『仮面ライダー(新)』感想・第49-50話
◆第49話「ロケット発射! 筑波洋を宇宙の墓場へ」◆ (監督:山田稔 脚本:土筆勉)
ネオショッカーは、巨大観音像を、宇宙ロケットに改造していた!!
化石ガスを噴き出す三葉虫怪人(割とデザイン格好いい)が、筑波洋宇宙抹殺計画の為の罠としてアキを化石の彫刻として飾り、偽名:阿久野もとじ! に本当にやる気があるのか問い質したくなりますが、この後、2年前に死去した彫刻家になりすましていた事が明らかになって、今作世界において阿久野もとじ(雅号かもですが)さんそのものは存在しており、少しばかり申し訳ない気持ちに。
誘いを受けて阿久野のアトリエへと向かう洋だが、そこではアキの弟&ボーイフレンドが人質にされており、機転を利かせてロケット発射を妨害するなどボーイフレンドの青年にやたらスポットが当たるので、前後の作品の出演歴でもあるのかと思いましたが、軽く調べた限りでは特に見つからず。
青年は化石にされてしまうも、弟の救出には成功する一方、アキを救おうとするナオコ&沼も阿久野のアトリエを目指しており……
アキ行方不明よりも釣り雑誌に夢中
怪しい人物の正体調べよりもマンガに夢中
大事な電話をしている最中にうどんに夢中
出番が増えたと思ったら、ひたすら感じの悪い沼は、どうしてそうなりましたか。
まあ、場に合わない言行を繰り返すのは、道化役の典型的な役回りであるのですが、それにしても態度が悪く、最終的には自動車のボンネットに挟まれて帳尻を合わせる羽目に。
「この間抜けめがーーー!!」
大事な予算で勝手に宇宙ロケットを造った上、雑な突貫工事により一般人に打ち上げを阻止されてしまった三葉虫怪人は、魔神提督のお叱りを受けるとチューインガムをぐりぐりとされて命乞い。
青年を救出しようと舞い戻ってきた洋を待ち構え、布をかけたオブジェのフリをして洋の不意を突くのは、シンプルさが一周回って面白かったです(笑)
まんまと化石ガスを浴びせられてしまった洋は観音ロケットの中に放り込まれ、余計な時間はかけずに、発射!
「あ! 観音様が飛んでっちゃった!」
このアイデアをやりたかっただけとしか思えないエピソードですが、どうしてこう、随所で『ウルトラマン80』を思い出させてくるのか(笑) (※同期『ウルトラマン80』にも、巨大観音像の出てくる珍妙なエピソードあり)
大宇宙のどこかにあるという神秘の地・ライダー墓場に送り込まれようとする洋だが、大気圏脱出速度へと迫るロケット内部にかかるGによって体表面の化石コーティングが崩れ落ちると(体積減った……?)、自由を取り戻してスカイ変身。
久々に放たれた三好流スカイドリルにより内部のコントロールパネルを破壊すると、制御を失った観音ロケットはネオショッカーのアジトを巻き込んで墜落・爆発し、これはこれで結果オーライなのでは……? と前向きに捉えるネオショッカーを襲う高笑い。
――風見先輩から貰ったジャケットの効果はばつぐんだ!
「俺がスカイライダーだという事を、忘れたかザンヨウジュー!」
それは1クール目の話だ、洋。
……暗に主張したい事はわかるのですが、既に失われた能力なので、説得力は皆無で困ります。
いやどうしてスカイライダーなんだっけ……? という禁忌の扉も開かれてしまいそうで困ります。
そこから、かなり長々とした戦闘シーンになり(単純に尺が余ったのか、或いはタイアップ条件でもあったのか)、追い詰められたザンヨウジューは自ら石化。
スカイキックさえ通用しない防御力で引きこもるが、岩石落としによって解除されると、再び叩き込まれたスカイキック受けて弾け飛び、割としっかりした爆発が、すぐ横の看板に被害を及ぼしていないか気にかかる最期でありました。
放置されていたアキとボーイフレンドは、沼を生贄に捧げて発動したガンガンジーミラクルによって助けられており、怪人の死亡と共に化石化も解除されて大団円。
怪談ミラー回に続いて人質役となったアキですが、(そもそも台詞がほとんど与えられていないにしても)未だにユミの台詞読みがガタガタなので、相対的にアキとナオコがましに見えてくるマジックが発生しております。
終わってみると予告がピークで、核となるアイデアのぶっ飛び具合に対して、そこに持ち込む仕掛けは特に工夫の無い人質作戦に過ぎなかったのが残念でありました。
次回――「危険なキックはやめて、元気いっぱい行こうぜ!」。
……日本語としては微妙に謎ですが、なんとなく、高いところからスカイキックの真似事をやめてくれよな! という言外の気配は伝わってきます。
◆第50話「君もアリコマンド少年隊に入隊せよ!?」◆ (監督:山田稔 脚本:鈴木生朗)
タガメ……いつ見ても、普通に怪人感強いなタガメ、の怪人が学校の理科室に出現すると、先生を吸血。残った子供達の中からアリコマンド少年隊員の候補者が連れ去られ、いよいよ予算も人員も切羽詰まってきたらしいネオショッカー日本支部は、困った時の子供戦闘員作戦を発動。
《昭和ライダー》第一期において、脚本家としては伊上さんに次ぐ貢献度の存在といっていい鈴木生朗さんが今作初参加となりましたが、誘拐による強制的なアリコマンド化の恐怖と、いじめっ子や親への不満からアリコマンドに志願する少年とが1エピソードに混在して話の軸が失踪。
怪人も発作的にコミカルに喋りだすなど人格が落ち着かない上、子供を相手に本気で戦うことが出来ない! だが、どんなに棒で叩かれても特にダメージはない! と映像的にも盛り上がらないパターンに陥り、冴えない出来。
少年アリコマンドと本気では戦えないが軽く投げ飛ばすぐらいはする洋は、今回も発動したガンガンジーミラクルによってネオショッカーのアジトへ乗り込んでいくと、タガメラスと激突。
吸血攻撃を受けるも脳への打撃から投げ飛ばすと、スカイフライングソーサーそしてキックで勝利を掴み、インスタント改造光線を浴びていた少年たちは元の心を取り戻す。
洋は少年たちに向けて、ネオショッカー地獄の訓練に耐え抜いた力を正しい方向に使え! と諭し、メインゲストの鬱屈に対しては、親御さんも忙しいのだから強く生きろ! と励まして解決感だけ出すのですが、訓練に落伍してタガメに吸血された子供たちは多分死んでいるので、力無き子供たちはヒーローが手を伸ばす事もなくただ死んでいくだけの酷い話になってしまった上、リアルジャイアンみたいないじめっ子は捨て置かれ(途中で袋だたきには遭いましたが)、少年の母親も特に出てこず、どうにもこうにもスッキリしない結末となりました。
……子供の数だけやたら居たので、一般参加企画の都合による無理矢理感とかだったのかもですが。
次回――も、子供達から棒で殴られる洋(なぜ)。