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許せない奴がいる

仮面ライダーカブト』感想・第9-10話

(※サブタイトルは本編中に存在しない為、筆者が趣味で勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆09「君は人のために轢けるか」◆ (監督:田村直己 脚本:米村正二
 注目は、
 「俺はおまえとは違う。……チームの完全調和でワームを倒す。その方が俺には合ってる」
 え、ええ?!
 それは天道も面白がる、驚くべき自己認識が飛び出す事になる加賀美ですが、カブトvsザビーを止めようとしたその時――眠っていたヒロイン力が爆発!
 覚醒したヒロイン力が時空を歪め、頭上からガラス片が降り注ぐ突然のアクシデントに見舞われた加賀美を助けたカブトは、ライダースティングの直撃を受けて崩れ落ち、変身解除。
 「ここまでやれば、充分じゃないですか!」
 「俺の使命は、カブトの抹殺だ」
 「抹殺?! そんなのおかしいですよ!」」
 立ちはだかる加賀美を殴り飛ばしたザビーの一撃がベルトごと天道を貫き、天道総司、絶命……?
 「これも組織の完全調和を保つ為だ」
 ザビーがバイクで走り去ると天道は平然と目を開き、まあ、そんなわけはなかった(笑)
 「身の危険から逃れる為に、仮死状態になる昆虫が居るってな。死んだ真似も楽じゃない」
 これぞ天道総司99の技の一つ――ライダー忍法・冬虫夏草
 だが格好つけた天道は相応のダメージを受けており、入院……したと思ったら、特別個室で職員や患者に手料理を振る舞っていた。
 「お婆ちゃんは言ってた。病は飯から。食べるという字は、人が良くなると書くってな」
 それを目にした矢車の「完全調和」に狂いが広がっていく一方、退院する天道の荷物を整理中、転がり出たライダーベルトに触れたひよりは、7年前、渋谷隕石の際の出来事を思い出す――。
 瓦礫の下敷きとなった少女ひよりが、その隙間から“腰にライダーベルトを巻いた少年”を目にした謎めいた記憶が描かれ、果たしてその少年は、“ベルトとは長い付き合い”の天道なのか……スティングに貫かれた筈のベルトは何故か、ひよりが触れた後に元の姿を取り戻しており、スポット少なめながらも、物語の核心近くに存在する謎を背負ったヒロイン街道をひた走ります。
 全てが規格外の男――天道総司の出現により苛立ちを募らせる矢車だが、ワーム出現の報を受けてライディング変身すると、幼虫ワームを、連続で、轢いた!
 シャドー部隊と交戦するワームはまとめて3体が脱皮を見せ、鼻が、ゾウムシ……?
 ザビーはキャストオフするが3体を相手に苦戦し、復帰早々、影山が殉職の危機に陥ったその時、太陽を背に高い所に現れたのは、天道総司
 「なんでおまえが……」
 「変身!」
 「変身だと?! そんな……そんな馬鹿な!」
 拳をプルプルさせている内に背景では影山が死にそうになっており、隊長の硬直中に壊滅しそうになっているシャドーを救ったのはカブト。だがザビーはワームも隊員もそっちのけでカブトに背後から襲いかかる事を選択する。
 「おまえ……部下を見殺しにするつもりか」
 ……天道は、戦闘中だけ急に真人間になるのがズルい(笑)
 「俺はおまえを倒す。倒さねばならない。そうでなければ……俺が俺で無くなってしまう!」
 矢車の精神の乱れを、ザビーの複眼に映る幾つもの顔で示すのは面白い演出となり、カブトを世界から排除する事で調和と安定を取り戻そうとするザビーに向けて、カブトはキャストオフによりカウンター。
 倉庫の中では影山が幼虫ワームに追い詰められていたが、そこにバイクで飛び込んできた加賀美が轢……いた!!
