『仮面ライダー(新)』感想・第20話
◆第20話「2人の仮面ライダー! もう1人はだれだ?」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
海釣り中の男たちが釣り上げた大物は……かなり気持ち悪い感じのネオショッカー怪人・クラゲロン(カツオノエボシ風味)。
「ご苦労だった!」
香港から上陸したクラゲロンがお礼として殺人クラゲを投げつけると釣り人たちが溶けて死に、事件のあった三浦海岸に向かった洋を襲うクラゲ部隊。心なしか構えの鋭いクラゲ戦闘員と海岸で生身バトルを展開した洋は、触手の猛攻により海へ転落すると、水中変身で宙返り。
「やや?! 貴様日本の仮面ライダー!」
変身すると初対面のようなリアクションを見せるのは一種のお約束ではあるのですが、明らかに洋を狙って襲撃した直後に、仮面ライダーだった事は全く知らないように振る舞うクラゲロンの頭脳回路の出来が不安になってきます(笑)
そんなスカイライダーとクラゲ部隊の戦いを何者かが見つめ……クラゲの弾力ボディに空手を無効化されるスカイライダー。
「どうだライダー? スカイキックとやらを試してみるか」
「望みどおり!」
挑発に乗って放たれたスカイキックのダメージを吸収すると、平然と立ち上がったクラゲロンは「いずれまた会おう!」と海に飛び込んで姿を消し、世界ランクの強敵現るをアピールするだけして日本支部へ出社。
その来日を待っていた魔神提督はインドからサイダンプも呼び寄せており、改造人間2体の同時投入による大攻勢を仕掛けようとしていた。
怪人の基本名称が「○○+ジン」から変更となり、「サイ×ダンプ」と「クラゲ×ロン」のセットで、ちょっと取り留めが無くなりましたが、デストロン怪人だと思えば……「クラゲ×アイロン」?
続けてサイダンプのターンとなり、道路を激走し、大型トラックに力比べで勝利したサイダンプは、別に運転手親子を殺害するわけでもなく走り去り……この後のシーンも含めますと、激走してトラック襲撃・ダム破壊を目論む・頭脳回路に不安あり、の三拍子が揃っているのは、『人造人間キカイダー』第1話に登場したダーク怪人・グレイサイキングがモデルでしょうか。
「貴様の首をもぎ取り、魔神提督の土産にしてやるわー!」
猪突猛進を体現するサイダンプのの連続パンチを受けた洋は、Aパートで二度目の変身。だが、スカイライダーの打撃はサイダンプの装甲に通じず、挑発に応じて放たれたスカイキックはまたも弾き返され……これが、威力500kgの限界なのか。
参考までに、かつて世界的犯罪組織シャドウの上層部を震撼させたキカイダー01のキック力は、500トンです!
スカイライダーがバイクを召喚すると、物凄い勢いで走り去ったサイダンプは日本支部に出社。改造前はお笑いの相方だったのか、魔神提督の前でクラゲロンとドツキ漫才を始め、提案する作戦のイメージ映像がどちらもやけに壮大なのが、強すぎるヒーローに心を折られ、イメトレとPV制作に励んだ事でお馴染み、新人類帝国を思い出させます。
「どうもおまえ達は相性が悪いようだ……」
一緒に呼んだの、誰?!
ゼネラルモンスターへの魔神ビームでデビューすると、就任早々にプロフェッサー・ドクを処刑する非情にして苛烈ぶりを見せてきた魔神提督ですが、前回今回と、配下に振り回され気味(笑)
早くも、世界各地に転勤を繰り返してきた一流商社マンの苦悩がその背に漂い始めておりますが……
「しかし、今度ばかりは仮面ライダーも手が出せまい。体は一つ、作戦はふたぁつ!」
と指を二本立てて勝ち誇るのは、大変面白かったです。
ブランカでは谷がガールズ2名に現状を説明しており…………おかしい、喫茶店のアルバイトに採用されただけなのに、気がつくと対ネオショッカー組織の兵隊に数えられているぜ……!
スタンド名〔ライダーガールズAct.2〕は“経緯をフッ飛ばす”……ッ! により、“ブランカでバイト中に事件に巻き込まれてネオショッカーの存在を知る”エピソードそのものがフッ飛ばされている為、ブランカのウェイトレスがとんだ暗黒バイトと化しています。
洋は、爆走中のサイから園児をかばって負傷した幼稚園の教師の職場復帰に付き添うが、園は猛毒クラゲ水道混入テロの標的にされており……この幼稚園教師が話を転がす舞台装置の役割を担うのですが、怪人ダブル投入の結果、釣り人・トラック父子・幼稚園教師、が次々と通り魔的被害に遭う中で幼稚園教師だけがピックアップされるのは常以上に強引さが目立つ上、爆走サイに踏まれたが「精神的に強いショックを受けたので一晩入院」ぐらいで済まされてしまう為、どうにもこうにも舞台設定が盛り上がりません……ちなみにトラック父も息子をかばってサイに踏まれており、表現が被っているのもマイナス。
園内でクラゲの姿を探し回る洋だが、避難中の園児らの前にサイが飛び出してくると、『仁義なき戦い』のテーマのようなBGMで教師がさらわれ、何者かがずっとそれを見ていた。
「待て!」
「逃げはせん。おまえを誘い出したのだ」
「なに?!」
それを追いかけたスカイライダーは、クラゲとサイの挟撃を受け、2対1の大ピンチ。
苦境の中、跳ね返されるのを承知で放ったキックの反動を利用したフライングクロスチョップにより、背後のクラゲを奇襲して教師を助け出す頭脳プレイを見せたのは良かったですが、教師は無事に逃がすも、クラゲ触手とサイ突撃の猛攻に、残りHPは後わずか――。
「二対一ではどうにもなるまい!」
「待て! 二対一ではない、二対二だ!」
だがその時、一度ならずスカイライダーに警告を与えていた謎の声が割って入ると、高い所に姿を見せたのは、胸に輝くSマーク……シビレイジン回の感想を書いていた時は、まさか直後にストロンガー(CV:池永通洋)の参戦があるとは夢にも思っていませんでした(笑)
「天が呼ぶ。地が呼ぶ。人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ。俺は正義の戦士! 仮面ライダーストロンガー!!」
得意の3カットズームインと共に謎の戦士はポーズを決め、果たしてS先輩は、人質みたいになっている後輩ごと、
「よぅし、行くぞ! でぇんき・ストリぃぃム!!」
してしまうのか?!
次回――「よぉ! 来週は、2人で、戦うぞ!」
予告では洋とストロンガーがメタ空間でがっちり握手をかわし、新幹部来日、怪人ダブル投入、必殺キック無効、からの先輩ライダー登場! となりましたが、今回時点ではダブル怪人の紹介が尺の大半を占めて、大規模作戦はイメトレのみに終わってまだ何も始まっておらず、1エピソードとしては冴えない出来。
また、後輩がピンチを乗り越える事ができるかを物陰からじっと見ているのは許容範囲でしたが、一般市民が巻き込まれているのに静観しているのはヒーローとして大変いただけなく、話の都合が悪い形に出た内容となってしまいました。
巻き返しを期待したい次回ですが、スカイライダーに足りていないのは多分、特訓。