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主人公力とヒロイン力

太陽戦隊サンバルカン』感想・第19-20話

◆第19話「危険な100点少年」◆ (監督:服部和史 脚本:曽田博久)
 中尾工科学研究所において、水から莫大な水素エネルギーを引き出す研究が完成に近づき、見所は、自動車の爆発に巻き込まれかけるガマモンガー。
 危うく、アバンタイトルでブラックマグマの作戦が終了してしまうところでした。
 研究一筋の中尾博士には落第生な一人息子・宏がおり、父との接し方に悩む宏にアドバイスする鮫島だったが、かえって亀裂を深める結果になってしまい、博士に宏の言葉を聞かせようとする鮫島に対して、助け船のつもりで宏の言葉をさえぎってしまう鷲と豹がだいぶ酷い。
 研究所(兼自宅の模様)を飛び出した宏を追う鮫島だが、講談スタイルで忍者風味なガマモンガーの足止めを受け、その間に宏に接触したゼロガールズは、甘言を弄してアジトへ連れて行くと、宏と瓜二つのダークQを作り出す。
 「今からこの子が、あなたの代わりを務めてくれるのよ」
 「その間、あなたは遊び回っていればいいの」
 「そうか、そいつはいいや!」
 宏少年はブラックマグマの予算で易きに流され、ダーク宏は心を入れ替え品行方正でテストも100点な少年として中尾家に潜り込み、護衛の為とはいえ一同揃って一緒に食卓を囲んでいる鷲鮫豹の緊張感の薄さ!(笑)
 勿論3人とも、ダーク宏を疑って正体を突き止めようとしたりはしません!!
 「それにしても、愚かなパパですねぇ。僕がちょっといい点取って、いい子ぶっただけで騙されるんですからねぇ。あんなパパのどこがいいんでしょうねぇ」
 「やめろ! パパの悪口を言うと許さないぞ!」
 ダークQのデータさえ取れば後は用済み、とばかりに今回も仕事の雑なブラックマグマによって放置されていた宏少年は家に戻りたいとダーク宏に訴えるがすげなく拒絶され、欲に流された安易な選択から自身の居場所を失う子供視点のホラーはそれほど掘り下げられず、仕事にかまけて子供と向き合おうとしない父親像への風刺に主題がスライド。
 そんな父への子供からの愛情はストレートに示されるが、ダーク宏との取っ組み合いに敗れた本物宏は、サファリ常連少年団に拾われ……特にスポットが当たるわけではなく同じ子供達なのかどうかさえよくわかりませんが、毎回のように常連らしき子供達の出るシーンを挟んでくるのは今作の割と頑張っている部分。
 中尾宏の入れ替わり疑惑に気付いた長官から連絡を受けた太陽戦隊は、博士を秘密の地下室へと隠し、日本のマッドサイエンティスト業界においては、自宅や研究所に隠し部屋を作っておくのは社交上のマナーに当たるとCIAも報告しています。
 「いや~、総檜造りの地下室とは羨ましい」
 「いやいや私なんて、外に秘密の研究室を持てない身、まだまだ若輩者ですよ」
 「それなら実はここだけの話、今度、あの海岸線にある洞窟が売りに出されるという噂ですよ。なんでも前の持ち主が……」
 今、界隈では、手頃な洞窟不足が深刻な問題になっています!
 憂慮されるべきマッドサイエンティスト業界の問題は、この後、異空間派と超高層ビル派の対立に発展する事になるのですが、それはまた別のお話。
 太陽戦隊は陽動作戦でガマモンガーらを引きずり出すと、ようやく、偽博士の変装をさせてもらえた大鷲は、テンションの趣くままに躊躇ゼロの飛び蹴りでダーク宏の首を飛ばし、輝け! 太陽戦隊!
 サンバルカンは泡攻撃に大苦戦しながらもガマモンガーを撃破し、巨大モンガーの分身爆弾を太陽シールド(強い)で防ぐと、オーロラプラズマ返しでずんばらりん。
 証拠の首ちょんぱ映像が効いたのか、中尾父子はなんだかいい感じに和解し、その仲立ちとしてサンバルカンが特に機能しないのがいつも通りの『サンバルカン』スタイルで、今回もメイン回だと思ったら陽動だった鮫島の明日はどっちだ?!
