『仮面ライダーカブト』感想・第27話
(※サブタイトルは本編中に存在しない為、筆者が趣味で勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆27「逃亡者・風間大介」◆ (監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹)
「三島さんから話は聞いている。ついてこい」
どういうわけか間宮麗奈に近づいた影山は、人間の分際で態度が悪い、と平手打ちを受けるとカニワームに腕をねじり上げられ、屈・服。
「わかったのか。返事は?」
「……はい」
ZECTの誇るエリート部隊の隊長だった筈が、天道ジ総司ロウに虚仮にされた辺りから運命の歯車が狂いだし、みっしーの使いっ走りとして幼女誘拐に手を染め、全方位からクズ野郎の烙印を押された末、ワームにハイヒールでグリグリと後頭部を踏まれるような目にまで落ちぶれてしまった影山瞬、そこに貴様の天命があったのだ! と転落していく二枚目が最高に好きという歪んだ性癖を持つかもしれないザビーゼクターが大興奮しています。
……まあ、仮にもレギュラー仮面ライダーの一人がこれで良いのか、という疑問はなくもないですが、『龍騎』でシザースを描いた以降は、何も怖いものはない感じでありましょうか。
その頃、いちご牛乳を片手にティーンズ向け女性誌をめくっていたゴンこと高山百合子は風間大介の事を思い出すが携帯電話は繋がらず、
「しばらく旅に出ます」
とメモを残して家を飛び出していくのが大変アグレッシブ(笑)
記憶の甦った衝動のままにロケットスタートを決めたゴンが新たな風を巻き起こそうとしていた一方、三島は何故か、仇敵の筈の間宮に接触。
「作戦は失敗だったようだな。結局おまえの力では、ライダーを倒す事はできなかった」
「それはおまえも同じことだ。折角ライダーシステムを作っても、おまえ達の思い通りにならないものが多すぎる」
前回以前から両者の間に繋がりがあった事が示され、双方とにかく、ゼクターの扱いに苦労している様子は窺えます(ZECT的にはやはり、ライダーシステムは、ゼクターを制御する為の「檻」……?)。
「……利害関係は一致しているということだ」
「ハッ」
「……なにがおかしい」
「まさか人間と手を組む事になるとはな」
「それは私も同じだ。まさかワームと」
みっしーと間宮はひたすら思わせぶりな会話をかわし、去っていく間宮に向けて影山が陰口を叩くと、聞こえてるぞ? と一瞬で間合いを詰めた間宮が影山の肩に軽く触れるのは神秘性を増す良い演出で、驚きおののき尻もちをつく影山の姿に、ザビーゼクターが大興奮している事でしょう。
みっしーには雑にまたがれそうになって地面を這いずり、影山の扱いが本当に酷い。
三島と間宮が共に「利用出来るものは全て利用する」と互いの目的の為に密かに手を組み怪しすぎる動きを見せる一方、夏服風間は仕事が減り、神代邸ではじいやが倒れ、ゴンと神代が立て続けにビストロを訪れると、天道はじいやを甲斐甲斐しく看病するが(部屋には内職の後……)、じいやが倒れた事により、神代剣は図らずも神代家の財政的破綻を知る事に。
ゴンの家出に始まり、やれ神代邸が大変だ、やれ風間が指名手配だ、とあっちにこっちに場面が飛ぶ上に状況の変化も目まぐるしく、さすがにドタバタしすぎた感があり、神代家の実状を知って坊ちゃまバイトに立つとか、しっかりスポットを当てても面白くなりそうな要素が流れのギャグで処理されてしまったのも残念。
散らばっていた点と点が思いがけない形で一つに繋がっていくのは井上敏樹の得意技ではありますが、人一人が確実に死んでいる状況では風間の逃走劇とそれに関わるエトセトラをコミカルには消化しづらく、スラップスティック的な趣向もうまくはまらず。
老人と子供には基本優しい天道は、じいやを看病し、ゴンの為に風間を助けるが、ノルマ的に放り込まれた戦闘をカブトとガタックがこなしている間に、天道邸に帰宅した樹花をメイクする風間の正体はワーム?! で、つづく。
あ、超楽しそうにビストロの壁に風間の手配書を貼る天道総司は、面白かったです(笑)
……ビストロ、店長不在期間が長すぎて、もはや天道の別荘どころか城みたいになっていますが、いつの間にか登記簿を書き換えられたりしていないかとか不安。
今作ここまでの田崎×井上コンビ(11-12話、17-18話)、いずれも風間回にして、前半はドタバタ気味だが後半にきっちり盛り上げてくるのに成功しておりますが、果たして、二度あることは三度あるのか。
次回――風間大介死亡?!