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成り上がれ! 闇菓子に賭けた男たち

仮面ライダーガヴ』感想・第23話

◆第23話「ブロークンスイーツ」◆ (監督:諸田敏 脚本:香村純子)
 「小さい頃……まだ自分が何者で、ストマック家が、どういう家かも、知らなかった頃――」
 ショウマは迷い込んだ菓子工場で、絆斗の母と出会っていた。
 かなりアグレッシブだった絆斗母は、まだ人圧縮技術の完成前、工場内部でベッドに横たわり、何かの装置に繋げられた人々の中からショウマの母を助け出そうとするが、会話は噛み合わず……そこに現れるランゴ。
 「人間はな……美味しい闇菓子の材料になるんだ」
 幼いショウマの目の前で、絆斗母が息子の名を呼びながら溶液に放り込まれて溶けていく、かなり酷たらしい死に様がオブラート無しに描かれ、これはもうストレートなトラウマ案件で記憶に残っていないのも納得です。
 ……正直、私でもちょっと引いたので、ストレートにやりすぎたのではと思ったぐらい。
 遅かれ早かれの事だったとはいえ、ショウマの存在が絆斗母の死に関係していた事が明らかになり、絆斗に降り注ぐ、爆弾爆弾また爆弾。
 「わかってるよ……! さらったのは、バイトの誰かだし……やったのはランゴだ。おまえは悪くない、わかってる……頭じゃ全部わかってる! でも…………わりぃ。今俺、おまえの事、無理だ……」
 仲直りから再び訣別まで物凄いジェットコースターになりましたが、頭ではわかっているが故にショウマを憎むのが筋違いな事もわかってしまい、とはいっても顔を見たら理不尽な憤りを抱いてしまうだろう事もわかるが故に距離を取るしかない、のは納得のできる心情で、ここで、絆斗の“出来た部分”を諸刃の剣に使ってくるのが、とっても邪悪。
 しかも、一度は激情にまかせて殴り飛ばした直後だけに、立て続けに同じ過ちを繰り返せないと絆斗の自制心が働いてしまう組み立てが、ますます邪悪。
 まあ出来れば、2話ほど通常営業回を挟んで、改めて上手く転がり始めそうに見えたところで足下を爆破、みたいにしてくれると個人的にはより良かったですが。
 絆斗の背を見送る事しか出来なかったショウマ(正解は、「土下座で平謝り」ではなく「気の済むまで俺を殴れ! それからもう一度、ストマック社にお礼参りじゃ!」だったか……?)が幸果の下へ向かう一方、暗澹とした気持ちを抱えたまま絆斗は酸賀の元を訪れ、一応、ビターガヴ問題の解決を伝えるのが、生真面目。
 「これ俺から。ハッピーバレンタイン」
 そんな絆斗に酸賀は新たなゴチゾウセットを渡し、ヴァレンがなかなか酸賀ラインで強化されなかったの、リアルにバレンタインデーが来るまで待ってたの……?!(放映日は2/16)
 「ちょっぴりビターなチョコだけど、役に立つと思うよー」
 絆斗を見送る酸賀は、だいぶ邪悪な笑みを浮かべ……どうやら、ビターガヴで得たデータをヴァレンの強化にも回す算段でありましょうか。
 おかしいな俺、もうちょっとモテてたつもりだったのにな……と酸賀からもらったプレゼントを手に黄昏れていた絆斗は、恐らく不良時代の友人らしい「カタロー」なる人物からメッセージを受け取り、焼き肉屋で再会。
 絆斗だけ就職している事を羨む旧友の言葉で塩谷について触れてくるのが手堅い作りで、割れた塩谷プレスもきっちり回想映像に入れると、会話に出てきた「モンスター」の言葉を耳にした焼き肉屋の店主の表情が変わり、怪人好きとしては、久々にバイトの気配で嬉しい。
 店主は万札を餌にカタローから絆斗の事を聞き出そうとし、シーンの流れからすると、この日この時、「ショウマにとっての幸果さん」と「絆斗にとってのカタロー」が対に描かれているのが、これまた邪悪。
 ……さっきからずっと、邪悪ですね!!
