
 ようやく修理を終えた一也がバイクで走ってくる映像が挟まれるも、やたらめったらスピード感が無くて顎が外れそうになっていると、雨傘暴徒軍団は、スーパー1がエレキビームで大雑把に問題解決。
 地上のライダー隊から「傘怪人=雨男の正体」と伝えられ、あくまでも「スーパー1=沖一也とは知らない」体裁で話が進むのですが、では先程まで一也の到来を繰り返し求めていたのはなんだったのか(スーパー1が出てきた途端、一也の話題など一言も出なくなる)、という事になってしまい、つまりこれはこれで、全てわかった上で一也に気持ちよく秘密のヒーロームーヴをやってもらう為の、ライダー隊における茶番劇なのかもしれません。
 ……勿論、「何故か周囲の人間がヒーローの正体に気付かない」のは、ある種の物語を機能させる為に土台に埋め込まれていて掘り返したり触れるものではないシステムのような面はあるのですが、第2部に入って、物語の主体が「隠している側(一也)」ではなく「隠されている側(ライダー隊)」にスライドしている事で、土台-システムと、その上で展開している物語の間にズレが生じているにも拘わらず、その狂いが修正されていない(できない)ので、地下のシステムが不具合を起こしているといった感。
 スーパー1が戦闘員を蹴散らすと傘怪人との一騎打ちとなり、奪った傘で打撃すると、適当にエレキ光線、そして空中に放り投げた怪人に旋風キックを叩き込み、拳法で負けたが科学で勝利を収めるのであった。