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年末恒例ランキング(長い)

2024年を振り返る:特撮編

 今年も、〔東映特撮YouTubeOfficial〕を中心に色々踊らされた日々でありました。
 年末恒例、今年も各部門に分けてランキング形式で振り返ってみたいと思います。対象エピソードは、昨日の更新分まで。対象作品は、“それなりの話数を見た上で、今年、最終回を見た作品&劇場版&現在見ている作品”という事で、以下の通り。
〔『仮面ライダーX』『仮面ライダーアマゾン』『仮面ライダーウィザード』『仮面ライダー響鬼』『超力戦隊オーレンジャー』『バトルフィーバーJ』『牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』『電子戦隊デンジマン
『爆上戦隊ブンブンジャー』『仮面ライダーガヴ』『仮面ライダー(新)』
仮面ライダーブレイド MISSING ACE』『仮面ライダーファイズ パラダイス・ロスト』『仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル』〕
 性質上、上記作品のラストにまで触れている場合がありますので、ご了承下さい。
 昨年のランキングはこちら→〔2023年を振り返る:特撮編/ものかきの繰り言〕
 それではまずは、昨年に続いてこの部門から!

☆最低な大人部門☆
1位 パゴー (『仮面ライダーアマゾン』)
2位 ブーシュ・ストマック (『仮面ライダーガヴ』)
3位 デンテ・ストマック (『仮面ライダーガヴ』)
次点  堂本博士(『仮面ライダーX』)

 由緒正しい東映暗黒駄メンターであるパゴーを筆頭に、新旧《仮面ライダー》勢が並ぶ事になりましたが、貫禄の第1位は、闇のインカ科学の担い手・長老パゴー。
 物語の開幕を、「身内から造反者を出す」「勝手に改造」「いきなり死ぬ」、のパーフェクトコンボで飾り、「ヤマモト・ダイスケ、日本人、23歳。(中略)なんの為に襲われるのか、なにも知らぬ彼は、バゴーの催眠暗示に従って、ただ走った」と主人公の自由意志ゼロで始めるのが酷い、酷すぎる……! 前作『X』最大のインパクトだった神啓太郎の後継として、見事な最低ぶりでありました。
 「日本にゆけー……コウサカに会うんだ……」
 第2位は、ストマック社の前社長、ブーシュ・ストマック。
 ストマック家視点における、仕事にかまけて我が子を顧みない家庭内駄目人間像はままある造型ですが、ショウマ視点においても、さらってきた人間に子供を産ませて一方的な理屈を押しつける人外の鬼であり、現状、劇中の善玉サイドと悪玉サイド、どちらから見ても紛うことなきクズ親父、なのが、凄まじい破壊力。ポジション的にはこの先、こういう事情が……とか、実はこういう事をやろうと……とかフォローが入る可能性はありそうですが、個人的には、フォロー不可能の極道親父であってほしいです(笑)
 「ええい! 今大事な話をしているんだ! 邪魔をするな!
 第3位は、闇菓子を美味しくする為の人間スパイス技術を確立し、後継者としてニエルブを育て、ブーシュの依頼でショウマに改造手術を行った、割と『ガヴ』における諸悪の根源であるデンテ・ストマック。
 現在は人間界に隠居してストマック家とは距離を置いているので、情報源としてひとまず許されてはいますが、善意とか悪意とかちっぽけな倫理観とかを遥かに逸脱した愛と信頼の東映マッドサイエンティストであり、見た目がメタボ体型のゆるキャラ風味でなければ、とっくの昔に焼いたマシュマロに沈められていてもおかしくないと思うのですが、ホントどうするのこの人?!
 「なんじゃ? 覚えとらんのか? 幼いおまえのガヴを、改造してやったじゃろぉ」
 次点は、世界を滅ぼしかねない超兵器・RS装置の設計図の断片を送りつけられた事で運命を狂わされた南原グループの一人、堂本博士。
 余命いくばくもない身でやむを得ず……と理由を与えられてはいるのですが、近所の子供を騙してその背中に設計図の断片を焼き付ける鬼畜の所業で、昨年に引き続き、『X』ゲストキャラから堂々のランクイン。一応、悪の組織に抵抗する科学者、の位置づけなのですが、この一言が、その最低な本質の全てを表しているといえます→
 「この子供達には可哀想だが、人類の平和には換えられん」
 番外として、役者さんの病気による急遽降板の事情により、突然の置き手紙・海外へ高飛び・「あとはよろしく」と、これ以上ない駄メンタームーヴを叩き出して去っていった志度会長。
 登場当初は、洋をネオショッカーから遠ざけようとするなど、第1話に出てくる博士キャラとしては思わぬ良識を見せていたのですが、その後、洋の協力を断った割には自前の対ネオショッカー組織で若い娘3人に囲まれているとか、影武者作戦で高笑いとか、警察無線を傍受しているとか、少しずつ危うくなっていくところに面白みが出ていただけに、残念な降板でありました。
 「筑波くん……君こそ……君こそ仮面ライダーだ!」
 他に、TV本編よりはむしろ人の心を感じるが、そんなTV本編の進行によりだいぶ重要な案件について口を噤んでいた事になった劇場版ベルトさん、最低とまではいわないもワールドクラスのアスリートメンタルを無差別に撒き散らし後輩には当たり強めのヒビキさんなど、今年も東映方面に強豪揃いでありました。
 なお『ガヴ』の酸賀に関しては、最低は最低でも現状、悪役度の方が高いという事でランクインはなりませんでしたが、来年、どこにどうなっているか、楽しみなキャラクターです。
 メカ部門は、個人的にシリーズでもかなり大きなインパクトだったアイツ。