 そして、陽動の役さえ与えられない大鷲の未来はどこだ。
 ラストは、生身3人+子供達でのサンバルカン体操となり、振り付けを合わせるのをもはや諦めている感じが漂いますが、途中からおもむろにサングラスオフした中尾博士と美佐が参加し、過去作出演者ぽい扱いだな……と思ったら、中尾博士を演じる原口剛さんは、『大鉄人17』の剣持役でありました。
 次回――またもスポーツネタから、突然の鮫島回っぽいもの連発!!

◆第20話「機械レスラーの罠」◆ (監督:服部和史 脚本:上原正三
 深夜の機械帝国ブラックマグマ……廊下を進んで通信室に辿り着いたヘルサターン総統は、うとうと居眠りしていた構成員を処刑! はせずに椅子を蹴り飛ばして追い出すだけで済ませると、何やらコソコソしながらデータディスクを再生し……中学生男子みたいになっていた。
 再生しても大丈夫なやつなのかな……とちょっぴり不安になっていると、画面に映し出されたのはサンバルカンとの戦闘記録映像であり、ブラックマグマ珠玉の敗北コレクションを見て世界征服へと気合いを入れ直す、を通り越して癇癪を起こしたヘルサターン総統は、八つ当たりで通信設備を散々に破壊(笑)
 「総統はこの幾日か、眠れぬ夜を過ごしておる」
 ゼロガールズが慌てて止めに入ると、カウンセリングに当たっていたらしいヘドリアン女王がコメントを加え、2クール持たずに精神に失調を来たし始めたヘルサターン総統、先日の偽スター大作戦は、「メカ人間の活躍が見たい! とにかく見たいのだ!!」という願望の発露らしい事が明らかになりましたが、今、総統に必要なのはKAWAII世界の動物映像コレクションだと、プロフェッサー・ギルが川の向こうから言っています。
 どうやらプロレス好きったらしい総統は、数多の機械生命体の無念を晴らす為、無敵の機械生命体としてレスラーモンガーを生みだし、真っ赤な筋肉質ボディに鉄仮面を被り、マントを羽織ったレスラーモンガー、現代でも充分に幹部クラスを張れそうな格好良さ&造型の出来の良さ。
 レスラーモンガー軍団は、各地でスポーツ道場破りを繰り返して亡者たちの魂を鎮めようとし、実際の作戦行動は、民間人への嫌がらせ行為に落としこまれるブラックマグマクオリティで、今回は、質より量で攻めたいと思います!
 「これは、我々サンバルカンに対する挑戦だ!」
 さすがの嵐山長官も、まさかブラックマグマがヘルサターン総統の安眠確保の為、散っていった機械生命体の無念を晴らす嫌がらせゲリラ活動を行っているとは想像できず、サンバルカンへの挑発行動に違いないと良い方向に解釈するが、質より量に徹するブラックマグマは神出鬼没。
 だがそこはブラックマグマ、あれ私たちもしかして、太陽戦隊を翻弄している……? と気付くと、エビでタイを釣ろうと作戦方針を転換(劇中でそういうやり取りがあるわけではないのですが、嵐山長官の発言以後、ブラックマグマの作戦行動が明らかに変わっており……まあどちらかというと、嵐山長官が主人公力で事の因果を歪めた感じ(笑))。
 サファリ常連組?のジロウ少年を始め、子供たちまで容赦なく襲われた事に冷静さを失ったシャークが単独で先行すると赤黄との分断を図り、路上にいきなり飛んでくるドラム缶がなかなかの迫力。
 シャークのバイクで思い切り踏むとあっさり潰れるので風船か何かのようでありますが、それはそれで危ない。
 バイクを飛ばすシャークは陽動に引っかかって倉庫に誘き出されると、ブラックマグマ特設リングでレスラーモンガーと一騎打ちする事になり、未だかつて無い個人へのフォーカスで……これはこれで、別番組のような展開(笑)
 「南無三鎮まりたまえ~、地獄の亡者ども!」
 レスラーモンガーと正面からぶつかり合う青だが、得意のシャーククローは通用しない上、電流地獄デスマッチの罠にはまって一方的な猛攻を受け、赤黄の乱入で救出されるものの、鮫島は意識不明の重体となってしまう。
 「シャークは、平和に暮らす人々が暴力にさらされるのを嫌った。それがどんな暴力でもだ」
 考古学者である父と共にアフリカで暮らしていたが、戦争に巻き込まれて両親と歳の離れた弟を失った鮫島の過去が明かされ、豹が“美人に弱い(という程でも今のところないですが……)コメディリリーフ”だとしたら、鮫島は“子供に優しいお兄さん”ポジションに振り分け。
 小さな子供達までが不条理な暴力にさらされる事に、我を忘れて憤った鮫島の背景を知った鷲と豹は、「シャークの敵討ちだ!」と飛び出していくと二人名乗りでレスラーモンガーとの戦いに望み、主題歌・挿入歌に恵まれている今作ですが、ここで流れる挿入歌も、格好良くて大変好き。
 戦闘員は蹴散らすも、恐るべきレスラーモンガーの前に手も足も出ず、パンサー殉職の危機に陥ると、
 バルカンジープで怪人を轢こうとするイーグル
 は、バルイーグル史上最高に面白かったです!
