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ヒーローとサッカー

『爆上戦隊ブンブンジャー』感想・第40-41話

◆バクアゲ40「はかれない男」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:森地夏美)
 ブンブルーに弟子入り志願の少年が現れると、射士郎と玄蕃はそそくさと逃げだし、面倒を見る事になったのは阿久瀬と未来……この時点で-20点で、それは黒桃なら話が作りやすいですし、阿久瀬に焦点を当てるのも楽ですが、そうやって簡単に簡単にと話を作ってきた結果が今の『ブンブン』なわけで、とにかく制作サイドが自分たちでハードルを下げるどころか片付けてしまう事に慣れきってしまっているのが残念。
 少年と未来を同行者に、親切で愚直な警察官・阿久瀬の日常が描かれ、道でお婆さんを助け、川に入ってボールを拾い、聞こえてきた悲鳴に走り……本物のひったくり犯と間違えて撮影現場に飛び込んでしまった阿久瀬は平謝り(どう考えてもこれ、悪いのは撮影スタッフ側だと思いますが)。
 「ヒーローは間違えちゃいけないんだ!」
 理想のクールなヒーローとはかけ離れた阿久瀬の姿に不満を抱いていた少年は、自分の行動により弟が転落事故を起こしたトラウマから過剰なヒーロー信仰に陥っていた事が明らかになるが、そこに現れる体重計グルマー。
 人の秘密を数字で暴き出し、ギャーソリンを放出させる体重計グルマーによって未来が行動不能に陥るが、阿久瀬は少年時代の過ちも今は自分の糧だ、と拘束を打ち破ると、クルマ獣めがけて、突貫。
 「100点満点の正しいヒーローなんていない! 自分の心が向いた方に、100%のアクセルを踏む! 君は、君のなりたいヒーローになるんだ!!」
 「ななな、なぜ貴様は平気なんだ?! 一番の間違いを、測ってやったのに!」
 「間違いから学べばそれは間違いじゃない! つまり、おまえは何も測れていない!」
 間違いの程度にもよるのでは……とは思いますが、サブタイトルとの掛け方は、嫌いではないところ。
 とはいえ、弟を事故に遭わせた少年のトラウマと、火事を起こしかけた阿久瀬の回想の内容はいまいち噛み合っておらず、エピソードを通して、少年のトラウマの内容に設定ミスを感じるのですが、子供から見れば重要だけど大人から見ればそうでもない程度の出来事(だけど阿久瀬はそれに真摯に寄り添う)、ぐらいにしておくのが無難だったようには思います。
 阿久瀬の言葉に力を得た未来が拘束を打ち破ると、黒桃変身から戦闘員を蹴散らしていき、少年が感嘆の声をあげているところに、赤青橙が合流。
 「すごーい!」
 「クールの欠片もないがな……だが、錠はブンブンジャーの中で、一番ヒーローらしいヒーローだ」
 ……えええ。
 折角さっき、阿久瀬に「君は、君のなりたいヒーローになるんだ」と打ち出させた直後に、パブリックイメージを体現するようなわかりやすく単純明快な熱血漢で正義漢を「一番ヒーローらしいヒーロー」と言わせてしまう無神経さに心底ガックリ。
 最終クール、ここまで出来が良かったとは言い難い森地脚本なりに、ちょっとメタ寄りにヒーローテーゼへの言及もしつつ「ブンブンジャーとは如何なるヒーローなのか」を描いてくるのかと思ったら、その最後に出てきたのは、“一番ヒーローらしい”のは、よくあるイメージの塊です、で、何それ感でインフルエンザにかかりそうです。
 後たぶん、横で大也が(え、俺は?!)と思っている。
 体重計グルマーは撃破され、後日――さすがにラストシーンで、ブンブラックの弟子となった少年と、元気な姿を見せるその弟が楽しそうに遊んでいる場面が描かれるのですが、なにぶん“遊具から転落して頭を打って意識を失い、警察と消防が出動している状況”で回想がぶちっと途切れていた為、その後、体重計グルマーのギャグ寄りの描写にしろ、巨大戦での駄洒落とトンチ連発にしろ、あっけらかんと面白がっていていいエピソードなのか判断に悩み(十中八九、大丈夫だろうとは思っても、最近の話の流れや大也の初恋回の微妙な前例があるわけで)、上述したように、少年のトラウマの内容こそが判断ミスであったように思います。
 2クール目以降、中澤監督回が軒並み出来が良くないのも、実に辛い。
 ……ああ後、
 「天下のBBGが、今やハシリヤンの玩具とはな」
 「私が離れた後の事なのだろう」
 と、先斗の台詞によってBBGが“天下の”ものとされ、大也が今更今更今更ながらに、始末屋に
 「BBGの現状を探りたい。頼めるか?」
 と依頼を出すのですが、そもそもブンブン抱えて宇宙にまた出ようとしていたわけなのに、宇宙の最新情報を得ようとするのが20話遅い。