 そしてショウマの事情を聞いた幸果さんは、超絶ムカついていた。
 「いやなんなのウマショーんち、地獄?!」
 「……え?」
 「人の家族にごめんけど……」
 嘘をついていた事を怒られると思ったのか直立不動でお叱り待ちの体勢に入るショウマだが、幸果の怒りは当然のようにストマック家へと向かい、なんとなく幸果さんは、良いところのお嬢さん生まれなのではと思っているのですが、“生まれ”とか“育ち”とかは今作のテーマ性の一つにありそうで、幸果さんも今後“生まれ・育ち”の要素が何か話に絡んできそうかなと。
 「ウマショーはいっちミリも悪くない! よく頑張ったよ。ここまでマジのガチで頑張ったんだから……!」
 ややもすると自罰的傾向を見せるショウマに対して、幸果はそのこれまでを全力で肯定し、多分ショウマに必要だったのはピンポイントでこれなので、前回から、幸果さんの破壊力が高すぎる……!
 (反応見ると、どうもまだショウマの方はピンと来ていない感じですが……)
 「でさ……ウマショーは、これからどうしたい?」
 「え? 俺は……これからも兄さんたちからみんなをまもっ」
 「じゃなくて。……ウチにどうしてほしい?」
 「…………今までどおりがいい。幸果さんとはぴぱれで、みんなが幸せになるお手伝いしたい」
 「……良かった。ウチもそれがいいって思った」
 これまで、物理的に距離が近い傾向のあった幸果さんが、ここで離れた場所に座って話しかけるのは絶妙にくすぐったいやり取りとなり、はぴぱれが雨降って地固まると、幸果はショウマのライダー活動をサポートしていく事を宣言。
 お菓子の供給役を買って出ると共に、ネット上で黒ショウマ騒ぎの火消しに回り、これで片付くにしろ更に広げるにしろ、フォローを一つ入れておく事により、作中世界においていきなり問題が“消えて無くなった”わけではないと示し、要素の始末についての物足りなさを解消しつつ、今後どちらへも転がせるようにしておく手際がお見事。
 ラキアと合流したショウマは、知らない兄妹が居るのではないかとデンテの元へ確認に向かい、
 「ちなみに、闇菓子を作ったのも、ワシじゃ」
 さらっと言った!
 当然、速攻でタマ殺りにいったーーーー!!
 明らかに、会わせてはいけない人たちを会わせてしまいましたが、渡世の仁義でラキアを止めに入ったショウマが意識を失った事で水入りとなり、ショウマを手厚く看病するデンテの姿に、ラキアの態度もひとまず軟化。
 「ふふふふ、ワシはもともと、ただのグルメじゃからなぁ。そもそもストマック社は、最初は、普通の菓子屋じゃった」
 「え?」
 今でこそグラニュート界に闇菓子中毒を広げるストマック社だが、そもそもはデンテの兄、ゾンブ・ストマックが創業した菓子屋であり、兄が営業と経営、弟が開発、の二人三脚で会社を運営していたある日、ゾンブが「菓子の材料に使えるか」と持ち込んだ液体……それが、“異世界仕入れた未知の材料”だった。
 「ワシは、兄貴の目利きを信用しとったでなぁ。それがなんなのか深く考えず、新しい菓子を開発した。菓子は馬鹿売れした。兄貴はそれを、もっともっと美味くして中毒性を高め、市場を独占して、儲けようと考えたんじゃ」
 ……くっ!
 巧みにデンテの責任部分を減らしつつ、しかし「原材料とかそのもたらす結果について深く考えない」「作れるから作ってみた」「自身の興味関心が最優先」なマッドサイエンティストとしての筋は全く曲げていない……!!
