『仮面ライダーカブト』感想・第25-26話
(※サブタイトルは本編中に存在しない為、筆者が趣味で勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆25「1971深淵の扉」◆ (監督:長石多可男 脚本:米村正二)
天道らがエリアXの深部で目にしたのは、古びた実験室のような部屋と、カプセルに収められた……ワーム?
「どうやら何かの実験が行われていたようだな」
当初の目的はどこへやら、ひよりそっちのけ男2人は、マスクドライダー計画と題された1971年に始まるファイルを発見し、シリーズでは『ファイズ』の流星塾に近い見せ方と言えますが、謎めいた施設と共に過去の闇が、若者達の前にぽっかりと大きな口を開けて姿を見せる。
「35年前だ」
そこには何故か「加賀美新」の名も記されており、首をひねる2人は地下から聞こえる呻き声の正体を確かめに向かうが、シャドウ部隊の突入により調査は打ち切りとなり、もはや凄く普通に撃ってくるぜシャドウ部隊!
矢車さんが言ってた。
渋谷封鎖区域で発見された死体は、全て身元不明で処理されるから大丈夫、って。
地下には囚われた謎の存在が示唆され、メタ的には「1971年」といえば『仮面ライダー』の放映開始年であり、当然意識しているのでしょうが、放棄された研究施設・謎めいたサンプルとファイル・30年以上前から存在する計画・拘束された鉄仮面……と、ときめき要素が山盛りで突っ込まれてきて、どこから箸をつければいいのかわかりません(笑)
(思ったよりも根が深そうだな……ZECTという組織。そして、マスクドライダー計画)
天道が何やら考え込む一方、結局何も解決しなかったひよりは、ビストロの灯りに背を背け……ひよりとしては、“7年前の記憶”に決着を付ける事でしか、世界の中に己を確立できない――ゆえに他者と関われない――と思い詰めている様子が窺え、そんなひよりの傍らに、己こそが世界の中心と豪語する天道が寄り添おうとしているのは、両者の対比が窺えます。
繰り返し背景に挿入される東京タワーは、世界の中心たる宇宙樹の象徴であり、天を指さす天道総司もまた自らを宇宙樹になぞらえており、いうまでもなく太陽は一つの小宇宙の中心であるわけですが、『ファイズ』の感想の際に触れた要素として、ベルトという円環を身につける時、人は宇宙の中心になるという理屈が発生し……ひよりがベルトを身につけると、収まる所に収まるのかもしれません(笑)
天道樹花は夏休みに突入し、天道@背広の姿は警察に奉職すると、通りすがりにクロックアップで銀行強盗を解決し、お婆ちゃんが言っていた。
「この世に不味い飯屋と、悪の栄えたためしはない」
スキル《天の道を往く男》により過程を幾つかすっ飛ばした天道は、エリアXに眠っていたマスクドライダー計画の真相を探り出す為、ZECTと関わっている筈の警察上層部に近づこうとしており、事件解決を目撃した加賀美に目的を説明。
「ZECTの側から行けばガードは堅い。だが警察からなら、付けいる隙もある」
の?!
……ま、まあ、この世界の警察は、警告無しで一般市民の背中に向けて発砲してこない、とは信じたいですが(笑)
事ここに至って加賀美が、あれ、俺の父親、警察の凄く偉い人なのでは……? と気付く一方、影山はみっしーから、新たなワーム抹殺を命じられていた。
「最近ワームが新たな動きを始めていると聞きました。何が起きているんですか?」
「おまえごときが知る必要は無い」
エリート部隊の隊長だった筈が、すっかり三下の使いっ走り扱いの影山が中間管理職の悲哀に沈む中、道の向こうから4人並んだ黒衣の女が姿を見せるのは長石監督らしい演出で、それとすれ違う岬。
「ボクは……一歩も前に進んでない」
ひよりは橋の下で黄昏れており、それを励ます天道だが、そもそも天道がはぐらかすからでは、と詰られると瞳を閉じ……何やら迷いを感じさせる天道の仕草ですが、いいところでワームが出現して、空気を! もう少し空気を読んで!
