東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   X/Twitter→〔X/Twitter/gms02〕

無味

『爆上戦隊ブンブンジャー』感想・第39話

◆バクアゲ39「悲鳴の星」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:冨岡淳広
 何度か書いてきた事のまとめみたいになりますが……

 ●1クール目からずっと、大宇宙レース(BBG)に出場すると言ってはいるが、そのBBGの具体的内容についてほとんど触れないので、宇宙の有様が全くわからない。
 ●2クール目半ばに、ハシリヤンとビジネス上の繋がりがある宇宙からの来訪者(始末屋)が訪れたにもかかわらず、誰も始末屋に感心がなく適切な質問もしないので、大宇宙におけるハシリヤンの位置づけがさっぱりわからない。
 ●3クール目に入って、メンバーの一人が母星をハシリヤンに支配された事が明らかになったが、父親が無実の罪で投獄されている以外には一切語られないので、ハシリヤンによる「星の支配」とは何か、がまるで描写されていない。

 ……ので、延々と煙幕を張ってきたギャーソリンについて先日ようやく意味が明かされてはみたものの、遅すぎる情報の開示と圧倒的な積み重ねの不足により、ハシリヤンの規模や存在感については相変わらず漠然としたまま、曖昧な組織(ISA)と曖昧な組織(ハシリヤン)が独自のパイプで交渉を開始したに焦点を当てられても、最終フェーズの開幕として面白くなりようがないのですが、一体どうしてそうなりましたか。
 とにかく、必要な情報も布石も足場固めも全く足りていないが、制作サイドの誰も理想と現実のギャップを埋められないまま「1クールごとに大きなインパクトがあります!」だけは守ろうとするので、盛大な墓穴が惑星単位で掘られていきます。
 「地球はいいねぇ。あっちこっちで戦争の匂い、貧しさの匂い、最高のギャーソリンの匂いさね。おまえも、耳澄まして聞いてみな。星中の悲鳴、たまんねぇわ」
 遂に地球を訪れたスピンドーは大也の前に姿を現し、ここでやっと「悲鳴」をキーにヒーローと悪の首領が交錯し、ギャーソリンとはなんぞや、とも繋がって「聞こえた悲鳴を絶対に無視せず誰よりも速く駆けつけて笑顔に変えようとする者」と、「文字通りに悲鳴を食い物にして生き続ける者」の対比が発生するのは良かったところ。
 それだけに、第18話以降の大也は、余計な格好を付けて自分だけの美学に酔っているよりも、この方向性をひたすら押し出していった方が良かったのでは? とは改めて。
 「そんなものに悦びを見出すおまえは……地球の敵だ」
 それはそれとしてスピンドー、デザインのモチーフがマイケル・ジャクソンなのは良いとしても、何かにつけて帽子に手をやって「フォゥ!」と声を出される度に、心に引き潮が生まれるのですが、満を持して登場した組織の首領のキャラ付けがデザイン元のパロディなのは、本当の本当の本当にそれで良かったのでしょうか……??
 「おまえらブンブンジャーは、ビッグバングランプリを目指してんだってなぁ」
 スピンドーが口にすると、これが衝撃の情報漏洩のように語られて、細武さんが本部長に疑いを持つきっかけにもなるのですが……いや別に、ブンブンジャー的に秘匿情報でもなんでもなかったわけですし、事前にちょっと本気になって調べればハシリヤン単独でわかりそうな上で、それをスピンドーに知られても、さしあたって特に問題が思い浮かばないので、ブンブンジャーの重大情報のように扱われる的外れぶりに目が点。
 「でもあれ、今じゃ、あたしの仕切りなんだわ」
 スピンドーは、既にBBGはギャーソリンを集める為のハシリヤンのシノギになっている事を告げ、ここにようやくBBGとハシリヤンが繋げられるのですが……うん、なんか、2クール前ぐらいにそういう事にしておいても良かったのでは。