 引き続き、腹から爆発して死んだ方が良い存在という個人的意見は変わりませんが(先々の落としどころとしては、メインキャラの誰かをかばって殉職あたりになりでしょうか)、明かされた社史によりデンテのRGB値が#000000から#1F1F1Fぐらいに変わり、ここまで聞いたところで、ひとまず最後まで話をさせてみようか、とラキアが着席。
 「……それが、闇菓子の原型か」
 闇菓子がより美味しく、より中毒性を高めると共に、闇菓子さえ食べられるなら何でもする兵隊を多数抱える事になったストマック社では、創業社長の野望が菓子業界の市場独占を越えてグラニュート界の支配へと肥大し……ストマック社を巡る物語のスケールがどんどん長編ヤクザ物Vシネマになっていきますが、こうなってくると、“異世界仕入れた未知の材料”を融通した何者かとかが存在していて、話のスケール感を再び広げる伏せ札になっていたりしそう。
 「兄貴の奴、菓子を使って天下を取ろうなんて。野望なんかいだいちゃって。そっからワシは仕事がつまんなくてのぉ」
 「……もしかして……だからこっちの世界に来たの?」
 「そう。おまえさんの、強化・研究の方が楽しくなってなぁ」
 心の弱っているショウマが良い部分だけ良い方に解釈してほだされ気味ですが、どう聞いても、本質的にはダメな人だぞ!
 善でも悪でもないけど、ダメな人だぞ!!
 「後はニエルブに任せて、家出したようなもんじゃ。ほっほっほっほっほほほ……」
 なにやら好々爺みたいに笑っていますが、ニエルブに任せてきた時点で、後がどうなっても別に興味の無い、ダメな人だぞ!!
 「……おまえはあれでいいのか?」
 ビターガヴについてオジキから情報は得られず、その場は色々と有耶無耶になった帰路、ラキアはデンテに対して含みあるところを口にし、これで、ある日ショウマがデンテの洞窟を訪れると、腹のガヴに深々とドスの突き刺さった血まみれのデンテの死体が地面に転がり「この者、大量殺人犯人」と記された血染めのカードが落ちている可能性は残って、ホッとしました。
 この件についてはショウマの判断がだいぶ甘いですが、新たな地雷がきっちりセットされると、黒ショウマを目撃した絆斗から幸果経由で連絡が入り、会話を打ち切って二人は現場に急行。
 そこではガヴとヴァレンが爆殺した筈の黒ショウマが自動車をクルクル回して玩具にしており、ショウマとラキアに対して、軽い調子の笑顔を向ける。
 「んーー、俺はおまえらの事知らないからぁ……俺じゃなかったんじゃない?」
 「どういう事だ?」
 「あはははっ、俺はね、何人も居るの!」
 宣言早かった!!
 「きっとまだまだ出てくるよ」
 「……作られた存在、てこと……?」
 前回思わせぶりだった黒ショウマの発言がさくっと拾われて、黒ショウマは複数居ることが当人から明言され、これで爆殺し放題!
 ……は冗談半分・本気半分で、よく書いていますが“殺せない悪役を中途半端に半殺しにして毎回のように逃げられる”作劇は非常にストレスが溜まるので、毎度きっちりケジメはつけるが一種の連続性を持って登場し続ける悪役、は一つの解決法であるなと。
 またここでクローンらしき存在が登場した事により、“グラニュートと人間の間”しかり“ストマック社”しかり“ショウマクローン?”しかり、“そういう風に生まれてきた事”について、作品全体において一つの主題として扱ってきそうな気配が濃くなってきたのは、今後の楽しみなポイント。
 「……だる」
 「遊んでくれるんだ! やったね!」
 「遊ぶんじゃない。おまえを倒すんだ」
 さすがに制作者については口を滑らせなかった黒ショウマを含めて3人が変身し、ガヴとヴラムの挟み撃ちを受けても平然と対応してみせるコーラガヴは、奪ったゴチゾウを剣に吸収すると、頭髪で振り回す大道芸を披露。
 怪我をして逃げ遅れた人間を守るか守らないかでガヴとヴラムの方針が割れている間に、麦チョコかと思ったら黒飴だったバギーを生みだしたコーラガヴは走り去り、ヴラムに人間を任せたガヴがキャンディバギーでその後を追って、つづく。
 第21-22話の黒ショウマが、強さを誇示して獰猛な獣性を剥き出しにしていたのに対して、今回の黒ショウマは同じ子供っぽさでも何事に対しても扱いが軽くふにゃふにゃしており、これは毎回少しずつ性格を変えてくるのでしょうか……?!
 主演俳優へのハードルがどんどん引き上げられていきますが、次回――
 「ラキア、はぴぱれを訪れる」
 「ヴァレン、黒を纏う」
 「ガヴ、アイスになる」
 の三本で、しばらく怒濤の展開が続きそう。