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特別ゲストだサンバルカン

太陽戦隊サンバルカン』感想・第37-38話

◆第37話「日美子よ」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:上原正三
 デンジ星人の末裔と思われるエスパーの精神波に苦しめられるヘドリアン女王は、かつての恨み辛みを思い出すと、ブラックマグマの世界征服そっちのけでエスパー狩りを決行。
 超能力シスター・日美子を見つけられないまま、とりあえず仕事した感を出すべく、再びその姉・加美子を拉致しようとするアマゾンキラーらだが、自前のワゴンの中から青と黄が飛び出してきて、外で待機していたサタンモンガーはいったい何を見ていたのか(笑)
 アマゾンキラーが加美子を人質に取ろうとすると、別の場所に潜んでいた赤が奇襲を仕掛けるのは鮮やかに決まり、敵の一手先を読んで兵を伏せておくのは、軍人らしい格好良さにもなりました。
 サイコキネシスで飛び交う岩石をイーグルが一刀両断するとブラックサタンは撤収し、前回今回とスペシャルゲスト中心の作りの中で、アクションのキレがいいのは良かったポイント。
 前回バイクで接触のあった鮫島がシスター・日美子の正体に気付くとデンジ星人について教え、この時空でも、海釣りラーは大活躍!
 そう、つまり、海釣りモンガーを作り出せばいいのでは?!
 ヘドリアン女王が海釣りラーの存在を思い出すまでに、あと何話かかるのか……聖母マリアに夢で見たデンジ姫の面影を重ねていた日美子だが、再び姉が襲撃される予知夢を受信。
 「心配しなくてもいいよ。サンバルカンがついてるからね」
 と病室で格好つける豹ですが、現在、加美子が重傷を負っているのは、サンバルカンの護衛が役に立たなかったからなので、説得力は皆無です。
 サタンモンガーの気配に豹はバルパンサーするが、まんまと病室の外に釣り出されている間に加美子と相方は姿を消し、
 「おねえさんはヨウスケくんと二人で病院を抜け出してしまったらしい!」
 話を完全にすり替えて、さらっと失態を隠蔽したぞ。
 幕間では矢沢がケチな手品で子供たちを相手に超能力者を自称し、G事件を受けて、人知れず埋め立て地に処分されたりはしていませんでした。
 業を煮やしたヘドリアン女王は、サタンモンガーの感じ取るエスパー値を頼りにデンジ星人の血を引く者を片っ端からさらわせ、祖国を失った宇宙の放浪者であるデンジ星人の末裔が、強制収容からガス室送りにされようとするくだりが「人類史における悲劇」と明らかに重ねられているのは、上原正三らしい、なぞらえ。
 ガス処刑執行寸前、姉らの身に迫る危機を感知した日美子は意を決すると、自らの正体が明らかになるのを覚悟で捨て身の超能力バトルを持ちかけ、護衛対象をまんまとさらわれる失態の隠蔽工作に続き、誘拐の追跡にも無惨に失敗したサンバルカンに迫る主役剥奪の危機。
 ……まあサンバルカン、基本的に追跡が大の苦手部門なのですが。
 完全に当座の主役となった日美子は、バリアーによりあたゆる攻撃を防ぐと、吹雪を巻き起こし炎で女王を炙り、ヘドリアン女王に迫る、流行歌に呪い殺されそうになった時以来の危機!
 げに恐ろしきはデンジ星人の怨念のパワー、と追い詰められるヘドリアン女王だが、アマゾンキラーの投げナイフが十字架を破壊すると、サイコキネシスを発揮したサタンモンガーに日美子は敗北してしまう。
 倒れた日美子へとナイフを向けるヘドリアン女王だが、サンバルカンが窮地を救って主人公の座を取り戻し、輝け! 太陽戦隊!!
 超能力はどこへやら、両肩の大砲でサンバルカンを苦しめるサタンモンガーは、太陽キックからのバルカンボールで弾け飛んで巨大化し、サンバルカンロボトンファーと太陽剣を重ねて十字架を象る太陽クロスによりサタンモンガーの超能力を封じ、テレポーテーション対策を巨大戦に組み込んできたのは良かった部分で、プラズマ返して一刀両断。
 ヘドリアン女王とのバトルにより超能力を失った日美子は狙われる理由を失い、修道院を出て青春を取り戻しては……と雑に価値観を押しつけてくる太陽戦隊に対して、
 「修道院の中は広大な宇宙です。限りない青春がありますわ」
 と笑顔で切り返すのは良かったです。
 ラストカットは教会に戻っていく日美子のアップで、前後編、ひたすらの三原順子スペシャルアワーでありました。
 次回――父来る。