☆メカ部門☆
1位 怪人製造カプセル (『バトルフィーバーJ』)
2位 マーキュリー回路 (『仮面ライダーX』)
3位 ディスクアニマル (『仮面ライダー響鬼』)
次点  ライドル(『仮面ライダーX』)

 第1位は、怪人枠で悪役部門か……? とも思ったのですが、劇中の大半メカ扱いだったので、エゴスの御子を生み出す、怪人製造カプセル。
 決して各エピソードのアベレージが高いとは言い難く、作風も蛇行しがちだった『バトルフィーバーJ』ですが、原点回帰のスパイ物要素を取り込んだ裏切りのドラマと、骨を切らせて肉を断つバトルフィーバー怪人計画を軸とした最終回は見応えがあり、しゃ、喋った?! の驚愕も含め、エゴスの切り札としてまさかの最終話怪人になるのは、予想だにしないインパクトでありました。
 また、ベーダー一族の卵孵化マシンも、ブラックマグマの機械生命体製造装置も、同一コンセプトのデザインといえ、シリーズ後続への影響(使いやすかったのでしょうが)も加点して。
 「武者震いをしております」
 第2位は、やってくれた、やってくれたぜ風見先輩……! でお馴染み、マーキュリー回路。
 客演の先輩が持ってきた出自不明の強化装置、という割とアレなテコ入れアイテムなのですが、回路のセット(&先輩からの輸血)によってアップデートが行われると、敬介の頭部が盛り上がり、全身に塩を塗り込んで沼の底で待機するようになり、口調が乱暴になってデリカシーが著しく低下すると、挙げ句の果てに落とし穴に落ち……やってくれた、やってくれたぜ風見先輩……!
 更新して再起動する度に人として何かを失っていく敬介、戦えXライダー! 負けるなXライダー!
 「真空・地獄車!」
 第3位は、魔化魍退治の頼れるサポートアイテム、ディスクアニマル
 ディスクから動物に変形するギミックの秀逸さに、大量同時使用によって鬼の活動を特徴付け、背景組織である猛士の存在感にも繋がる、『響鬼』を象徴するアイテムでありました。シリーズ作品では珍しい系統のアイテムだった事もあり、各話の演出陣が色々と面白く見せようとしてくれたのも、良かったところ。また、後半に投入された割と世界観破壊系の追加武装アームドセイバーによる、強化形態の装甲パーツとなる事で、前半と後半を繋ぐ役割を示してくれたのも激動の中で良いアイデアでした。
 『響鬼』は異風ではありながら、音セイバーやラッパ×バックルなど、各種ギミックの表現は工夫があってなかなか面白かったのですが、そんな猛士メカニックの代表としても。
 「――響鬼・装甲だな」
 次点には、昨年の続いてのランクインとなったライドル。シリーズの殺陣に新しいアクセントを加えた点はかなり気に入っており、変形機構を与えた事により、一本で様々なアクションを繰り出せる仕様も秀逸。風見チェックが入って以降は封印されてしまい、このまま出番無しで終わるのか……と残念に思っていたら、最後の最後、物語のフィナーレを飾る、ライドル・ドス・アタック!! で、忘れがたい武装となりました(笑)
 「覚悟の上だ。二人とも死ねーーー!」
 続いては、今年トップクラスに印象深いキャラの出た、助演部門。

☆助演部門☆
1位 桐矢京介 (『仮面ライダー響鬼』)
2位 倉間鉄山 (『バトルフィーバーJ』)
3位 塩谷壮士 (『仮面ライダーガヴ』)
次点  裁鬼(『仮面ライダー響鬼』)