なにかを隠している節のある天道の態度により溝が出来たままの2人ですが、挿入歌スタート・変身・「ひより、走れ!」は抜群に格好良く、カブトは速攻キャストオフ。
幼虫軍団を蹴散らすが、またも幼虫シールドでライダーキックを防がれて成虫ワームの逃亡を許す一方、何故か擬態岬が、樹花に接触していた。
この為に意味ありげにすれ違わせたようですが、どうにもワームの擬態は都合が良すぎて、物語の“面白さ”にいまいち繋がっていない印象。
何かが人間に化けている、のは侵略SFの定番といえますが、序盤の一時期を除いて“擬態をどう見破るのか”に焦点が合っているわけでもなく、擬態関連のルール(とZECT側の対策)も曖昧なままなので、話運びに便利なギミックの面が出過ぎているように思います。
……まあ、ヒーローサイドはヒーローサイドで、天道を筆頭に割となんでもありなので、常にどこかしら時空が歪んでいるのが今作の色といえば色ではありますが、加賀美が擬態岬の一件を流してしまったり、天道が妹とプールに行く約束をすっぽかし気味なのは、今作これまでの筋からしても、いただけなかったところ。
樹花に迫るシリアスな空気は、雑にプールに飛び込んできた神代剣に粉砕される一方、警察に潜り込み、気の利く部下モードを本気で発動した天道は、もう誰にも止められなかった。
一方の加賀美は岬の協力を得て、田所に成り代わってZECT本家に探りを入れようとするが当然のごとく失敗し、気持ち朗らかな擬態岬にしろ、上司に取り入るスマイル刑事天道にしろ、カシラのつもりで格好つける加賀美にしろ、役者さんに普段と違う芝居をさせる仕掛けそのものは好きなのですが、若頭・加賀美は幾らなんでも無理がありすぎたと思います……!(笑)
ZECT戦闘員に銃を向けられた加賀美はベルトを見せつけ、ガタックゼクターさん的に、ZECT本家へのカチコミは変身OK。
暴走機関車×変身、の落ち着いて考えるとだいぶ危険な組み合わせはZECT戦闘員を蹴散らして本家(?)のビルに突入するが、その前に現れたのは、上司から受ける連日のストレスにより本日は一段と目つきの悪いみっしー。
大事な報告の最中に、「キリンの首は、何故、長いと思う?」とか意味ありげに呟いて返答待ちに入るのホントやめて!!
そんな三島のストレスのはけ口にされがちな影山は、写真一枚を手に黒衣の女ワームを足で探し回っており……あれ……おかしいな……パーフェクト・エリート隊長だった筈なのにな…………なんでこんな、ハーフボイルド貧乏探偵みたいな仕事してるのかな? と田舎の味が恋しくなりそうになっていたところ、問題の女とばったり遭遇。
「おまえの墓にはこう刻んでおこう。影山瞬。またの名をザビー」
黒衣の女は右手に大きなハサミを持ったトゲトゲのワームに変身し、見るからにカニですが、ワームのモチーフは虫縛り……ではなく甲殻類縛りとの事で、もう一つ頭に入ってこなくてちょっと確認してみたところ、節足動物門の中における汎甲殻類の中に、甲殻類各種と六脚類(昆虫)が含まれる近縁関係との事で、それを知ると、ゼクターとワームの関係性もちょっと意味ありげに思えてきます。
登場時の演出からして格上の雰囲気を出すトゲトゲカニワームを相手に防戦一方となるザビーだが、そこを通りすがったのは、気まぐれな風。
「……なんだ。誰かと思えば。ふ、いい気味だ」
誘拐犯の醜態を鼻で笑うブレない風だが、そこへ飛んでくるトンボのゼクター。
「……わかったよ。風はどんな奴にも吹く。たとえどんな嫌な奴にも」
6話の不在など無かったかのように何事もなく再登場した風間ですが、この台詞が非常に格好良かったので、まあいいか、という気持ちになりました(笑)
第18話で確立された風間のヒーロー性とも繋がって、今回のお気に入り。
トゲトゲワームを挟み撃ちする形でキャストオフするドレイクとザビーだが、2対1でも押し切れず、劇中初のアーマー再装着(コードは「プットオン」との事)。
これまでにない強さを見せるワームにライダー2人が苦戦する中、樹花に迫る危機を目撃するひより、みっしーに刃を向けるガタック、そして加賀美陸に辿り着く天道総司。
「35年前の招待リストに、名前を書いたのはあんたか?」
「んむ……なんの招待リストかな?」
「マスカレード。……――仮面舞踏会だ」
次回――仮面舞踏会でShall we ダンス?