 ヒーローとしての重要な階梯を一つ登った加賀美はハンドガンを拾ってワームを至近距離から撃ちまくるも、弾切れ。
 「俺は負けない……負けられないんだ!!」
 武装をドスモードに切り替えた加賀美が、おんどりゃぁ弟の仇じゃぁぁぁぁ! と幼虫ワームに果敢に突っ込んでいく一方、茫然自失のザビーが何も指示を出せないまま壊滅寸前のシャドーを救ったのはクロックアップしたカブトで、超然として我が道を行きつつも、カブト/天道が“守れる範囲の者を守ろうとする事に手を抜かない”のはヒーローフィクションとして安心感のあるところ。
 だが、立ち上がったザビーは、そんなカブトへと、部下そっちのけで再び毒の針を向ける。
 「後悔するがいい。ライダーになった事を!」
 「後悔するのはおまえだ」
 「なんだと……?!」
 カブトの背中めがけて飛びかかり、ライダースティングを放とうとするザビーだが……
 「――おまえは自らの道を外れた」
 「はぁぁっ……なに?!」
 ザビーゼクターが自発的に腕を離れ、強制的に変身解除の憂き目にあった矢車は、地面へと落下。
 「待ってくれザビーゼクター……戻れ! 戻れ! 戻れぇぇぇぇ!!」
 矢車の絶叫虚しくザビーゼクターは飛び去っていき、前回-今回におけるカブトvsザビー、カブトの行動は防御や最低限の反撃に留め、この場面でも常にザビーに背中を向けているなど、本分はあくまでワーム退治としてライダーバトルの土俵に乗らない事を貫いた上で(パージしたアーマーが直撃したのは事故だと保険会社も言っています)、直接のフィニッシュも避けたまま、ゼクターとはなんぞやの一端に繋げてみせたのは、良い決着の付け方でした。
 直情径行の熱血漢ではなく、常に余裕を漂わせた(ポーズを取っている?)主人公ならでは、になったのも良かったところ。
 変身の解けた矢車は倉庫内部へと吹き飛ばされ、そこで奮戦中の加賀美が、幼虫ワームのタマを、ドスで殺ったぁぁぁぁぁ!!
 近接武器アクションが完全にドスなの、ZECTの体質が如実に窺えますが、凄いぞ、今日の加賀美。
 それに目にしたカブトはゾウムシワームの元へ向かうと、ライダーキックで1体をあっさり粉砕するが、残り2体がすたこら離脱。
 隅っこで体育座りしている矢車に代わり、シャドー部隊との急場の連携でワームと戦う加賀美の元には矢車を見限ったザビーゼクターが飛来し、それを掴み取った加賀美が、変身に…………せ、成功した!!
 矢車さんの転落も早かったですが、加賀美、当面、変身はお預けだと思っていたので、ここで早くもザビーに変身したのはビックリ。作品としては、適切な装備品を持ちゼクターに選ばれさえすれば、ライダーの変身者は必ずしも固定ではない事を、早めに示しておく狙いもあったのかと思われますが。
 一方、カブトはCGで表現されたちょっと気持ち悪い走行モードに変形したワームを追っている盛りだくさんの展開で、なんとライダーバイクまでキャストオフすると、カウルが展開し、前輪が割れて角が飛び出す変態機構が発動して、つづく。

◆10「蜂の代紋」◆ (監督:田村直己 脚本:米村正二
 バイクに乗ったままクロックアップを発動したカブトは、ライダービル壁走りで破壊を撒き散らしながらゾウムシワームの前に回り込むと、角の伸縮機構で前方へと飛ぶ射出型ライダーキックで更に1体を撃破するが、残る1体は引き続き逃走。
 「俺は……俺は! ……変身したんだぁぁ!!」
 まさかの誕生となった加賀ビーは力任せに幼虫ワームを吹き飛ばし、やはり、ここというところでアクセルを踏み込めるかどうかが試されています。
 パワーを持て余す加賀ビーは、初めてのキャストオフそしてクロックアップで幼虫ワームを4体一挙に殲滅し、これが、野球の力だ!!