 第1位は、メインプロデューサー交代という制作サイドの大激震の中、大幅テコ入れの使者として投入された劇薬、桐矢京介。
 京介に関しては感想本文でだいぶ語り倒しましたが、個人的には何はなくとも、その投入により明日夢くんの扱いにメスが入れられ、「自己申告オンリーの変化からの脱却」「同世代の同性との関わりを与える」「半笑いリアクションの改善」といった術式が執り行われ、いずれも大手術の執刀箇所として納得のいく部分だったのが大きく、『響鬼』をだいぶ見やすくしてくれた存在でした。
 あまりにも井上キャラすぎる・憎まれ役を意識しすぎて時々いくらなんでもな暴言を口にする、などの問題はあったものの、のんびりと構えすぎていた明日夢少年を強引に走り始めさせる役回りとしては完璧といっていい仕事ぶりを果たした上に、最終的に当て馬にされる事もなく、互いの進む「道」を尊重し合う関係に収めてくれたのも良かったところ。
 後期『響鬼』そのものを象徴するといっていいキャラであり、作品貢献度が極めて高く、今年トップクラスに印象深いキャラでした。
 「君ってつまらない人間だよな」
 第2位は、バトルフィーバー隊の頭脳にして最強の剣、倉間鉄山将軍。
 鉄山将軍のおいしいところは以前の配信時に見ており、完全初見でない分、1位は京介に譲りましたが、肩書きが「将軍」・日本刀飛びで戦士の覚悟を問う・ヒーローチームの必殺技より強い必殺剣を持つ・アリが畳を這う音が聞き取れる・最終回直前に敵幹部を一騎打ちで倒す、と何度見ても抜群のぶっ飛び度合い。戦隊トンデモ長官の系譜に燦然と輝く、人斬りの眼光でありました。
 「風車剣を儂の電光剣が斬る!」
 第3位は、今年一番、退場に悶絶した塩谷師匠。
 職業といい風貌といい、どこか胡散臭い登場から、絆斗にとっては父親代わりの尊敬する人物であり、塩谷も絆斗を気に懸けている思いやりのある関係の絶妙な描写で好感度を引き上げてからの……べきぃっ! ……物語序盤にダイナミズムを与えるガソリンの投入として、実に鮮烈な退場劇であり、キャラ立ちして視聴者を引きつけた瞬間に全てへし折るのが最高のスパイス、と叩きつけられる手並みでありました。そして絆斗にとって紛う事なきメンターポジションであった塩谷の退場後に、その場所にどっかり腰を下ろそうとしているのが酸賀なの、ホント酷い。
 「正直、危ない真似はしてほしくないって思ってるよ。……親代わりやってきた身としてはな」
 モグラ獣人などを押さえて次点に入ったのは、何度倒れても何連勤だろうと立ち上がる、勇者体質の男・裁鬼
 正直、途中からはスタッフもネタにしていた感はあり、酷い目に遭わせすぎでは……? と思うところもあったのですが(それこそ2010年代の作品だったら、もっと露骨に悪ノリに見舞われていそう……)、序盤に目を付けていた事もあり、特筆しておきたいキャラクターとなりました。劇中では散々な扱いのまま終わりましたが、やたら格好いい鬼デザインも好き。
「じゃ、くれぐれも裁鬼にお大事に、ってね」
 続けて、今年も激戦区だった悪役部門を勝ち抜いたのは……

☆悪役部門☆
1位 アポロガイスト (『仮面ライダーX』)
2位 ケラー (『電子戦隊デンジマン』)
3位 メデューサ/ミサ (『仮面ライダーウィザード』)
次点  十面鬼(『仮面ライダーアマゾン』)

 第1位は、ゴッド秘密警察第一室長、アポロガイスト
 ちょうど最初の退場回が昨年のランキング集計直後だった為、昨年の活躍分も含みますが……組織における立ち位置の面白さ・何を言っても3割増しで面白くなる渋い美声・奇天烈な衣装を着こなす二枚目ぶり・Xライダーと讃えあって互いの株を上げる正統派ライバルムーヴ・抜群に格好いいデザイン・変身コールを用いる“悪の仮面ライダー”の立ち位置・随所で見せる切れ味鋭い面白会話の応酬……と、伊上脚本との相性も抜群で、従来の幹部キャラとは違う監査役というポジションも冴えて、悪のライバルキャラとして見事な存在感でした。
 見た目の割には、意外と美学系ではないのも、個人的にはポイントが高かったです(笑)
 復活後はしばらく迷走もありましたが、決戦回の出来がまた素晴らしく、長坂秀佳降板後の作品に新たな活力を与えたくれた点でも、『X』を代表する名悪役。
 「アーム爆弾で一緒に死ねぇ!」
 第2位は、今年のダークホースとして印象深いケラー。
 当初は、悪役サイドの彩りぐらいのキャラだろうと気に留めていなかったのですが、同僚のミラーともども意外や積極的に地上へ出てくるとベーダー一族の実質的な行動隊長の一人として活躍。前作のサロメに続いて、各種変装でその美貌を見せつけると、女幹部コスプレ枠の地位を確固たるものとし、正直、ヘドラー将軍より、よほど目立つ事に(笑) ……ヘドラー将軍はヘドラー将軍で好きだったのですが、パリッとした服装でヘドラーの横に立てば、それだけでヘドラーの実業家コスプレの説得力が上がるし、かと思えば塾回では変な踊りに加わって可愛さも出し、ミラーさんともどもスタッフに愛されていた気配が窺えますが、見事な活躍ぶりでありました。
 「「抹殺せよ!!」」
 第3位は、株式会社ワイズマン第一秘書室長・メデューサ
 「ヒーローと怪人」を一つの大きなテーマとして扱っていた『ウィザード』は、ファントム幹部を序盤からじっくり丁寧に煮込んでくれていたのですが、暴れん坊のフェニックスと対比される冷静沈着な実力者ポジションから、突然の人事異動による転落、ゲート感知能力で献身的に尽くしてきた社長に利用され尽くした末に絶望の中で最期を迎えるまでの見事な使い切りぶりで、いい幹部悪役でありました。特にワイズマンの正体判明を、一番驚いてくれるポジションとして盛り上げてくれたのは、見事な役回り。
 最初は堅さも目立った女優さんも徐々にはまっていくと、中盤以降は一人三役も見せる印象的な活躍で、特にミサとして大変いい表情を浮かべるようになり、総合的な作品貢献度が高い悪役でした。ストレス解消法が一人ボウリング、もスパイスとして美味しかったです(笑)
 「私が部下?!」
 次点に、悪役としてはどうしようもない小者でしたが、デザインが最高に良かった十面鬼。
 全身真っ赤な小鬼のような上半身に、巨大なダルマのような顔面が胴体部分を成し、その胴体部分にはグルリと円周上に人の顔が並んでそれぞれが人格を持って喋るのが、物凄い気持ちの悪さ。今ならCGなどで表現されそうですが、生の人の顔が並んでいる、のが独特のグロテスクさを醸し出すデザインと見せ方が非常に秀逸でありました。……もう少し、組織の首領として有能ならなお良かったのですが!
 「アマゾンを殺せ!! ギギの腕輪を、奪うのだ! そして、世界は、ゲドンが支配するのだ!」
 今年後半に旋風を巻き起こしたストマック社の狂犬・グロッタ姐さんは、活躍の本番はこれからだろう、という事で今回のランクインは見送って他のキャラに席を譲りましたが、来年は他の兄弟ともども、更なる活躍を期待しております。
 なによりアポロガイスト室長がインパクト絶大ではありましたが、グロッタ姐さん含めて、全体として、女性幹部キャラが豊作な年でありました。