◆26「太陽はいつもそこに」◆ (監督:長石多可男 脚本:米村正二)
「マスカレード。……――仮面舞踏会だ」
「……うん、それは、実に、楽しそうだ。ぜひ私も、招待されたい」
加賀美パパ、唇の片端だけあげる笑い方が実に邪悪で、豊富な悪役キャリアの生む芝居に痺れます(笑)
「とぼけるな。35年も前のリストに、まだ生まれもしない息子の名前を書いたのは、……何故だ」
「……ん。とぼけてるのは君の方だ。その、理由は……君自身が、一番知ってるんじゃないかね?」
問いかけに問いかけで返す加賀美陸は、天道にさえペースを握らせない古狸の貫禄を見せつけ、表の顔でも、急に聖書の引用とか始めるのかどうか気になります。
「俺が知っているとはどういう意味だ」
「……実に、不幸な事件だった。君のご両親の事件は」
「俺の両親を知っているような口ぶりだな」
天道邸の存在と「お婆ちゃんが言ってた」から、常に見えざる気配は漂っていたといえる天道両親について加賀美陸が持ち出すと天道は表情を強ばらせ、長らく触れずに居た天道両親の存在が浮上。
「……あ。そうそう。妹さんは元気かね? たった一人の肉親だ。大切に、してあげなさい」
話題をコロコロと変え、天道を煙に巻くだけ巻いた加賀美陸は、去り際にわざとらしく妹について触れ、思わず食ってかかろうとした天道は、取り巻きに制止を受ける。
(……天の道を往き、総てを司る男。なるほど。ぬふふふふ……)
天道を置き去りにした陸が、思わずといった形で浮かぶ笑みを手で押さえるのが実に不気味で、シリーズにしばしば登場する“後方で思わせぶりな事を呟いて状況をかき回すだけかき回す黒幕っぽいポジション”の中でも、かなりの暴れっぷり(笑)
(あいつまさか、妹の事まで……)
ガタック誕生、エリアX突入、そして天道自身の謎へと物語が加速していく中、ザビーとドレイクはトゲトゲワームに完敗を喫し、二人の間に負け犬同士の友情が生まれるのか乞うご期待。
「ライダーの力は、この程度か」
「なんだと?!」
「私の名前は間宮麗奈。死にゆく時、その名を呼ぶがいい。美しいレクイエムで、地獄へいざなってやる」
黒衣の女は、“人間としての名”を告げると悠々とその場を立ち去っていき、これまでと大きく異なる雰囲気のワームが登場したのは、物語の大きな転機になりそうで、今後の使われ方が楽しみです。
みっしーに刃を突きつけるガタックは、自身がガタックに選ばれた事に何か作為があるのではないかと聞き出そうとするが一蹴され、ならばと建物の奥へガサ入れに向かおうとすると、みっしーは爆笑。
加賀美が連れてこられたのは当然ZECT本部でもなんでもなく、それについて「騙したのか」と怒る加賀美ですが、いや、それはもう、途中で偽物田所だとバレているので当たり前では。
……今見る『カブト』、良くも悪くも10年代の作品に影響を与えているというか00年代《平成ライダー》の濃縮還元だしの素として下味みたいになっている節がありますが、この、(いや、それはそうでは……)という部分に謎の憤りをぶつけて、話を無駄にこじれさせたり登場人物の思考力に疑問を持たせる作劇は、個人的な10年代以降の《仮面ライダー》にままあるイメージそのまま(笑)
「組織に逆らった者には、罰を与える」
再び戦闘員に囲まれる加賀美だが、カシラが駆けつけ、鉄拳…………痛かった。
痛いのわかっている上でガタックの顔面を躊躇無く殴るのは、格好良かったですカシラ(笑)
「いい加減にしろ! 加賀美!」
そこから、田所の拳の傷に焦点を合わせると、加賀美が変身を解除するのは長石監督らしい見せ方で、本家にカチコミしかけた加賀美と岬を引き取って田所班はひとまず撤収。
川面を見つめてなにやら黄昏れていた天道の元にはひよりから連絡が入り、樹花に迫るワームの前に立つ天道。
「言っておくが、俺の妹に手を出したらタダではおかない!」
擬態岬を追おうとした天道は、落とし穴に落ち……なかったー!!