◆第38話「豹朝夫のおやじ殿」◆ (監督:加島昭 脚本:上原正三
 豹朝夫を演じる小林朝夫さんの実父である小林亜星さんが、豹の父・朝太郎として出演し、危うし、嵐山長官!
 だいぶメタなキャスティングでありますが、役者・小林亜星の当たり役と言えば『寺内貫太郎一家』の頑固親父役なのではまってはおり、田舎から親が出てきて一騒動、の定番プロット(『ゴレンジャー』ではわかりませんが、『ジャッカー』『BF』『デンジ』では記憶に無いので、戦隊シリーズでは初かも)。
 ……ただ、いくら秘密機関とはいえ、地球守備隊の一部門である太陽戦隊のメンバーについて、地球守備隊を退職扱いにした上でカモフラージュになる身分さえ与えていないのは無理がありすぎて、“職業不詳になった息子を心配する父(出力ががさつ)”と“本当の事を言えずに困る息子”を描く為に全体の設定を歪めるような形にしてしまったのは、大変ノリにくくなってしまいました。
 地球守備隊に籍を置き続けるか、国連方面に表向きのポストを与えていた方が、どう考えても秘密の保持には有効なのですが、どうしてそこを、個人の裁量に丸投げしてしまったのか(笑)
 爽やかスマイルで全人類を惚れさせる筈の飛羽さん、対外的には、これ見よがしに徽章をつけているけど別に軍属ではないただの空軍マニアになりましたよ?!
 サファリ常連の子供達にはむしろ、矢沢の方が立派に働いている大人に見えている疑惑が急浮上する中、サンバルカン分断作戦の為、スナックサファリを張り込んでいたアマゾンキラーはバルパンサーの父の存在を知ると変装して接触し、アマゾンキラーの偽名は、浅川霧子。
 アマゾンキラーに偽情報を吹き込まれた父が息子と揉めると、豹は長官の許可を得て現在の所属を告白し、裸の付き合いだと銭湯で語り合うと和解。
 親子の揉める状況設定にそもそも無理があったので、前半の内に解決してくれたのはスッキリ見やすくなったところで、息子を信じて田舎へ帰る事にした朝太郎だが、アマゾンタクシーによってさらわれてしまう。
 そうとは知らずに豹ら3人が朝太郎の乗っている予定の新幹線を見送ると、鮫島の父が既に亡い事に婉曲に触れられる目配りがなされ(ここの飛羽の表情が良い)、手分けしてパトロール中、アマゾンキラーの脅迫を受けたパンサーは変身解除。
 「父を助けたれば、トーテムポールモンガーを倒す事ね」
 ……あ、(生身だけど)抵抗はOKなのですね!(笑)
 トーテムポールモンガー(名前長い)と生身の豹は挿入歌をバックにロープデスマッチを展開し、手斧白刃取りを見せる豹だが戦闘員に囲まれ絶体絶命のその時、豹が密かに発したSOS信号を追った赤と青……よりも早く、自力でロープを引きちぎった朝太郎が火事場の馬鹿力を見せると戦闘員を薙ぎ倒して自力で脱出し、豹はバルパンサー!
 「おやじ殿! おやじ殿!」
 アマゾンキラーのナイフが光るが赤と青も到着し、輝け! 太陽戦隊!!
 立体的な長回しバトルとなり、なんか、凄いところ(工場のダクト?の上)で戦ってる……。
 怒りのパンサーが、今作にしては珍しい、メイン回らしい一騎打ちでの立ち回りを見せるが……斧真っ二つの危機をイーグルに助けられる所までがセットでした(笑)
 窮地を脱したパンサーはバック転キックからのローリングパンサーを見舞い、爆弾投擲を強制スキップしたサンバルカンのバルカンボールが炸裂。巨大モンガーのトマホーク攻撃をシールドとトンファーで止めると、ロープデスマッチに持ち込まれそうになるのをあっさり防ぎ、オーロラプラズマ返しでずんばらりん。
 一同は、改めて朝太郎を夕食会に招き、太陽戦隊の予算が危ない! でつづく。
 上述したように、地球守備隊の心ない仕事が一隊員の家族関係に無駄に波風を立てる入りは飲み込みにくかったのですが、それが前半で解決した後は、シンプルな人情話として気持ちよく収まって、視聴後感は良い一本でした。
 次回――妖怪路線と面倒くさそうなゲスト……顔認識には自信の無い私ですが、次回のゲストもスペシャル感ありそう……?