☆悪の組織部門☆
1位 闇のインカ科学 (『仮面ライダーアマゾン』)
2位 南原グループ (『仮面ライダーX』)
3位 ベーダー一族 (『電子戦隊デンジマン』)
次点  ストマック社(『仮面ライダーガヴ』)

 劇中には明示されない悪の組織ですが、まあこのランキングにはままある事なので、今年の第1位は、闇のインカ科学! ないし、古代闇のインカ文明。
 そもそも「闇のインカ科学」、『アマゾン』劇中には一切登場しない言葉なのですが、検索してみたら私、今年12回使っていましたね「闇のインカ科学」!(※うち2回は『ガヴ』)
 超エネルギーを封印した扉の鍵を二つの腕輪にしたところまでは許せる範疇ですが、その腕輪の守護者とされた者には、腕輪が外れると爆死し、腕輪の出っ張りの為に袖のある服を着ることのできない運命が待ち受けている他、侵略に対する防衛にして未使用に終わったとはいえ、仮に使用されていれば世界史に残る事件になったであろう猛毒インカリアの開発など随所に闇を感じさせ、そもそも劇中の公式悪の組織であるゲドンもガランダー帝国も、闇のインカ科学の末裔とおぼしいわけであり、人の自由と尊厳を奪い、力の器に変えてしまう闇のインカ科学を許してはいけない!
 「この腕輪は、いったいなんなのか。アマゾンは何も知らない」
 第2位は、地上のあらゆる物質をエネルギーに変換するRS装置をゴッド機関の手に渡さない為に、設計図をバラバラに千切り呪いの手紙としてばらまいた南原博士と、それを受け取った仲間達。
 後半、人類に対する福音とも災厄ともなる発明を巡り、善と悪がぶつかり合う構図となる『X』ですが、そこは東映時空であり『X』日本なので、手紙を受け取った南原博士の仲間達から、
 「近所の子供の背中に設計図を焼き付けて自らはさっさと死ぬ堂本博士」
 「影武者を金で雇ってゴッドが引っかかると、ホテルでくつろいで海鮮活け作りをいただこうとするエガワ博士夫妻」
 「何も知らないバレリーナを機密文書の運び屋に使う西ドイツのある科学者」
 といったメンバーを次々に生み出すと、それに笑顔で協力する主人公たちも悪の組織と大差が無くなっていき、ヒーローと怪人が同根の存在であるように、悪の組織と戦う者もまた、容易く深淵に飲み込まれてしまうのでありました。進んだ科学技術とそれを巡る人の倫理をテーマの一つとしながら、出てくる高名な物理学者たちの大半が人間性に問題を感じさせる『X』、人は犠牲なくして何も手に入れられないのか、教えてくれ父さん!!
 「見たかね。実験用に密かに作った、ミニモデルのRS装置の威力を!」
 第3位は、各話怪人のアベレージの高さを評価して、ベーダー一族。
 ……ようやく劇中公認の悪の組織の登場となりましたが、どうも今年は、個別の怪人レベルではスマッシュヒットがあるも、組織の動きとしては後半に跳ねる事もなく右肩下がりままの作品が多い1年でありました。ベーダー一族もその例に漏れず、異次元からの侵略者として派手なデビューを飾るも、SR怪人ウミヅリラーを早々に消費してしまった件が尾を引いて、長い中だるみ期間に突入。カンフル剤になるかと思われた食客バンリキ魔王の到来も巧く機能しなかったものの、野口竜を中心とした怪人デザインの面白みは素晴らしく、《スーパー戦隊》シリーズの大きな強みである“怪人の面白さ”において、目を引く組織でありました。
 「地球上から全ての美しいものを消し去れ。地球上を、ヘドロとガスの渦巻く、腐った世界にするのじゃ」
 次点には、ストマック社。
 1クールが終わったところで、今後どうなっていくかわからない部分が多いですが、ポテチ食いてぇ……べきぃっ!! で相容れない“敵”としての存在感を早々に見せつけると、縦横の関係性をじんわりと描いて幹部にあたる兄妹の肉付けも順調に進んでいるのは、好材料
 また、《スーパー戦隊》好きの香村純子がメインライターという事があってか、“プレスの集め方”で個性を出す事によって各話怪人に面白みを持たせ、エピソードのアプローチに工夫を凝らしているのはポイントが高く、かつて『ウィザード』でも多くの極悪ファントムを繰り出した香村さんを中心に、今後もバイトくん達の活躍にも期待したいです。今のところ、特に印象的なバイトは、ヤドカリとワニ。
 「……上質なスパイスを手に入れるには、こっちで作ってやればいいのさ。……幸せをな」
 続いては、年末に一波乱のあったヒロイン部門。

