『仮面ライダー(新)』感想・第32話
◆第32話「ありがとう神敬介! とどめは俺にまかせろ!!」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
何度読んでも敬介が死にそうなサブタイトルですが、洋救出の為に谷底へとXジャンプを決めたX先輩は、肩に毒矢を受けて倒れている洋を発見。
その頃ブランカでは昼寝中の谷がうなされており、今回、魔神峠から離れずに物語が進行する為に谷の出番を確保する苦肉の策だったのでしょうが、洋の危機を感じ取って悪夢にうなされる谷先輩とか、どの方面に燃料を供給したいのかよくわかりません!!
敬介の手当てにより洋が意識を取り戻すと、敬介は学生時代(恐らく改造手術以前)、3ヶ月ほど魔神村に滞在していた縁が語られ、海の男を目指していた筈の敬介が、なぜ山中の村に長期滞在していたのかはわかりませんが、多分、極道親父を殴り飛ばす為の新必殺技の修行でもしていたのかと思われます。
状況を窺いに向かった敬介は、強制水垢離中のサブロー姉と再会し、どうもゲストヒロインとなんとなく雰囲気を出しておけば敬介っぽくなるのでは? という判断が働いたのかと思われますが、実際、なんとなく敬介っぽくはなりました(笑)
本人出演の割に前回そこまで活躍の無かった敬介は、大神殿建設予定地へと潜入するなど見せ場がしっかりと確保され……アップも増えると、髪型はスッキリしたものの、マーキュリー回路の影響もといパーマは残っている感じ……?
生贄候補の少年たちは魔神像の台座となる石を運ぶように命じられ、一番にゴールに辿り着いた者だけを助けてやると告げる魔神提督はいやらしいですが、始まる石運びレースは、なんともいいがたい画。
塾での競争から逃げてきた筈が、山の中で命懸けの競争をする羽目になった事を少年の一人が愚痴るように、恐らくは世相を踏まえた“競争社会”への風刺が入ってきた上で、目の前の問題から安易に逃げ出しても楽にならない・そんな中でも皆で協力し合う事はできる筈、といった主題を持ち出し、新章開幕以降、子供コミュニティに視線を下ろす意識は窺えるのですが、その主題を示すのが割とダラダラ続く山岳台座運びなので、寓話としての切れ味が鈍いのは、物足りないところ。
また、隙を窺って戦闘員に紛れ込んだ洋が子供たちをサポートすると、前回冒頭の根性注入棒などを拾って繋げるのですが、先輩客演の前後編で大要塞建設阻止に挑む大がかりなエピソードだった筈が、その焦点が子供達の石運びレースに落ち着いてしまうのは、どうにもこぢんまりとして盛り上がりを欠く事に。
洋の耳打ち通りに全員一緒にゴールを果たす子供たちだが、むしろ1位こそが最高の生贄の予定だったのだ、と魔神提督が性格の悪い事を言い出すと勢いでそのまま儀式に突入し、「明日の0時」を強調していたタイムリミットサスペンスさんの斬殺死体が峠の麓に転がります。
「おおおぉぉ……畏れ多くもかしこき我らが帝王、黒き太陽の化身にして、暗闇の王、大首領よ……ここに御身を祀る大神殿を建立し、生贄を捧げ奉る……」
最後の頼みはオカルトだ! と組織の原点に帰り魔神提督がおどろおどろしくも仰々しい祈りを魔神像へと捧げると、像の目が赤く輝き、大首領が降臨。
謎に包まれた大首領の正体を見定めようと様子を窺っていた洋と敬介は、魔神像の舌が生贄に向けて伸びると飛び出していき……後で先輩たちに「なんか大首領、こんな感じでした」とレポートする予定ですが、「私の知ってる大首領と違いすぎる。適当言うな」と理不尽な不可判定を下されてレポートの再提出を余儀なくされる未来が見えます。
「生きておったか仮面ライダー!」
「魔神提督! 儀式をけがした仮面ライダーとXライダーを殺せぇ。さもなくば貴様の命は無いぞぉ!」
凄く久々(Gモンスターに最後通牒を出した時以来……?)に喋った大首領から怒りの解雇通告を受けた魔神提督は、慌てて鳥頭とジャガーをけしかけると瞬間退場し、大首領のご機嫌を取って今期事業計画失敗の埋め合わせをする筈が、宴会芸大炎上により一転してクビと首の危機に!
スカイとXは混乱の隙を突いて村人達を脱出させると、黄金ジャガーと鳥頭にそれぞれ挑み、ここなら風見先輩のチェックが入らない! ……多分、と景気良くライドルを振り回すXが鳥頭ロンにXキックを叩き込むと、魔神像を巻き込んでの爆死が良い具合で連鎖誘爆を生み、建設中の大神殿は木っ葉微塵に消し飛ぶのであった!
