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さらば三下の光

『爆上戦隊ブンブンジャー』感想・第46話

◆バクアゲ46「未来をこの手に」◆ (監督:葉山康一郎 脚本:冨岡淳広
 わぁお!
 第46話にして、ブンドリオ墜落時に、謎のミラーボールを拾っていた事になった!!
 「君が落ちた場所で、他の飛び散ったパーツと一緒に拾ったんだが……墜落の衝撃で、もともと埋まってたものが出てきたのかな……?」
 後なんか、凄い怖い事を言っているのですが、ブンブン、そんなに派手にバラバラになってたの……?!
 まあ散々、巨大化変形とかはしていますし、前回の大也の、修理して再起動すれば動く筈、という行動にも繋がりはするのですが……てっきり“そういう形状の宇宙人”だとばかり思っていたので、思っていた以上にメカ寄りの生命形質だった事に今更ながら震えています。
 肝心のミラーボールは大也の家にあるが、ブンブンの体は結晶化して崩壊を迎えようとしており、そこに始末屋コンビが駆けつけると、ビュンディーはブンブンの延命の為に自らのパーツとエネルギーの提供を申し出……まあ2人とも、自らをマシンとしてBBGを走っていたりはしましたが、こうなってみると、映像だけでいいから、大宇宙の様々な姿の種族やマシンが一斉に走るBBGの光景を描いておいてほしかったな、と……。
 今作はそんなのばかりですが、あらゆる伏線を丁寧に腐らせ、出来うる限りの布石を盤面から取り除いた末、最後の切り札が無から飛び出してくるのは、シンプルに愕然。
 とにかく「場に出したカードを使って物語を組み立てていく」のではなく、「処理が面倒なので場にカードを出さない」を繰り返してきた末の、当然の帰結というにはあまりにも虚しい最終盤となりました。
 玄蕃が範道邸の鍵を受け取りミラーボールの調達を請け負う流れは綺麗になりましたが、そんなところで未だに1名離脱中なのは盛り上がりを欠くばかりで、「射士郎が裏切った?! その真意や如何に?!」のサスペンスと「絶体絶命の苦境に仲間の力で立ち向かえ!」だったら、《スーパー戦隊》としてはせめて後者を見たかったところであり、4人バージョンのOPで妙なこだわりを出されても心は冷えていくばかりで、本当にどうしてこうなった。
 射士郎の離脱については大也から「射士郎が決めた道だ。言わせておけばいい」と発言があると、未来が「こんな時まで大人になんなくていいんだよ?」とその態度を責め、冨岡さんとしてはやはり、“それぞれが大人として自分のハンドルと進むべき道を持っているチーム”へのこだわりがあるようなのですが、別に射士郎が今の立ち位置に居る事への説得力は視聴者の目に入る範囲のどこにも存在しませんし、この期に及んで大也のやっている事が玄蕃家出編と同じなだけなので、なんだかなー感が募ります。
 玄蕃・阿久瀬・先斗の3人は、範道邸への道のりを梅栖率いるISAと警察の混成部隊に阻まれ、「ハシリヤンに踊らされて、正義を見失っている」と訴える阿久瀬ですが、そもそもブンブンジャー、「BBG出場の通り道にハシリヤンと戦う」のがずっと建前であり、別に正義を標榜して「地球を狙う悪・ハシリヤン打倒」を目標に掲げていたわけでもなく……流れとしては阿久瀬の“自分のハンドル”を描く意図ではあったのでしょうが、ラスト3話にもなって「チームの一体感」よりも「個人の信念」を重視した展開を繰り返し見せられるのは単純に辛く(やるなら順番が逆では……?)、結局、「阿久瀬の目的(志)」と「ブンブンジャーの大目標」の間にある致命的なズレについての摺り合わせが出来ないままでありました。
 そこのズレを修正して統合するエピソードが必要だったと思うのですが、触れると1クール目に棚上げにして解決したみたいな雰囲気だけ出していた部分まで掘り返さないといけなくなる為、誤魔化した感。
 そして、
 「間違っているのはあなたの方ですわ、阿久瀬錠」
 急に「ですわ」喋りになって吹き出したのですが、え、梅栖、そんなキャラだったの……?!
 「力のある者が正義を決めるの。ハシリヤンと築くこれからの時代こそが、正義なのです」
 大也vs内藤も大概でしたが、阿久瀬と梅栖の間で正義問答とかさせても特に面白みの生まれようがなく、積み重ねの希薄な、作り手の言わせたい刺激的だと思っている台詞を言わせているだけで、実に残念。
 阿久瀬が己の正義を貫こうと拘束を振りほどいたところに、グランツによってイグニッションされたヤルカーグルマーが出現。三下へのスポットには何も期待してしませんでしたが、ヤルカーグルマーを合成クルマ獣扱いにして過去のクルマ獣の能力を使わせるアイデアは面白かったです。
 ……ギャーソリン関連の辻褄合わせについては、正直、何を言っているのかよくわかりませんでしたが。
 マッドレックス殉職の真相とディスレースのポイ捨てから今更ながらに上層部に不審を抱き始めた三下トリオは、ヤルカーグルマーの暴走と、地球に召喚されたエリートヤルカー軍団もまた暴走して巨大ヤルカーグルマーにされたのを目にするとブンブンキラーロボを繰り出し、
 「見てるかスピンドー!」
 「おまえの思い通りにはならないカー!」
 「もう誰も、使い捨てになんてさせない!」
 ……だそうです。
 下っ端の意地とやらを見せた三下トリオは、巨大ヤルカーグルマーと共にお空で弾け飛ぶと、理屈は不明だがヤルカー軍団は解放されて帰っていき、なんか、使い捨てにされる側の気持ちを代弁して散った! みたいな扱いにされましたが、惰性のままブンブンジャーの味方になったような顔をしてなぁなぁで全て流されるのを一番危惧していたので、最後の最後に、三下トリオ単独で一発入れてくれた点だけは最悪オブ最悪が回避されて良かったです。
 ……それにしても、人生に行き詰まって安易に裏社会に関わり悪事に手を染め、他者を虐げ楽して美味い汁を吸おうとしてきた末に、自分たちもその虐げられる側と五十歩百歩な使い捨ての存在に過ぎないと気付いて慌てるのは、実に典型的かつ現代では解像度も高まったチンピラ像とはいえますが、当然そんな奴ら、好感が持てるわけはないので……いやどうして、そこの計算ができなかったのですかね……。
 成り行きで見送る側にされた黒と橙のアップが、スーツ姿にしても、ぽかーーんとした感じで笑えましたが、ヒーロー側とさしたる因縁も無いので特に絡めようも無い打ち上げ花火となりました(まあ、最終回にしれっと出てくるのでしょうが)。
 一方、誰もそれが何であるのかさえわかっていないミラーボールを埋め込んでブンブン復活! したらどうしようかと思いましたが、さすがにそこまで酷い事にはならず、お姫様もブンブンの蘇生アイテムだとは、一言も云ってませんでしたからね!
 ボディの崩壊だけは止まるが一同が失意に沈む中、射士郎経由で常槍からもたらされる提案……それは、スピンドーとブンピンクの結婚による、両者の手打ち…………第1話と繋げる趣向そのものはわかりますが、え、それ、手打ち……になるの……?
 あまりの衝撃に、細武さんが、ライトニングテックに対するテロ予告とも取れるメッセージを残した事など皆ほぼ忘れ去って、つづく。