 ……いや加賀美、本格的な戦闘訓練を受けていそうにはどうも思えないので、所持スキルが《野球》だけな気が。
 「……天は気まぐれだ」
 その様子を目にしながら立ち去った天道の元を、後日、ザビーの資格を失った矢車が訪れ……台所でネギを刻みはじめた。
 「俺は負けた……完全に。だが勘違いするな。俺はおまえに負けたわけじゃない。……俺は俺自身に負けたんだ」
 冷静さを取り戻し、自分を見つめ直した矢車は敗北を素直に認め、基本、真面目な人だった。
 「おまえに勝とうとするあまり、俺は自分の道を踏み外した。ザビーゼクターに見限られるのも当然だ」
 腕っ節が強くて料理上手な二枚目、すなわち天道とは似たもの同士として登場した矢車想、「孤高」と「団結」の対比というよりは、天道の下位互換のような扱いになってしまったのは残念でしたが、互いにイーブンな状況で戦ってもカブトとそこそこ良い勝負はしたように思われるので、相手を自分のペースに巻き込んでいくのも天道の戦術の一つ、といった面はありそうでしょうか。
 矢車の独白を、薄暗い厨房での料理シーンと重ねるのは悪ふざけ一歩手前の感はありますが、矢車は天道に、完成した麻婆豆腐を提供。
 「……美味いよ。だが随分味が変わったな」
 「おまえの言う、素材の個性がぶつかりあう味だ。……これも悪くない」
 敗北を契機に、「完全調和」とは別の道を模索する気配を見せる矢車の姿に、天道は冷蔵庫から取り出した豆腐を餞別としてプレゼント。
 「だがおまえは、おまえだけの麻婆豆腐を作れ」
 天道から「誰にでも、たった一つ、大切な宝がある」by不滅の牙みたいな事を言われた矢車は、ボールに浮かんだ豆腐を手に去っていき……ここまでの描写を見るにZECT、簡単に足抜けの許されそうな組織ではないので小指の行方が心配、もとい、ケジメとして分家に飛ばされて、末端の鉄砲玉として激戦区に送られたり、海外で資金洗浄する危険なお仕事につく事になるのでしょうか。
 ここで使い捨てるには惜しいキャストでありますが、矢車想に本家復帰の目があるのか心配になる中、ザビーゼクターに選ばれた加賀美は見習いから正規隊員に昇格どころか、シャドー部隊の隊長として本家直系に組み込まれる大出世。
 ライダーバンドを手にニヤニヤしていた加賀美だが、いきなり胸を押さえて苦しみだし……なんか、呪いが(笑)
 「ザビーの資格者が新たに選ばれました」
 「……ハチは、刺すもの。刺さないハチに――価値は無い」
 ZECT会直系ザビー組の若頭に就任し、胸に入れ墨、もといザビーの紋章が浮かび上がった加賀美だが、本家から「カブトを倒せ」と指令を受けると煩悶し、この後、本部の命令・打倒ワームの思い・人としての良心・天道との友情、に揺れる加賀美ザビーと、そんな加賀美を敢えて煽る天道カブトとの対決が描かれるのですが、ちょっとピンと来ず。
 「……友達とは戦いたくない!」
 「おまえなど……友達ではない。お婆ちゃんが言っていた。友情とは友の心が青臭いと書く、てな」
 「青臭いだと?!」
 「青臭いなら青臭いで、それを本気でぶつけなければ意味がない!」
 ザビー渾身の青春ライダースティングをカブトは受け止め、「やっぱりおまえは面白い奴だ」と流血しながら平然と去って行くと、ザビーはその無防備な背中に向けられたシャドーからの銃撃を体を張ってカバーリング
 「どういうつもりだ加賀美! おまえどっちなんだ?!」
 「俺は! ……俺は……」
 自ら変身を解除した加賀美はザビーの代紋を捨てる事を決断し……民間人を拉致・民間人を刺殺(未遂)・民間人を銃撃、と毒を以て毒を制すにしてもZECTがヤバい組織すぎるのですが、加賀美は秩父山中に埋められずに逃げきる事が出来るのか。
 「俺は…………俺はもっと、大事なものを掴んだ」
 加賀美は、たとえザビーの力を失っても、より大きな未来の為に、組織の命令に忠実であるよりもカブトを信じる事を己の進む先として選び取り、加賀美にとっての「道」の輪郭が見え始めるのですが……クライマックス友情バトルはどうも、無理矢理な感じでノれず。
 2話連続でお茶を濁すような形になるのは避けたかったのでしょうが、前回の矢ビーとの決着~ワーム撃破が美しかったので、ゾウムシワーム撃破をおまけ扱いにして、加賀ビーと実質夕陽の沈む河原で殴り合いするのをクライマックスに持ってくる構成も、個人的好みとは合いませんでした。
 ただ、若頭就任直後で、戦闘と指揮の両立など出来る筈がない加賀ビーとシャドーが危機に陥った時にカブトが助けに入り、シャドー部隊には何が起こったかわからないが、加賀ビーがクロックアップを発動する事により、ワームを蹴散らしていくカブトの姿が「見えるようになる」のは、今作における戦闘の特質の表現として面白かったです。
 それから天道の、
 「友達か……俺の最も嫌いな言葉を使いやがって」
 は、ワームと戦い続ける為に、天道が敢えて戦いの場における「孤高」を選んでいるのでないか、と思わせる言葉でありました……どうも天道、ワームの擬態能力について、加賀美に聞く前から把握していたのではないかな、と。
 バトルの起伏としては、そろそろワーム側もカブトに抵抗を見せてほしくなってきますが、加賀美がザビーの資格を失い、報告を受けた加賀美パパ(ビストロで天道と接触)が、スキル《思わせぶりな動物の例え話》に続いて、スキル《思わせぶりな聖書の引用》を発動していた頃、新たに姿を見せたのは、トンボのゼクター……?
 次回――合コン。
 ………………合コン?