『太陽戦隊サンバルカン』感想・第35話
◆第35話「友達!? クカラッチャ」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:曽田博久)
「俺、教養が邪魔して、ついスペイン語が出ちゃうんですわ」
ところどころ台詞回しの面白い細菌融合の天才・ゴキブリモンガーが、感染したが最後、死ぬまで踊り続ける踊り病の病原菌を作り出すと早速小学校で散布するが、駆けつけたサンバルカンのバル戦闘服には、細菌兵器も無効!!
パンサーの追撃を受けたGモンガーは、見た目大きめのGに姿を変えるとパンサーの目を逃れるが、その巨大Gを、むんずと素手で掴み取る少年。
1981年では当たり前……
「ゴキブリをいやがらんとはおかしな子供だ」
ではありませんでした。
パンサーの目を誤魔化して北極基地まで帰還するGモンガーだが、踊り菌の効果は不完全で感染者を死ぬまで踊らせるに至らず、第27話「真夏の夜の大恐怖」(監督:小林義明 脚本:上原正三)に続いて、BC兵器の運用に失敗するブラックマグマ。……なおこの回ではアマゾンキラーが、巨大なスペース蚊を素手で掴んでおりました。
病原菌を改良するGモンガーだが、今度は愉快に自転車が踊り出し……これはこれで凄いので、作戦を変更してもいいような気が。
またもパンサーに追われるGモンガーは、G頬ずり少年に再び接触して身を隠す事に成功するが、豹が挙動不審の少年を見とがめると、苛められた仕返しにGを使った悪戯をしてますます孤立しているゲスト少年を軸に、片方にGモンガー、片方に豹朝夫を置いて綱引きする構成なのですが、これまでの豹の、子供ゲストへの対応が対応なので、どうも人選ミスな気がして仕方ありません(笑)
……その辺りのフォローも含めて、ではあったのかもですが、少年が苛められているのを目撃すると、いじめっ子を一喝はしてみせるものの、その後はすぐに「本当は君だって友達が欲しい筈だ」と“普通”を押しつけ、時代感覚の差が出やすい題材とはいえ、根本原因には目もくれないまま、友達の輪に加わることが大事としてしまうのは論点が大きくズレてしまった印象。
Gやミミズを好きな変わり者として苛められるに至ったのか、苛めの結果としてGやミミズなどに愛着を示すようになったのか、という割と重要な因果関係も曖昧なまま進んでしまったのも消化不良。
「ゴキブリ少年……一度調べてみる必要があるな!」
サファリで少年の情報が手に入ると、Gに嫌な思い出でもあるのか、飛羽の瞳に、ちょっと殺意が(笑)
一方、少年をいじめっ子から助けたGモンガーは少年の心の隙間に忍び込み、
「アミーゴ、俺ぁもう実家へ戻れないんだよ。敷居が高くてさぁ」
台詞回しが妙に冴えます(笑)
だがGモンガーは、毒ガス製造の為に少年を利用していただけであり、その本性を知るも脅されて毒ガステロへの協力を強いられる少年の脳裏に、豹の言葉が木霊する。
――本当に困った時こそ、友達の有り難みがわかるんだよ。君はそういう友達が、欲しいと思わないかい?
――ヤスオくん、俺は君を、待ってるぞぉ!
今も昔も変わらぬ、甘い言葉で利用する者/される者の関係に、真の友情を示して豹が楔を打ち込もうとする組み立てなのですが、だいたい豹は、任務で見張っていただけであり、少年との接触を通じて豹のパーソナリティが掘り下げられるわけでもなく、どうにも歯車が噛み合いません。
「これでわかったろう。君の友達はこの、バルパンサーさ!」
と力強く言うほどの友情は見当たらず、組織Aを足抜けしたら組織Bに取り込まれた、みたいな事になっており、これなら事件以前から豹が少年を気に懸けていた、とでもした方がスムーズだったかなと。
戦闘員が召喚されると、毒ガスボンベを巡って正攻法のパス合戦が行われ、パンサーが回収に成功。回転しながらアマゾンキラーが現れると背後にゼロガールズが並び、注目は、公園の噴水でも、海の戦士の力を発揮してみせるバルシャーク。
戦闘員が蹴散らされると、だいぶ久々な気がするガールズとの個別バトルが描かれ、ここ数話はほとんど台詞もなく、率直に持て余している感が強いのですが、今後それぞれ、一花咲かせる機会はあるのか。
イーグルとアマゾンキラーが武器を打ち合わせるとやたら格好いい飛び蹴りでGモンガーが割って入るが、アマゾンキラーらが撤収すると速攻でバルカンボールが炸裂し、巨大モンガー。
Gモンガーの素早い動きからのジャンプ攻撃に苦しむサンバルカンロボだが、鉄拳ゴキブリ叩きで反撃すると、太陽剣オーロラプラズマ返し!
定番のG系怪人でしたが、顔がメカ寄り(ちょっと総統風味なのは、一体どういう事だったのでしょうかヘドリアン女王様)な事と、ボディにてかり感が無かった事で、生理的嫌悪感薄めのデザインだったのは良かったです(笑)
ラストは、少年も加わってのサンバルカン体操で、みんな仲良しをアピールし、友情テーマとしてはノリにくかったですが、Gモンガーはなかなか面白怪人でありました。