☆ヒロイン部門☆
1位 持田ひとみ (『仮面ライダー響鬼』)
2位 クロウ (『牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』)
3位 桃井あきら/デンジピンク (『電子戦隊デンジマン』)
次点  コヨミ(『仮面ライダーウィザード』)

 今年は珍しくこの部門が不作で、全体的に消去法めいた選出になるのですが、第1位に輝いたのは、もっちー、こと持田ひとみ。
 キャラクターとしてそこまで思い入れがあるわけではないのですが、今作の特に前半において、明日夢が“何故か幼馴染みの美少女に好意を持たれている”点は主人公性を担保する大きな要素の一つとなっており、仮に持田さんの存在が無ければ、明日夢の主人公性はより壊滅的なものになっていたことが想像に難くないので、作品全体として、大きな意味を持ったヒロインポジションだったなと。
 ……まあ、持田さんが居なければ、もっと速やかに明日夢少年がヒビキさんの正ヒロインに収まり、作品の構造がわかりやすくなった可能性はありますが(笑) とはいえ、それは恐らく個人的な好みからはより外れる展開だったので、持田さんの存在があって良かったと思っていますし、最後の最後で、一応のライバル関係にあったあきらとのラストヒロイン力勝負・どっちがさらわれるでショーに勝利したのは、高く評価したい点(笑)
 「だってこの間の、大大大大遅刻から会ってなかったから」
 第2位は、魔戒忍者の宿命に生きる雷牙強火担こと、幻影騎士クロウ。
 ……もともと、本編での活躍は控え目ながら、抜群に格好いい鎧ブーストによりヒーロー部門のランクインは確実視されていたのですが、最終回直前、正ヒロインがコツコツとチャージしてきたヒロイン力を横からかっさらう奸計から、夜の街で主人公とあははうふふチェイスをキめてくれたのはあまりにもポイントが高く、ヒロイン部門でランクインしました!(あれ?)
 本編の方では、最終話において、心滅モードの停止失敗という痛恨の失点によりマユリの正ヒロイン返り咲きを許しましたが、最終話を目前にしたタイミングで、渾身の奇策を放ってゴール直前までヒロインレースを盛り上げてくれた功績を高く評価したいと思います。……いや、空飛ぶ吼狼とか普通に凄く格好良かったのですけどね?
 「……眩しすぎるからさ。なにもかもが」
 第3位は、《スーパー戦隊》シリーズ屈指のモテ力を発揮したダメンズホイホイ、桃井あきら。
 キャラ個人への思い入れはそこまで無いのですが、第2話でシャボンラーによって陶器人間とされたのを皮切りに、とにかく厄介な男を引き寄せてしまう星の下に生まれ、年間通して、メイン回が基本的に“変な男に絡まれる話”を貫き通されたのが、忘れがたいキャラクターとなりました。
 「女の武器は、何よりも……これよ!」
 次点には、凛子さんの猛追を辛うじてかわし、『ウィザード』の正ヒロインとしての仕事をやりきったコヨミ。
 段々と動かし辛くなる・きださんの凛子贔屓・最終盤の大穴、などあって、昨年の時点で期待したほど弾けきれなかった面はあったのですが、最終的に、「約束」を更新する事により“その後”の主人公がヒーローとして生き続けられる行動原理をもたらした点を評価しました。後、最終回の“ドラゴンに乗った王子様”の図が、『ウィザード』の到達点として結構好きで(笑)
 「賢者の石をお願い……晴人が、最後の、希望……」
 それから、劇中に全く登場しないにも拘わらず、確かなヒロイン力を感じさせてくれた雷牙母(『牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』)と、全米を泣かせたリツ子さん(『仮面ライダーアマゾン』)の逆ヒロイン力は、特筆しておきたいと思います(笑)