……ところで、当方感想ではやたら強権キャラ扱いになっている風見先輩ですが、特に性格が悪いとかパワハラ体質なわけではなく、ちょっとめんどく……口うるさいOB、ぐらいの存在であり、若い連中が粗相をしないように引き締めを図る為、自らライダー一家の鬼軍曹役を買って出ているみたいな認識です。
そんな風見先輩も、立花のオヤジ・本郷先輩・一文字先輩の前では、小僧扱いを受けるのがライダー縦社会!
X先輩が勝利を収める一方、スカイライダーは黄金ジャガーと激闘中。
「おのれライダー、来い! これが必殺、黄金ジャガー大車輪突き!」
高速回転から繰り出される連続突きに襲われるスカイライダーだが、貴様の動きはもう見えている、と成長ぶりを見せると、華麗な回避から槍の上にヒラリと着地。
「スカイライダー99の技の一つ――槍渡り陽炎の術!」
……公式が、別路線に、爆走を始めました。
ナレーション「陽炎の術とは、自分の体重を0として、陽炎のように身が軽くなる、忍者の秘術である。仮面ライダーは特訓に次ぐ特訓で、これを会得していた」
これは後半のメインライターとなる江連さんなりの“《仮面ライダー》ぽさ”だったのやら、当時また忍者ブームが来たりしていたのやら、唐突な白土三平テイストが突っ込まれてきて、ちょっと困惑(笑)
いつの間にやら忍者の秘術を会得しているスカイライダー、やはり語られざる1クールがあったようですが、多分その期間に、アメリカに渡っていた今太の再登場や、ネオショッカーに改造された志度会長との凄絶な死闘などが描かれたに違いありません。
覚悟を決めた洋が「会長……私を誰よりも高く飛べるようにしてくれたのは……あなたです!」と半壊した重力制御装置のリミッターを外して使った最後のセイリングジャンプは、感動的な名場面でしたね……!
与太はさておき、
「押すことも引くことも出来ぬぞ。どうする黄金ジャガー!」
「ならば! こうするまで!」
言葉遣いまで忍者を意識するスカイライダーに対して咄嗟に槍を捨てる黄金ジャガーだが、その動きを読んでいたかのようにライダーはまたもヒラリと宙返り。
大開脚アタックから黄金ジャガーの首を挟み込むと、そのまま空中高く舞い上がり、激しい空中回転で平衡感覚を失った黄金ジャガーの頭部を岩に叩きつけ、無防備になったところへトドメのスカイキックを叩き込む、X先輩仕込みの天空地獄車を炸裂させるのであった!
「ぐ! ……がはっ……うっ……負けたぜ……仮面、ライダーー……ぁ!!」
サハラ砂漠からの刺客・黄金ジャガーは爆死を遂げ、一騎打ちへのこだわりから一度はサハラ支部に帰ると言い出したり、魔神提督に子供たちとの約束を守らせようとしたり、シリーズの怪人としては珍しい高潔な武人タイプにして、アーノルド・シュワルツェネッガーの吹き替えなどでお馴染み玄田哲章さんの声も印象的になりましたが、前後編とはいえ、どだい単発の怪人では性格を活かしきれず最後は流されるまま組織の歯車として戦死。
……それにしても、トリカブトロンは道中で勝手に生贄の数を減らそうとするし、黄金ジャガーは子供達全員の助命嘆願をするしで、大首領に捧げる生贄の扱いが大変軽いのですが、ネオショッカー大首領は、組織内部での評判が悪いのではないかと余計な事が心配になります。
勝利を収めたWライダーは救出した村人たちに手を振り、X先輩はライダー忍法・山彦の術により、サブロー姉の幸せを祈る敬介の声を演出すると去って行き、命の危機を乗り越え人間としてレベルを上げた少年たちと洋が手を重ね合わせて、つづく。
上述したように、ネオショッカー側の作戦と少年コミュニティとのスケールが噛み合わず、石運びレース自体が話のテンポも悪くしてしまい、エピソードとしてはサブタイトルがピークになってしまいましたが、ドクガ大砲回の客演がとんだ偽物すぎたので、今度こそ本物のX先輩が登場してくれたのは、ちょっとホッとしました(笑)
やりきった笑顔による爆死も回避されました。
ライドルスティックでの立ち回りから、俺に惚れると不幸になるぜ、と去って行く敬介には、それなりの満足感(笑)
次回――予告洋が復活すると、ブランカメンバーも加わって大量の励ましの手紙をアピールし……背後でしれっと、ブランカガールズが一人増員しているのですが、全く触れずに流されました!
弟を増やす為には、新たな姉が必要なのか。