◆バクアゲ41「預ける背中」◆ (監督:加藤弘之 脚本:樋口達人
 第23話以来となる加藤監督が野球の次はサッカー回となり、見所は、怪人の必殺シュートを受けたブンブラックが消し炭になって場外に転がったのを見て、ブンピンクをGKに指名するブンレッド。
 ……あの……大也さん……?
 一番危険なポジションにヒエラルキーの低い方から当てていくリーダー率いるブンブンジャーは、スピンドーに擦り寄り、ビッグバンサッカー連盟に加わって甘い汁を吸おうとするサッカー協会へと乗り込んで交渉に割って入り…………ええとなんか、一部の地球人が利権や保身の為にハシリヤンに近づいている状況が、当たり前のように受け入れられているのですが、それで、いいのか……?
 「目先の金儲けの為なら簡単に仲間を売る。……あんな大人たちを、宇宙でも星の数ほど見てきた」
 「惑星ブレキがハシリヤンの手に落ちたのも、彼等のような内通者による工作が大きかった」
 「内側から崩し、外側から攻める。侵略者のセオリーだ」
 さすがにあれこれフォローが入り、先斗や玄蕃の過去に絡めつつ、急ピッチで補修工事が行われていくのですが、そもそも柱一本も立っていない更地に、幻影の最上階まで、この調子で柱と床が“あった”ことにしていくのでしょうか……。
 総大将はお出ましとなったものの、相変わらず、“ハシリヤンの脅威の規模”も“ハシリヤンによる利権や立場の保証”も、何もかも具体的に示されていないので、ハシリヤンに付く方が利がある、とする判断理由が見ていて全くわからず、とにかく“先に見せておいた方が良いもの”を見せようとしない、最終クールもいつもの『ブンブン』ロード。
 「地球のサッカーまであんな奴らに渡してたまるか!」
 「パルス・エースの二の舞にはさせない!」
 かくして、地球のサッカーを守る為、チームハシリヤンとのサッカー勝負に挑む事になるブンブンジャー。
 サッカーボールで「白黒つけよう」と言い出したのはスピンドーの方なので、勝負に負けたら潔く手を引くという事なのかもですが、ブンブン側が勝ったら地球の協会がハシリヤンと手を組むのを諦める理由も特に示されず、なにより、懸かっているものとサッカー勝負のバランスが著しく悪いので、地球サッカーの運命を背負う説得力に欠ける茶番感だけが膨れ上がっていきます。
 そのズレを、どう“埋める”のか、にこそ物語の面白さが生じると思うわけなのですが……その為の工夫と仕掛けが足りないので味がしない、毎度ながらの『ブンブン』テイスト。
 ミスマッチの面白さを狙ったのかもですが、ハシリヤンの侵略とは何か、に触れる至極真剣なやり取りをサッカーのユニフォーム姿で描いたのも、状況の茶番感を増して大失敗だったと思いますし、トドメに始まる……フットサル。
 玄蕃・先斗・VDは、それぞれビッグバンサッカーの名門チームに関わっていた事が明かされ、華麗にリフティングを見せる玄蕃、どうやら役者さん特技エピソードであったようですが、紫と橙は共に俺が俺がのストライカータイプで連携皆無。
 サッカーボールグルマーの必殺シュートで黒がリタイアすると、チームブンブンは三下トリオにさえ点を入れられ、こんなどうでもいい試合に歓声を送るスピンドーの株は下がり、他に演出のしようがなかったのでしょうが客席では風刺マンガじみた過剰な滑稽劇が展開し、揉め続ける橙と紫に赤119が放水すると その間隙を突いて青が1点を奪い返し、橙と紫に選手交代を告げる赤が、奇跡のリーダームーヴ!
 今回も二人が自動的に反省するまで後方でだんまりを決め込んでいたらどうしようかと思いましたが、凄く久しぶりに、チームリーダーらしい事をした気がします。
 玄蕃と先斗がロッカールームで掴み合いをするのもパロディ感満載でしたが、ここからエピソード内容が多少好転し、先にリタイアしていた阿久瀬が、野球経験者としての視点からスポーツの楽しさや熱さを語って二人をなだめるのは、キャラの特徴を活かせて良かったところ。
 「いつでも無心でボールを蹴っていた子供に戻れる。本当に素晴らしいねぇ、サッカーは」
 「……だからこそ、守らなくちゃな。俺達が」
 「届けなくてはねぇ……子供たちに」
 守りたいものへの意識を新たにし、「届け」の拾い方も良かっただけに、ここに持ってくるまでの組み立てが、あまりにも茶番じみてしまったのが惜しまれます。
 その間に試合の方は、サッカーボールグルマーがフィールドチェンジを繰り返す超異次元スペースサッカーへと変貌しており、最初からこれぐらいアクセルを踏んで地獄サッカーをやってしまえば良かったと思うのですが、なまじサッカーぽい事をやろうとしてフットサルを始めてしまった為に茶番感が増幅されてしまい、今作の思い切りの悪さというか、このぐらいでウケるのでは? の判断ラインの甘さがまたも落とし穴を広げる事に。
 最終的に、なんだか爆発しても良さそうな場所で試合が進んでおり、ビッグバンシュートから桃を守ったブンブンとビュンディーがリタイアすると、橙と紫がフィールドに復帰。
 黒がジャケットを貸して紫がチャンピオンするのも悪くは無く(まあもう普通に、作ってあげれば……? とは思いますが)、橙と紫が華麗なパスワークから必殺シュートを決めて同点に追いつくと、アディショナルタイムは巨大戦となって、チームブンブンは大逆転勝利を飾るのであった。
 玄蕃と先斗は遅すぎた友情の挨拶をかわし、ハシリヤンと手を組もうとしていた協会の二人は、「サッカーやろうぜ」でお茶を濁され……戯画的な描写に徹した上で穏当に着地するのですが、この二人は明らかに、プチ常槍にしてプチ内藤なわけなので、いざ本丸と対峙した時にどう落としどころを付けるのかには不安が増しつつ、つづく。