☆ヒーロー部門☆
1位 ショウマ・ストマック/仮面ライダーガヴ (『仮面ライダーガヴ』)
2位 ザンキ仮面ライダー斬鬼 (『仮面ライダー響鬼』)
3位 操真晴人/仮面ライダーウィザード (『仮面ライダーウィザード』)
次点  筑波洋(『仮面ライダー(新)』)

 第1位に輝いたのは、今年後半にシリーズへの視聴意欲を取り戻させてくれた『仮面ライダーガヴ』から、ショウマ・ストマック!
 ……普段の私の好みからすると、だいぶ毛色の違う第1位となりましたが、しっかりとした行動原理、明確な一線の引きどころ、生き方を常に更新していく前向きな腹筋の強さ……などなど、キャラクターの行動の芯を大事に扱う香村脚本らしい描写が綺麗にはまり、非常に好感度の高い主人公となっています。
 また個人的に、2010年代の《仮面ライダー》シリーズではしばしば、いくらヒーローフィクションの主人公とはいっても、10代後半~20代にしては人間社会に対する反応がピュアすぎでは?? というのが引っかかる事があったのですが、異世界からの来訪者として人間界にピュアな反応を見せる部分を確保しつつ、グラニュート界では家中の悪意に曝されていたので、そういうものが存在し、立ち向かっていかなければいけないものであると知っている(立ち向かっていけるようになった)造型は、言行を受け入れやすい、絶妙な設定となりました。
 それから、ガヴとしてのアクションが非常に良いのは大きな武器で、個人的には近年のシリーズ作品では久々に、戦闘シーンに大興奮しており(回によっては戦闘シーンだけ何度か繰り返して見て動きを確認しているぐらい)、今後も大変期待しています。
 総合力の勝利!
 「守らなきゃな……力があるんなら尚更だ。取り戻すんだよ! ……俺達の“幸せ”を」
 第2位は、鬼として生き抜いた男、ザンキ
 井上脚本との相性の良さもあり、今作終盤はほとんど第三の主人公扱いに躍り出るザンキさんですが、後年『響鬼』が語られる時に頻繁に名前が出るわけだ、と改めて納得。最初はとんだヤクザフェイスにドキドキしましたし、明日夢くんがヒビキさんからザンキさんに乗り換えそうなのもドキドキしましたが、渋く格好いい大人の色気を振りまきまくって素敵でした。それから劇中で、ヒビキさんと歴戦の鬼同士の対等な会話を出来る相手としても、貴重な存在だったなと。
 「教えた筈だよな? 鬼というのは、一つの生き方だと。常に自分に克つ、そういう――生き方だと」
 第3位は、今を生きる魔法使い、操真晴人/仮面ライダーウィザード。
 最終回手前、人柱を巡る致命的失点により株価ストップ安に転落もありましたが、個人的に“一人の為に格好つけ続けるヒーロー”というのはツボであり、そこに“誰かの為に間に合い続けるヒーロー”を組み合わせる事で、「私」と「公」のバランスを取り、最も身近な観客――コヨミ――に対して格好付け続ける事が、仮面を被り虚勢を張ってでも「みんなの希望を守る」事だと構築したのは、非常に好みのヒーロー像でありました。
 作品としては、そのバランスを崩すタイミングが悪くなって最終盤に大穴を開ける事となってしまい、晴人自身の株価も大暴落を引き起こすのですが、ラスト2話において“物に宿った心も救おうとするヒーロー”にアクロバットな着地を見せたのは好感度の回復に繋がり、トドメの王子様ムーヴに、少し騙されても良いかな、と思ったレベル(笑)
 この辺りの紆余曲折と消化については、過去記事〔関節技の魔法使い/とりとめもなく『ウィザード』の話〕にまとまっているので、よろしければご参照下さい。
 またウィザードは、第1位に輝いたガヴ同様、アクションが冴えたのは素晴らしく、インフィニティ登場後は最強フォーム出し惜しみ問題が作劇に歪みをもたらす短所は出ましたが、辿り着いた境地が、鍛え上げた大胸筋によるノーガード戦法、だったのも好きです(笑)
 「だから俺は、自分の信念を貫く。みんなの希望を守る魔法使いであり続ける。……自分の大事な人の為にも……なんちって」
 次点は色々と悩んだのですが……今後への期待も含めて、筑波洋。
 主人公としては基本的に無味無臭な正統派好青年であり、無味無臭すぎて2クール目に入ってもパーソナリティが「天涯孤独」「ハングライダー好き」「空手経験者」ぐらいしかない謎の男になっているのですが、村上弘明ポイントで大幅加点されているのでつまり今年の“顔が好き”枠にして、どんどんメタ次回予告が狂気を孕んだ面白さになっているのは、高ポイント(笑) 個人的には、ライダー腕組み! の路線を強化してくれると無味無臭を越えた何かが生まれそうな気がするのですが、君こそ仮面ライダーだ!
 「よぉ! 俺の相手も世界的になった。今度の敵は南米からの使者だ!」
 なお今年は、仁藤攻介(『ウィザード』)・イブキ(『ヒビキ』)・辛木田絆斗(『ガヴ』)、と、いわゆる2号ライダーポジションに割と好感度が高いキャラが多かったのですが、結果的には票を食い合う形となりました。『ウィザード』の視聴が今年後半だったら仁藤が文句なしだったような気はするのですが、ジワジワいい男になっていく系な事もあり、瞬間最大風速で及ばず……仁藤、ファーストインパクトで見せる如何にもな2号ライダーポジションとして登場しながら、実態はじっくり育てられていく成長系キャラだったのも、『ウィザ-ド』の一つ面白いところでありました。
 それから、曙四郎(『バトルフィーバーJ』)-青梅大五郎(『デンジマン』)は、やがてギャバンに至る俳優:大葉健二の軌跡として、興味深かったです(ホントどんどん演技が良くなっていく)。
 それでは最後に、今年の作品部門!