昭和の諸先輩方とは違うところを見せると、つまりきっとアリジゴクワームを相手に変身するが地下に逃げられ、ちょっと消化不良の戦績が続きます。
逃亡した擬態岬が神代と出会う一方、田所のカシラは辞表を書いており……そんなもの一つで、抜けられる組織なのですか、ZECT。小指どころか、脳の一部ぐらいは持っていかれそうなのですが。
「俺にとって、組織の命令は絶対だった。正しい事をやっていると思えばこそ、どんな屈辱にも耐えてきたんだ。でもそれが……できなくなった。もはや俺に、組織に属する資格は無い」
組織の在り方への疑問を心中で暖めていたらしい田所さん、どうやら画面に映らないところで、サプリメントの買い出しに行かされたり、サプリメントの一気のみをやらされたり、格付けサプリメントクイズで映る価値無しと判断されたり、みっしーから度重なるパワハラを受けていた模様です。
「おまえらは、おまえらの意志を貫け」
「田所さんの意志はどうなんですか? ワームを倒す為、人類を守る為にZECTに入ったんじゃないんですか?! ……俺がワームを倒しまくって、組織の中でのし上がります。そうすれば、マスクドライダー計画の謎だっていつか……田所さん、岬さん、俺に力を貸して下さい。お願いします!」
田所のカシラに関してはとにかく出番が少なすぎて、心境変化の経緯もなにも無く(近いところではエリアXの一件なのでしょうが、導線として強調する場面が欲しかったところ)、初期の立ち位置――口数少ない強面上司から、その真意が段々と見えてくるわけでもなしに、初期はこういう気持ちだったけど今は変わってしまった! と自己申告をされても正直ぽかーんとしますが(でも好き)、とにもかくにもチーム田所は、ガタック加賀美を中心に、腐った組織の内部から成り上がる事を目指して再編成され……既に加賀美が色々とやらかしているので、出世は無理かもしれません。
一方、擬態岬と神代は何故か踊っており、神代の姉ポジションに収まろうとする擬態岬、擬態された当人のあずかり知らぬところで面妖な人間関係が構築されつつあってドキドキしますが、両者ともに人間の仮面を被ったワームであるというのは、天道がマスクドライダー計画ファイルを「仮面舞踏会の招待リスト」と称したのと重なって洒落が効き、そこに突如として現れる、黒衣の女――間宮麗奈。
「あの小娘を囮に、カブトを地獄へいざなうのではなかったのか?」
擬態岬の手を取ってくるりと一回転するのが印象的な登場となり、間宮は神代へと視線を向ける。
「私がレクイエムを歌ってやる。神代剣……又の名をサソード」
一通りのライダー情報を掴んでいる事が重ねて示された間宮がワームになると、キャストオフしたサソードをあっさり追い詰めるが、強烈な一撃から岬ワームがサソードをかばい、揃って変身解除。
「……ふ。まあ好きにするがいい」
岬ワームが走り去ると、鼻で笑って間宮は姿を消し、『忍風戦隊ハリケンジャー』の御前役も印象的だった三輪ひとみさんが、雰囲気のある好キャスティング。
OPの切ない系ピアノアレンジがテーマ曲になりつつあるひよりが落とした家族写真を天道が拾うと、身に迫る危険を告げてひよりを守ろうとするが、ひよりはそれを拒絶。天道の元から逃げるように走り出したひよりはしかし、間宮麗奈と遭遇してしまう。
「……私の部下が、一風変わったメンタリティを持ったようだ。人間の記憶を引き継いだせいなら、人間とは不思議なものだな」
ちょうど前話の感想で触れた、ワームの「擬態」について間宮が踏み込み、ワームが擬態した対象の記憶に影響を受ける可能性にワーム自らが言及するのですが、今回ラストまで見ても岬が神代に情を向けそうな繋がりは見当たりませんし、神代ワームの補強と、これまで出てきた“変わったワーム”への弁解じみてしまった感じはあります。
上手く掘り下げてくれれば面白そうな要素なので、間宮の登場と共に「ワームとは何か?」が描かれていくのは期待したいところ。
「天道総司……おまえには最も美しく、残酷な死を送ろう」
何故かひよりについては「調べる」と告げる間宮だが天道が駆けつけ、足をくじいたひよりと共に逃走すると、遂に7年前の秘密の一端を明かす。
「7年前におまえが見たベルトの少年は確かにこの俺だ。だがそこで何があったかは言えない」
「なんでだ!」
「言えないものは言えない! ……それに思っていたより事情が複雑らしい。それを確かめない内はな」
名探偵みたいな事を言い出した天道総司は、再び幼虫軍団に囲まれると、絶体絶命。
「これだけは覚えておけ。たとえ、どんな敵が相手でも! 俺はおまえを守る!! ……永遠にな」
積み重なる謎、カブトさえ圧する強大なワームの出現、ひよりを背に窮地に陥る中で、天道が感情を強く表に出して叫ぶ事そのものが、深淵の混沌に射し込む光としての真実性を感じさせるのは、天道総司というキャラクターの積み上げてきたものを活かした巧い仕掛けとなり、それを感じ取ったひよりは傷ついた天道をかばって手を広げる。
「そのぬるい感情か……人間とは……くだらん」
そんな二人を虫の目で冷たく見下ろす間宮だが、そこにガタックが駆けつけ、バイクが割れた!!