 衝撃の真実、みたいに出してくるものが、軒並み周回遅れになっている『ブンブンジャー』ですが、初期段階でヒーローチームの目的や障害としてオープンにしておいても問題なかったものを終盤まで引っ張った挙げ句、その間に何があったかといえば、うすーーーく引き延ばされた味の無いガムのように白茶けた砂地だけが広がっているのが、ただただ残念。
 ヒーローチームの向き合う目的も障害も背後の事情も全て曖昧にし続ける事により、物語をゴールに向けて組み立てていく作業を実質放棄し、制作サイドが自分たちのハードルを下げられるだけ下げて楽に楽にと話を作ってきた当然の帰結ではありますが。
 「おまえらの夢、なにもかも、あたしが買ったよ」
 「…………俺達の夢を……笑うな!!」
 囁き嘲笑うスピンドーに怒りを向ける大也ですが、「大宇宙におけるBBGの位置づけ」も「BBG出場に向けたブンブンジャーとしてのステップアップ」もほとんど描写されていないので、この期に及んで、「俺達」=「俺とブンブン」に聞こえるのが、痛恨。
 例えばここまでに、「BBGは宇宙の人々に夢を提供する大人気の娯楽」とか客観的情報を複数ルートで示しておけば、「BBGを取り戻す」と「宇宙の人々の夢を取り戻す」が繋がって、「俺達の夢」がパーソナルなところに閉じずに外に広がったかもですし、地球人がどうやってBBGの出場権を得るのか? のステップを先に明示してチームでそれを達成していくエピソードなど幾つかあれば「チーム全員の夢」にも説得力が生じていったと思うわけなのですが……マシンを増やしていくのとアリバイ的な練習走行が2回ほど入ったぐらいで、レースの内容についても第34話で初めて知ったのでは、望むべくもなく。
 とにかく、BBGとハシリヤンがどう繋がっても良いように、無駄玉の可能性も含めて打っておいた布石で勝負するのではなく、できる限り何もせずに全て後出しにする事を選んだ結果、ひたすら味のしない小麦の塊を食べさせられている気持ち。
 ……で、3クール目に入ってから唯一、小刻みに布石を挟んで展開していたのが、背後で進行するISA中心の悪巧み、というどう転んでも面白くなりそうにない要素、に恐らく新味を見出したのでしょうが、新味の前に、ベースの味付けをしっかりしてほしかったとつくづく。
 大也がリスクにチェンジャーを破壊されて危機に陥ると、ビュンディーに止められたブンブンに代わって、細武が予備のチェンジャーを大也の元へと届け……これも繰り返しになってしまいますが、細武さん、制作サイドの肩入れの激しさに対して劇中での積み重ねが足りないので、節目節目でやたらと良い見せ場を与えられるバランスの悪さが延々と解消されず、活躍されても盛り上がれないのが、三下同様、困ったところ。
 気絶した細武を抱えて先斗が離脱すると、チャンピオンブンブンジャーはざっくりスポンジグルマーを撃破し、クルマ獣は巨大化。
 「大也! 俺も戦う。スピンドーが来たからって逃げるもんか!」
 チャンピオンBBロボは格好いいですし、レオレスキューアレンジを使ってきたのも良かったですが、戦闘自体は、駄洒落と固定砲台大技で片付けるだけなので、面白みは無し。
 スピンドーと常槍の繋がりを危惧した細武は、同期の調査官、『マイアミ・バイス』もとい梅栖舞美(当然、視聴者からは常槍サイドに見える立場)と共に上層部に探りを入れる事を決め、
 「ハシリヤンはどこの星でも深く入り込んでる。……油断すんなよ、姉さん」
 と、今になってようやく、ハシリヤンはBBGを裏で仕切れるほどの組織規模、ハシリヤンは様々な星に侵食している、とスペースマフィアとしての姿が掘り下げられるのですが、何もかも後の祭りであり、柔軟性を持たせた要素がどうにもまとまらなくて破綻する場合は確かにままあるのですが、最初から後出しジャンケンを前提にして勝負の土俵に上がる気がないのは、それよりもなお酷いのではないか、と思うのでありました(その上で、別に後出しの整合性が取れているわけでもない)。