☆作品部門☆
1位 『仮面ライダーX』
2位 『仮面ライダーウィザード』
3位 『牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』

 今年は正直、一長一短が激しく、総合的な完成度の高さでこれ、といえる作品との出会いは無かったのですが、第1位は、紆余曲折の末、日本生まれのマッドサイエンティスト達が相争う純国産の悪夢に着地した、『仮面ライダーX』!
 メインライターに抜擢した長坂秀佳の早々の降板により序盤から路線変更を迫られると、その後も小刻みなテコ入れを繰り返す事になった作品ですが、結果的にはその落ち着きの無さが物語のテンションを保持すると共に、序盤に散りばめるも消えていったあの要素が生きていればどうだったか……といった妄想の隙間を数多く生むに至り、《仮面ライダー》シリーズの直系ではあるが、数々の新機軸を盛り込もうとした夢の跡に、独特の面白さが発生。
 また、従来の大幹部ポジションとは毛色を変えたアポロガイスト室長、インパクト抜群の大巨人キングダーク、といった敵サイドの工夫も光り、ライドルの導入によって主人公ライダーの殺陣に広がりが出たのも、面白さとなりました。
 物語としては終盤、RS装置編の失速が惜しまれますが、その中でも南原グループを生み出すに至り、とにかく東映マッドサイエンティスト濃度が高く、70年代の渦巻く狂気が破壊力抜群で、今年見た中では最も、何年経っても語っていそうだな……という一作でありました(笑)
 「大変身!!」
 第2位は、巡り続ける輪の物語、『仮面ライダーウィザード』。
 晴人の項目で触れたように、最終盤の大失点は如何ともしがたいのですが、ラスト2話(特別編ではなく)で一定のリカバリーを見せましたし、シリーズの本歌取りを重視し、「ヒーローと怪人」の描写にこだわると、情報のオーバーフローを避けながら、一つの鉱脈を丁寧に掘り下げていったのは好感度の持てるスタイルでした。
 誰も彼もがライダーになっていく事もなく、2話完結形式でゲストとじっくり向き合うスタイルも個人的な好みに合いましたし、主役ヒーローのアクションへのこだわり、どんどんいい男になっていく2号ライダー、「指輪」「仮面」「舞台(ショー)」といったモチーフの使い切り具合、も光り、再挑戦で見て良かった作品。
 「さあ――ショータイムだ」
 第3位は、新世代のガロを主役に据えた、正統派続編『牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』。
 初代から10年、培ってきた世界観を土台に据えて、新たな主人公による現代伝奇異能バトルとしては安定した出来の良さで、1話1話の趣向の凝らし具合も面白かったのですが、縦軸の弱さにより最終盤の盛り上がりが減じてしまったのは、トータルでの評価を下げざるを得ない点。特にキャラクター的な鉱脈に関しては、見えていて“敢えて”掘り下げない作風だったのですが、その割に最終盤はキャラクターの情念を剥き出しにしてこようとするので、作り手と受け手との間にボタンの掛け違いが発生してしまった感があり……一話完結性の重視と、大きなストーリーの盛り上がりの両立の難しさを感じさせる作品となりました。
 コンセプトが出来上がっている強みもありますが、冴え渡るアクション、迫力あるCGワーク、ヒーロー賛歌としての背骨の太さ、といった作品の武器は縦横無尽に発揮されただけに、縦横が噛み合っていればもう一つ二つ跳ねたのでは、と思わせるのが惜しまれます。
 ただ、そう思わせるのはシリーズの積み重ねてきた“力”ゆえであり、《牙狼》シリーズの魅力を、改めて感じた一作でした。
 「我が名はガロ! 黄金騎士だ!!」