カブトバイクに続くビックリドッキリギミックとして、ガタックバイクが空飛ぶ円盤と化すと、第26話にして天道の窮地に加賀美が飛び込んでくる、逆転にして一つの到達点が描かれ、色々な意味で第2部スタート、といった雰囲気。
円盤ガタックが幼虫軍団を次々と轢いていくと間宮はワームに変貌し、新生チーム田所はワームの特性を分析し……出来たのか、そんな事!!(笑)
「天道! おまえの力が必要だ! やれるか!?」
「……当然だ」
カシラは見た目が武闘派だから誤解されがちだけど、実は分析官としての能力が高いのではないか疑惑が浮上する中(G3ユニットの適切な運用に必要なピースは北條さんだったみたいな)、ひよりを岬に預けた天道は変身し、カブトもバイクをキャストオフ。
ハイスピードの連係攻撃で間宮ワームをダブルで轢くが、それでも撃破には至らず、なんか下から、別のワームが出てきた(笑)
倒され役の都合なのですが、地下に潜んでいたこのワーム、何をしたかったのか気になって、妙に笑えます。
一方、擬態岬の置いていった赤いハイヒールを見つめる神代の前には擬態岬が舞い戻り、『シンデレラ』もなぞらえて神代の王子ぶりを強調。姉の思い出を胸に再び人間同士として仮面を被り直すのかと思われた両者だが、岬ワームが爪を伸ばし、神代は剣を抜き、殺し合いに生き残ったのは――神代剣。
「俺はワームを許さない! 絶対に……」
一度は姉の面影を重ねた相手でも、ワームとあれば倒せる神代の情念を見せる狙いだったのかもですが、擬態岬の行動がどうも飲み込みづらく、個人的にはピンと来ない決着となりました。
擬態が解けると何故か幼虫……で首をひねっていたら、そもそも岬に擬態していたのは幼虫で、カブト&ガタックと戦っているアリジゴクワームとは別の個体だったとの事で、すっかり勘違いして見ておりましたが、『ファイズ』といい今作といい、色数が少なくフォルムの変化が少ない怪人デザインはぱっと見で個体の区別がつきにくく(特に今作は、似たタイプが複数出てきますし)、割と混乱しがち。
とりあえず、岬さんが神代から美しい誤解に基づくシスコンの波動を送られなくて済みそうでホッとする一方、アリジゴクワームはカブトバイクによるモグラ叩きからガタックのスカイソーサーキックで撃破され、カブトは天を指さし、新生チーム田所には新たな絆と連携が生まれるのであった。
(もう一度、信じてみよう。疑うより、信じた方が――)
天道の言葉を信じて前に進もうとするひよりだが、そんな二人を見つめる間宮に近づくのは、影山?! で、つづく。
ガタック誕生を機に、これまでよりも大きく動き出した物語ですが、エリアX突入を更なるジャンプ台として、
35年前には既に存在していたマスクドライダー計画・加賀美新に不穏な気配・天道の両親・幹部級ワームの出現・ベルトの少年の正体告白・天道とひよりの関係修復・田所組の意思統一と再始動・天道を助ける加賀美・これまでよりも対等な関係性での二人の共闘
とグイグイ畳みかけ、展開の荒っぽさが気になる部分が幾つかある一方で、これは格好いい! という場面も多く、今作の良い面と悪い面の双方が色鮮やかに出た、まさしくターニングポイントな前後編でした。
後は、矢車さんの帰りを首を長くして待っています。
次回――逃亡者・風間大介。
帰還早々、風の扱いが酷い(笑)