東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   X/Twitter→〔X/Twitter/gms02〕

五ヶ月遅れの『ゴジュウジャー』

 実は『ブンブンジャー』見終えたらスッキリ次作にかかれるかと思っていたら、最終回後に《スーパー戦隊》シリーズそのものへの好感度や期待度が、かつてなく低下してしまい(個々の作品評価が変わったわけではないのですが、アレをお出しして良しとした人たちへの信頼感がだいぶ削られた)、ちょっとまだフラットな視点で見始めるところまで気持ちを戻しきれていないのですが、とりあえずさくさく加減で。

『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』感想・第1話

◆第1話「救世主ナンバーワン!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:井上亜樹子)
 「――その日、全ての戦隊の歴史は終わった。突如現れた厄災が巨人たちを打ち倒し、あらゆる世界、あらゆるユニバースは、破滅を迎えるかのように思われた。しかし……」
 歴代戦隊ロボが派手に吹っ飛んで、象徴を用いた省コストから、お姫様だっこされるブンブンジャーロという、大変面妖な絵面でスタート。
 「巨人たちは最後の力で闇を払い、眠りについた。……ロボの墓場。最後の巨人、テガソードは、そこで待っている。救世主の到来を」
 ……歴代《スーパー戦隊》(的存在)の終焉から始まる導入は完全に『海賊戦隊ゴーカイジャー』ですが(まあ約15年前になりますが)、歴代ロボのエネルギーも借りて厄災を退け、天に向かって指を掲げた黄金の巨大ロボが巨大な剣へと姿を変え、『仮面ライダーカブト』からも約20周年。
 舞台替わって、
 「命が惜しくねぇのかよ?!」
 「惜しくねぇ。だがおまえには渡さねぇ!」
 ありふれたコンビニの棚に置かれたカップ麺のパッケージにサブタイトルが刻まれているちょっと変化球な見せ方から、フランクフルトの肉汁でコンビニ強盗を撃退するが、積もり積もった無愛想な接客の積み重ねもあってクビを宣告されたのは、喫茶店に下宿する貧乏フリーター・遠野吠。
 大雑把で荒っぽい言行・ナイフを突きつけられても動じない肝の据わり具合・神室町の辺りで育ってそうな「死にてぇ奴からかかってこい!」な雰囲気と攻撃手段……反社のオーラしか出ていなくてアバンタイトルの時点ではどうなる事かと思いましたが、下宿先の子供とは仲良しで最低限の好感度を確保してくれてホッとしました。
 「俺はしょせん、この世のはぐれ者。俺の命なんて安いもんだ」
 チンピラに絡まれて下宿先に迷惑はかけられないと殴られるに任せるなど、一本筋の通った元極道といった風情ですが、時代物と任侠物は東映ヒーローの親戚なので、まあ遺伝子配列としては正統です。
 社会に適合する気はあまり無い一方、生活の為にめげずに面接に向かって真っ当に金を稼ごうとする姿勢そのものは立派な遠野……そこが立派な割に、職場に適応する気が欠片も見えないのはちょっと謎ですが(笑)
 結果的にコンビニ強盗から救う形になった、黒縁メガネで気弱な大学生とでもいった雰囲気の元同僚(演じるのは、前作の範道大也役だった井内悠陽)と行き会った遠野はハンバーガーを御馳走になり…………バイトの理由は「食うため」といったら「つまんない」とか返してくる奴は、その辺りの砂浜(ギリギリ波打ち際)に埋めてしまっても良いのではないでしょうか。
 この後、遠野の転機の一助となる「夢とか願いとかあるから人は生きていける」と口にする役回りにしては、個人的に全然好感が持てないのですが(笑)
 ……まあ、どんどん“そういう物語世界”になっていくのかもですし、別に好感を持たせる気もなく、普通に感じ悪い奴の可能性もありますが。
 ライブで歌を聴かせたい人が居る、と語り出した元同僚の話を聞いている内に、「円」の中から巨大な蝋燭ロボとベル兵士が出現して人間界を蹂躙していくと、ギターケースの中からリングと剣のようなものを取り出した元同僚は、某界賊のようなダンスでクワガタオージャーに姿を変えて謎の襲撃者に立ち向かっていき……うーん、個人的に過去キャラ変身とか登場が別に嬉しくない方なので、萎えポイント1。
 クワガタオージャーの戦いを見て加勢しようとした遠野だが、ナンバーワンナンバーワン繰り返す謎の声に誘い込まれるように変な空間に飲み込まれると、そこで赤い指輪を手にし、黄金の巨人と出会う。
 「我が名は、テガソード。全ての指輪を集めた者の願いをかなえる。それが、指輪の契約。おまえの願いを言え――」
 何やら異世界出身らしき事が匂わされる遠野(どうやら名実ともに「この世のはぐれ者」なのはちょっと面白い)は「願い」を否定するが、テガソードさんに焚き付けられて契約する事になると元の世界に帰還し、明らかになんか良い感じにまるめこまれましたが、大丈夫かな、この巨人……。
 名は体を表すとばかりに遠野が咆哮すると背後の雲を割って巨大な手が飛んでくるのはインパクトのある画で、成る程、「手がソード」。
 「クビになること幾星霜、見つけてみせるぜバイトと願い。はぐれ一匹・遠野吠。なってやるよ、ナンバーワン!」
 仮想リング空間における、パイロットそれぞれのプロレス風選手紹介を挟んでの巨大戦となり、初回はとにかく、画のハッタリと濃い味付けのキャラクターで飛ばしていく作り。
 一人乗りロボが暴れ回る巨大戦の絵作りは『リュウソウジャー』辺りを思い出すというか、個人的に、走り出したロボの左右で火柱をあげるのと、とりあえず格闘戦を煽りで撮っておけ、みたいな画はどうも食傷気味です。
 遠野操るテガソードロボが蝋燭ロボを撃破すると、未だ暴れ回るベル兵から人々を救う為、ロボを降りた遠野はゴジュウウルフへと変身し――それに反応する4つの指輪とその持ち主。
 巨大戦と初変身の順序を逆にし、劇場版定番の裏返しといった趣向で、ラストにOPを流しながらの戦闘シーンを描くと、ベル兵士を撃退した遠野は元同僚にハンバーガー代250円を返すのだが、遠野が指輪と契約した事を知った元同僚がいきなり襲いかかってきて、つづく。
 劇中でEDテーマが流れ出すと、そのまま予告に繋がる『ドンブラザーズ』スタイルとなり、物語の雰囲気としても演出の傾向としても、『ゼンカイ』『ドンブラ』路線ソース二度付けといった具合の初回でしたが、諸々の描写にしろBGMにしろ、なにかにつけ過剰気味の味付けが、しっくり来るのかどうかは、次回以降を見ないとなんともといった感。
 同じ田崎監督の『ドンブラ』も、第1話はごちゃつきすぎてノリにくかったのが、第2話でだいぶ変わりましたし。
 《スーパー戦隊》50周年記念作品という事でか、冒頭からシリーズ過去作要素を絡めてきましたが、過去作ネタは基本的にアレルギーがあるので、その要素の使い方でも印象が大きく変わりそうです。