 だがレスラーモンガーはジープによる体当たりさえ受け止めると車体ごとひっくり返してしまい、その頃、美佐はなけなしのヒロインパワーを振り絞っていた。
 意識不明の鮫島の回復を美佐は祈り……そう、今こそ、アイアンモンガーに粘着されて獲得したキビならぬヒロインポイントの使いどころ!
 「……シャーク! シャーク、私がわかる?」
 「……ああ、いつ見ても可愛いぜ」
 悪夢を乗り越え意識を取り戻した勢いで、キザキャラだった記憶も取り戻す鮫島ですが、たぶん太陽戦隊では、週に一度は美佐を褒めないと、カレーの盛りが悪くなります。
 「ジロウと同じ歳だった……」
 負傷したジロウに亡き弟を重ねていた鮫島は、美佐の制止を振り切って飛び出していくと、赤と黄の危機にバルカンスティックを投げつけて乱入。海をバックに腕組みしながら波止場に立ち、電気ショックの影響で思い出したアイデンティティを急速に回復しようとしていた。
 「バル・シャーク!」
 「行くぞ!」
 「おう!」
 「「「太陽ジャンプ!!!」」」
 単独名乗りが仲間達も鼓舞すると、主題歌が流れ出してサンバルカンのターンとなり、レスラーモンガーに突き刺さるトリプルアタック。
 続けて、太陽キックとスカイジェッターを叩き込まれるも、技を受ける事がレスラーの美学……! と立ち上が……ろうとして膝を付いたレスラーモンガーは、バルカンボールの直撃を受けると巨大モンガー。
 ジャガーバルカン発進から合体グランドクロスにたっぷりと尺を採られると、合体シークエンス中にシャークが目のかすみを訴えるアクシデントが発生し、合・体・失・敗。
 ……手動調整なのそれ?!
 まあ、それ以上は引っ張らずに2回目でさっくり成功しましたが、負傷しながらも戦うシャークへのフォーカス×合体ロボならではのトラブル、として巨大戦の良いスパイスになりました。
 改めて、グランドクロスしたサンバルカンロボが地球という名のリングに雄々しく立つと、レスラーモンガーは巨大なバーベルを手に挑みかかるが…………サンバルカンロボが、デカい(笑)
 まあ、基本的にいつもデカいのですが、モチーフ的に大柄なイメージのあったレスラーモンガーよりも完全に頭一つ大きい為、いつも以上に巨大に見えます(笑)
 敵が大きく見えるって事は! 貴様が怯えてるって事さぁ!!
 と、この戦いは恐らくレスラーモンガー主観でブラックマグマにお届けされており、締め技も蹴り技も完全にロボに弾き返されるレスラーモンガーに対して、おおっと! サンバルカンロボ、掟破りのチェーン攻撃だぁ! これはいけない! これはいけない! レスラーモンガー、朦朧としている!
 拾ったバーベル投げでかろうじて反撃するレスラーモンガーだったが太陽剣オーロラ返しで一刀両断され、作戦の規模はともかく、無敵の機械生命体の看板に恥じない、なかなか優秀な怪人ではありました。
 最後は退院したジロウを加え、皆で楽しくサイクリングからボート遊びで、この子供たちの平和を守るのがサンバルカンだ! とナレーションさんがまとめて、つづく。
 第20話にして、今日の目線で見ても納得の行く形のキャラ回でしたが、アクロバットなひねりはないものの、セオリーに則ってキャラを掘り下げつつ、今作らしい派手なアクションに集約されて、綺麗にまとまった一本でした。まあ、急に鮫島にスポットが偏って全体の構成としてはだいぶ歪みが出ていますが、次回も海が舞台でどうなる?!