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 今年のトピックとしては何はなくとも『ブンブン』大失速になってしまうのですが、シリーズではままありがちとはいえ、抜群に良かった立ち上がりから、2クール目に入ってのコースアウトは残念無念。
 引っ張った末の玄蕃加入が微妙な出来だった流れから、最初のチームアップと位置づけた第8-9話において、“公私の対立”をテーマに据えたいが為に複数の論点ずらしを行ったのが最初の躓きと傷口となり……この時点では私も、立ちはだかるマッドレックスが凄く良かった事もあって及第点は出せるぐらいの評価だったのですが、結局そこで生まれた傷口をケアする事なく、曖昧な設定×説明しないリーダー×問題点の認識がずらされる阿久瀬と未来、を塗り重ね続けてむしろ大きく広げてしまったのが、致命的な壊疽となってしまいました。
 各分野の様々な“プロ”が集まったマルチタスクなチーム、という狙いそのものは良かったと思うのですが、そこに生じる人間関係などを志通りに描けていたとは言い難く、初メインのプロデューサーと、戦隊初参加者を中心とした「チーム冨岡」的脚本陣が悪い方向に化学反応を起こし、当人たちの思うほどに《スーパー戦隊》としては新しくもなければ面白くもなく、限りなく薄まった塩スープと化している状況を把握する視点の無いまま、理想との間に生じているギャップについて軌道修正を行えずに突き進んでしまった印象です。
 来年はなんと、50周年記念作品のメインライターに井上亜樹子を抜擢! こちらも初となるメインプロデューサーが担当するという事ですが(監督はさすがに田崎さんを配置)、良い方向の化学反応が生じてほしいと祈ります。

 ランキングの方を振り返りますと、今年は《仮面ライダー》シリーズ中心となりましたが……あーあーあー……『ウルトラマンブレーザー』を年内に見終わりませんでしたね、反省。
 ……元々そういうところはあるのですが、何かを最後まで追いかけ続けるのが、どんどん下手になっている感。
 反省は来年に活かすとして(地層を成す「反省」……)、個別の部門で見ると『響鬼』が意外と健闘、全体としては仮面ライダーX』逃げ切り! の形となり、神啓太郎のやりきった笑顔 → 鼻吹き矢 → 「アーム爆弾で一緒に死ねぇ!」が、やはり強かったです(笑)
 アポロガイスト室長は、シリーズ全体のくくりで見ても、非常に好きな悪役となりました。
 その『X』はSR装置編の失速、『ウィザード』はゴール手前の大失点、『魔戒ノ花』は最終決戦における諸々の積み重ね不足、と作品部門はいずれも終盤戦に完成度を落としてしまった作品が並ぶ事になりましたが……今年見た作品だと、最終盤に起死回生の一打で最も盛り上げてみせたのは、『バトルフィーバーJ』な気がする事実(笑)
 「バトルフィーバー怪人作戦」は、戦隊シリーズ史に残る名作戦だと真顔で思っています。
 それから、部門化はしなかったのですが今年の特徴としては、「少年よ」(『響鬼』)「デンジマンにまかせろ!」(『デンジマン』)「はるかなる愛にかけて」(『仮面ライダー(新)』)と、やたらと好きなEDテーマの多い1年でありました。
 視聴話数の関係で集計対象外とした『サンバルカン』の「若さはプラズマ」もマイベスト級の一曲ですし、《スーパー戦隊》草創期、宙明サウンドが爆発し始める時期ともいえ、今年の影のMVPは、意外や戦闘シーンに激はまりだったデンジマンにまかせろ!」で。

 さて、振り返ると今年は割と視聴ラインナップが偏っており、
 70年代:『仮面ライダーX』『仮面ライダーアマゾン』『バトルフィーバーJ』『仮面ライダー(新)』
 80年代:『電子戦隊デンジマン
 90年代:『超力戦隊オーレンジャー
 00年代:『仮面ライダー響鬼
 10年~代:『仮面ライダーウィザード』『牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』
 現行作品:『爆上戦隊ブンブンジャー』『仮面ライダーガヴ』
 と……間が少ない!(笑)
 こればかりはタイミングの問題なので致し方ないですが、昭和成分濃いめの状況から、現行『ガヴ』で久々に《仮面ライダー》新作に盛り上がれているのは、大変良かったです。
 くしくも『仮面ライダー(新)』『ウィザード』『ガヴ』と、その時々の位置からのシリーズ初期作品への意識強めの作品が並びましたが、かつて『アマゾン』が切り拓こうとして竜頭蛇尾に終わったテーマ――「仮面ライダー」というヒーローが、改造手術による「死」によって本質的に社会性から切り離されながらも、その社会を自明の理として守ろうとする不均衡を抱えていた点を異邦人の目線から問い直す事――が、長いパスとなって《平成》以降まで届いていた事を実感できたのは、本年最大の収穫といえるかも。
 『ガヴ』はまさにこれをストレートにやる事で、令和の新たな「仮面ライダー」を真っ正面から描き出そうという節が見えますが、ここからどんな物語を紡いでいってくれるのか、本当に楽しみです。

 特撮感想につきましては、近年の集中力と生産力から、今年ぐらいのボリューム感がベースになっていきそうですが、一つの作品の集中的な分析や、逆にシリーズ全体を俯瞰してのあれやこれやとかもやりたいと思いつつ、ひとまず80年戦隊のコンプリートを目指したく、後は配信が順調だと来年中には『ゴーゴーファイブ』の配信がありそうでしょうか。
 特撮に限らず、映画とかはもう少し見たいのですが……。
 勿論、現行作品が楽しく見られるといいなと願いつつ、今年も一年、長文感想と年末長文企画に、お付き合いありがとうございました。
 フィーバー!!