『スマイルプリキュア!』感想18・幸せをおお守る笑顔だ
●第40話「熱血! あかねの宝さがし人生!!」
プリキュアサイドの作画がちょっと癖が強い一方、満月を背景に虚空に浮かぶ狼さんの作画などにやたら気合いが入っており、見所は、どんどん凄い顔になっていく狼さん。
「だいたいピエーロ様っていったいなんなんだ?!」
「ウルフルンさん、あなたまた、昔に戻りたいんですか?」
バッドエンドでは久々にジョーカーさんが登場し、狼さんから爆弾発言が飛び出すが、瞳を赤く爛々と輝かせ、異様な雰囲気を発するジョーカーに気圧された狼は言葉に詰まり、最後のチャンスとしてプリキュア一人一殺を要求されると、お好み焼きの因縁からサニーを選んで出陣。
「今日も熱血パワーで絶好調!」
そのサニーは、学校で話題となった「宝物」について考え込んでおり……すみません今回、劇中であまりに「宝物」「宝物」連呼される為、隙あらば乱入してこようとする不滅の牙を押さえ込むのに精一杯で、全く話に集中できませんでした……!
不滅のボウケンスピリッツ!
狼さんはバレーの試合直前のあかねにタイマン勝負を挑むと、ハイパーバレーアカンベェと合身。一対一の激しい殴り合いが展開し、追い詰められたサニーは、前日にみゆき達にプレゼントされたお守りをぐしゃぁっされて、わたのはみ出し方がだいぶスプラッター。
ファントムが生み出せそうな顔になったサニーは、ハイパーバレーアカンベェの攻撃の前に沈黙。そのまま絶望の底で完敗するかと思われたが……狼さんがみゆきを次の標的にすると聞くと再び立ち上がり、バーニングインフィニティ。
ここで狼の指摘する“手の震え”が、「戦いへの恐怖」ではなく、「大切な友達を失う事への恐怖」からだったのは、上手かったところ。
「やっとわかったんや! うちのほんまもんのたからもんが! バレーもお好み焼きも、うちの大切なもんは、全部みんなと繋がっとった! みんながおるからうちは、自分の好きなもんに、一生懸命になれたんや!!」
妙に“形”に囚われていたけど、形あるものだけが宝物とは限らない、と収まる所に収まって、激しく炎を噴き上げるサニーは形勢逆転し、太陽が燃えている限り必ず眩しい朝が来る!
最後は、バッドエンド空間を目視したメンバーが駆けつけて(そういえばプリキュアには、通信機が無い)ペガサスバーニングし、ヒヨコデコルとか出している空気では無い中、狼さんはすごすごと撤収するのであった。
……プリキュアサイドの作画に癖が強めだったのもありますが、いくら変身ヒーローで相手が巨大なボールといはいえ、ステゴロのタイマンで一方的な展開になると、映像的なノリにくさの勝るエピソードでありました。
第36話がかなり好きだったので、ブライアンを拾ってくれたのは、良かったです。
●第41話「私がマンガ家!? やよいが描く将来の夢!!」
前回、まるで主人公みたいなあかねのモノローグで始まりましたが、今回もやよいのモノローグで始まり、どうやらラスト前のキャラ回に共通した趣向の模様。
本日もクラスで自作キャラのイラストをこっそり描いていたやよいは、みゆきらに褒めそやされて悪い気はせず、マンガの新人コンクールに応募してみようと一念発起。
まずは形から入ろうと真っ赤なベレー帽を被り、古い、脳内マンガ家像が古いぞ中学2年生……!
マンガの執筆とやよいの成長(挑戦)が重ねられる構成で、イメージカラーに合わせ、降り積もるイチョウの情景描写が繰り返し挟まれる演出は、第19話「パパ、ありがとう! やよいのたからもの」も担当した境宗久。情緒出し過ぎのきらいはありますが、シリーズの中で特徴的なアクセントとなりました。
みゆきらの手伝いを断り、一人でマンガを書き上げる事にこだわるやよいだが、幼い頃から泣き虫だったやよいが、理想のヒーロー像として育んできた、いわばイマジナリーアイドルといえるミラクルピースのマンガ執筆は思う通りに進まず、一度は完成を断念しかけるやよいの前に現れたのは、こちらもジョーカーから解雇予告を受けた赤鬼さん。
(怖い……でも、こんな時ミラクルピースなら――)
やよいのマンガを奪い取った赤鬼はハイパーヴィランアカンベェとなり、前回に続いて今回も、悪役がプリキュアの心神を徹底的に痛めつけてくる構図なのですが、バトルの画としては痛々しさが強くなりすぎると共に、今作、悪役がプリキュアに向けてひたすらネガをぶつけてくるのが基本なので、一対一でもそれを行われると少々くどくなった印象。
今作における対決のスタイルを貫いたとはいえますし、決戦を前に個々のキャラクターの集大成を描こうという意図はわかるのですが、では今作、キャラクター個々にそこまで明確なテーマ性があったかといえば、そうでもないので、前回はあかねが急に「誰にでも、たった一つ、大切な宝がある」モードに入ると、今作では初期からずっと描いている主題への着地を、あかね個人の集大成として描くのは、どうも強引になった印象。
それに比べると今回は、やよいのコンプレックスでもある“弱さ”に焦点を当てる事で一定の軸は通りましたが、今作の武器であった、瞬間最大風速重視・五人揃っての楽しさ重視、の作風が、土壇場に来て上手く噛み合わなくなった感はあります。
「ミラクルピースは私の中にちゃんといる! 私の中に、ほんの少しだけある強い心が、ミラクルピースなの! 私、漫画を描くのは好き。その強い気持ちがある限り、私は絶対に諦めない!」
ミラクルピースへの想いを胸に、ヴィランアカンベェの猛攻に耐え抜いたキュアピースは、“理想の自分”は決して“理想”だけではない、と気付きに至り、チャージアップ。
物凄い作画のプリキュア1000万ボルトを放ち、いよいよの時は、電光を纏って食らえ目つぶしぃぃ!!
ど根性で立ち上がったヴィランアカンベェもペガサスバーニングの前に倒れて帰宅し、やよいが完成させたマンガは、クラスでちょっぴり流行るのであった。
クラスのモブ男子が側面支援を入れる仕事をするのが、少々珍しい回でありました。
次回――緑川家、家族が増える。