『仮面ライダー(新)』感想・第29話
◆第29話「初公開! 強化スカイライダーの必殺技」◆ (監督:田中秀夫 脚本:土筆勉)
波を切り裂きながらスカイターボが砂浜を疾走し、バイクジャンプと爆発!
のところにタイトルが入って、新主題歌・新映像による新OPとなり……タイトル直後、砂浜をウィリーで爆走するスカイターボの映像が物凄い勢い。
ガラリと変わった主題歌の曲調(とOP全体の雰囲気)は、個人的に『響鬼』後期OP「始まりの君へ」(&映像)を思い出したのですが、単なる「キミ」繋がりによる錯覚の可能性もあります。
バイク! そして、爆発! と基本に立ち返ったOPの最後に、恒例のナレーションに代わって子供達の声が「仮面ライダー」を連呼する、あざといテコ入れ要素が加わり、先輩ライダー達のしごきを乗り越えて新生したスカイライダーの戦いが今始まる!
見所は……怪人から作戦の詳細を聞かされていなかった魔神提督。
「よーし、それならその仮面を子供達ばかりでなく、大人どもにも被せてしまえ、はっはっは」
「ところが仮面は、子供の体にしか繁殖しないのです」
「わかった。もうよい」
日本支部に赴任して以降、世界各地からコネで呼び寄せた怪人たちは自由奔放すぎるし、予算を投入した大規模作戦には理不尽とも言える横槍に妨害されるしで、相次ぐトラブルに見舞われ続けている魔神提督は《割り切りの早さ》を身につけ、悪のビジネスマンとして新たなステージに立とうとしており、怒るよりも早く諦めをつけるのが大変ツボに入ってしまいました(笑)
古代エジプト秘宝展におけるミイラの展示物として日本に入国(ミイラ怪人のお約束)した、ネオショッカーの改造干物人間ヒカラビーノは、秘宝展を訪れた子供達に、粘液生物付きの仮面を張り付けてしまう!
この後、『宇宙刑事ギャバン』などの演出が印象深い田中監督の初参戦となりましたが、仮面が外れずに泣き叫ぶ子供たちの姿に、不気味なミイラマスク、その裏面に張り付いた青黒いドロドロとした粘液が強調されるカットなど、OP映像から明るく派手めな新章開幕なのに内容は怪奇路線に回帰しており、少々困惑。
ミイラが動いたと主張するシゲルが夜の博物館に単身潜入するのも、典型的な少年アドベンチャー(スリラー)ですが、魔神提督の話を盗み聞きしたシゲルはミイラ怪人に襲われたところを洋に助けられ、暗闇の中で二人を包帯が襲う映像は面白い。
包帯ぐるぐる巻きで干物の危機に陥る洋だが、地震に怯えたミイラ怪人が逃げ出して窮地を脱し、魔神提督の命令により、ちびっこミイラ軍団が東京中の大人を皆殺しにしようと動き出す。
「さあ行くのだ。仲間を増やし、東京中の大人どもを、干物にしてしまえ~」
不気味なミイラマスクの子供たちが次々と大人を襲うも、本当に殺してしまうと大問題なので鋭い爪で引っかかれて傷だらけ、ぐらいの処理をされ、ゾンビならぬミイラパニックに飲み込まれる谷と沼。
ところが干物怪人はブランカガールズ・アキの事が気に入って熱烈に求婚し、新展開でも出番があったどころか、個別のスポットが!!
全身引っ掻き傷だらけで、かつてないダメージを負った谷と沼はネオショッカーに捕まり、同様に囚われの身となったアキはミイラ人間になる為の処置を受けようとしており……なんだか、珍妙な感じにとっ散らかって参りました!
地震で逃げ出す怪人・引っ掻き攻撃に徹するミイラ軍団・無意味に捕まり無意味に処刑されそうになっている谷と沼・ミイラ仮面騒動と全く関係ないところでスポットライトを浴びるアキ・焦点が完全に外れて画面外に消えるちびっこミイラ軍団・来日の目的が嫁探しだったミイラ怪人・いきなり始まる儀式の舞・なんか背景で閉じ込められている谷と沼……と、ここまで来ると別種の面白さが生まれてきますが、土筆脚本では前回も、怪人が生贄の少女にこだわって余計な問題を起こしていたので、モンスタースリラーにおける「美女と怪物」のセオリーを意図していたのかもしれません。
アジトに突入して谷と沼を救出した洋は、物凄い勢いで飛び蹴りを繰り出してくる戦闘員軍団に苦戦しながらもスカイライダーに変身。
ミイラ怪人の後を追い、嫁候補から一転、障害物としてけしけかけられたアキの気を失わせると、新主題歌での記念すべき初バトルにおいて、ミイラの体液をギリギリと絞り取るアクションを見せつけ、S先輩に注入された電撃が良い感じに体内の集積回路の間を駆け巡ってきています。
「7人ライダーと鍛えた新たな技、充分味わってみろ!」
弱ったミイラ怪人に向けて、錐揉み回転の上昇から放たれるスカイスクリューキックが炸裂するとミイラ怪人はあっさり爆死し……サブタイトルの煽り具合から「ライダー大図鑑」的に幾つかの新能力を披露してくれるのかと思ったら、キック一発だけだったのは大変拍子抜け。
まあ「強化スカイライダーの必殺技」の文言に嘘は無いのですが……単発の技としても、前回の殺人忍法・ライダー飯綱落としの方が強烈だった事もあり、物足りない一撃となってしまいました。
ミイラ怪人が倒れると、粘液生物も死んで子供たちの仮面は外れ、全身包帯だらけとなりながらブランカを直す谷と沼の姿にフォーカスする珍しいほのぼのオチで、つづく。
EDも変更となり、ワン~エイトまで、8人ライダーの存在を力強くアピール。前期EDテーマが凄く好きだったのでちょっと残念ですが、テコ入れスカイライダーのモデルチェンジにともない、番組もお色直しの施された、新章開幕(だけど怪奇に回帰)となりました。