『仮面ライダー(新)』感想・第17話
冒頭、前回のヤモリジン登場が振り返られ、ネオショッカー基地ではプロフェッサー・ドクが、スカイライダーの戦闘データを再確認しながら懸命に電卓を叩いていた。
……電卓を、叩いていた。
ドクの計算を受けたゼネラルモンスターは更なる改造手術を受けて世界最強の体(※個人の感想です)を手に入れており、幹部クラスが変身する強力怪人の理由付けとしては納得できるのですが、現状、ドクを信用できる根拠の方は一つもなくて困ります。
「儂は必ず、仮面ライダーを倒す!」
鉄の爪を掲げて吼えるアイアンクローの姿にサブタイトルが被せられ――
◆第17話「やったぞ! G(ゼネラル)モンスターの最後」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
酷い! タイミングが酷い!
打倒スカイライダーに命を燃やすヤモリジンは、さっそく街へ繰り出すとヤモリ爆弾による無差別爆破をシゲル少年に見せつけ、大幹部退場編という事で、自動車が次から次へと大盤振る舞いで大爆発。
ブランカに惨事を伝えたシゲルはヤモリジンにさらわれ、現場に駆けつけた洋は谷が時間を稼いでいる間に変身。シリーズ定番のメニューでありますが、谷に関しては立花藤兵衛のニューモデル路線に行くしかないと割り切ったようで、基本科学者という事でか控え目だった志度会長に比べて、前線での動きが活発になっていく形に。
ヤモリジンの尻尾鞭はスカイライダーの装甲を易々と切り裂くが、鞭の間合いの内側に入り込んだスカイライダーは連続投げで反撃。だが、ブレイク状態となったヤモリジンに放った必殺のスカイキックはヤモリ分身の術によって回避されてしまう。
「スカイキックを外すとは、恐るべき奴!」
今回もスカイライダーが積極的に敵を讃えていく一方、ブランカにはミニメカヤモリが送り込まれ、ライダーガールズの新たな一員となった沼、ミニヤモリを踏みつけて……爆死?!
直後、いつの間にやら店の奥に待機していたヤモリジンが姿を現すとガールズ2名は気を失い、シゲルを見つけられないままブランカに戻った谷は、沼の死体?を発見。
狼狽する谷は、ずっと店の奥に隠れていたゼネラルモンスターによりガールズの二人ともどもさらわれていき、仮面ライダーを相手にする時は人質が一人だと無視される可能性があるので、複数人を確保した方がいい、と攻略掲示板に書いてありました。
遅れて帰ってきた洋は、荒らされた店内と床に転がりっぱなしの沼の死体?を発見し……1分少々の間に、沼死んだ?! が3連発されるので、ここまでのサポートメンバーの中では、最も印象的なキャラに(笑)
映像的にはどう見ても死んでいた沼ですが幸運にも生きており、恐らくミニヤモリの爆発の瞬間、今回クレジットに名前はあるが劇中に登場はしない今太の魂が、一瞬だけ魔界忍法・笑劇時空を発生させて沼の命を救ったものと思われます。
ありがとう今太、さようなら今太。
死んではいなかったが最初に気絶したのでメッセンジャーというわけでもない沼に代わってネオショッカーから矢文が届けられ……けっこう癖字なゼネラルモンスター。
東映ヒーロー作品に出てくる手書きの手紙のたぐい、割と達筆な場合が多いので、サインペンに適当に書きました感は、かえって珍しい印象です(笑)
闇の中をヤモリ谷へとバイクを走らせた洋は、夜明けと共に到着。
「筑波洋! よぉく来た!」
姿を現したGモンスターは人質の4人を突きつけ……その解放を条件に拘束を受けた洋は、恒例のバイク引きずりの刑。だが、Gモンスターが条件を違えて4人を再び捕らえた事を知ると、怒りのパワーでロープを引きちぎり、覚悟の「変身!!」。
消耗激しいスカイライダーは戦闘員にも苦戦するが、バイクを召喚すると今回も派手なバイクアクションが展開。戦闘員を次々と跳ね飛ばし、人質救出へと急ぐスカイライダーだがそれこそヤモリジンの思惑通りであり、後方からのヤモリ爆弾により一同まとめて大爆死?!
勝利を確信するヤモリジンであったが、立ちこめる土煙が晴れるとスカイライダーは五体満足の姿を見せ……る一方、足下に転がるガールズ2名とシゲルは割と大変な事になっており、仮面ライダー=筑波洋と知ってしまったばかりに、爆死退場処分……?
「計算が……計算が違ったか!」
「ヤモリジン、今ひとつの顔ゼネラルモンスター! おまえの計算には、このライダーのスピードは入っていなかった!」
……え、ええとつまり、最後まで3人をかばおうとせずに、一人だけ、爆発をよけた……?
場の勢いでヒーローとしてだいぶアウトな事をスカイライダーが口走っているような気がするのですが、色々な意味で、煙が晴れたらライダー腕組み! の方を見たかったです(笑)
怒りに震えるヤモリジンと改めての一騎打ちに突入するも、一人だけ離れて捕まっていた谷が人質として全く活用されないので成り行きの盛り上がりに欠け、幹部1号との最終決戦が、ラストで判明するメタ的な事情に強く左右されてしまったのは、残念なところでした。
ヤモリ分身に眩惑されるスカイライダーだが、ライダーアイで本物を見破ると、巴投げ、上段回し蹴り、を次々と叩き込み、トドメのスカイキック!
「仮面ライダー……! 道連れにしてやる」
最後は潔く吹き飛ぶ……事なく、体内に満載した爆薬によりスカイライダーに心中を迫るGモンスターだったが、突然のビーム攻撃により木っ葉微塵に消し飛び、響き渡る不気味な笑い声。
「うぐわはははふふふふふはははは、愚か者は死ぬが良い。ネオショッカーに生きる価値はない。ふふふふふふ」
「誰だ?!」
「ネオショッカーに恐怖の名で知られた魔神提督。仮面ライダー! いずれ会おうぞ。ぶぅふはははは」
今作ここまでのところ存在感の薄い大首領は、シリーズ恒例だった新しい担当者の紹介に出てくる事もなく、魔神ビームを名刺代わりに、新幹部が自ら自己PR。
宿敵ゼネラルモンスターは打ち破るも、新たなる脅威がスカイライダーの前に姿を現し、背後で谷に抱えあげられているシゲルと、その足下に転がるガールズ二人が完全に死んでいる画ですが…………重傷だけど、生きていた。
「全治10ヶ月。当分病院暮らしだな」
洋はガールズ2人に爽やかにお別れを告げ、ここにネオショッカーへの抵抗組織SHCは、完全に解体。
……てっきり、洋が人質となった4人の前で変身するかどうかを迫られるのかと思ったら特にそんな事はなく、拘束を破った後の変身は谷以外にも見られていた気はするのですが、全治10ヶ月と新幹部の登場によりそれどころではない、と有耶無耶のまま処理されてしまい、大幹部退場を盛り上げるよりも、キャスト入れ替えの都合の方を優先したような作りになってしまったのは、残念でありました。
今作最初の大幹部にして、スカイライダーの生みの親の一人ともいえるゼネラルモンスターについては、なんといってもナレーション爆死事件のインパクトが凄すぎて、即座に復活したはいいものの、結局、このインパクトを越える事が出来なかったなと(笑)
そんなわけで、劇中で何をしたかよりも、劇の外で始末されそうになった事の方が印象に残る大幹部となりましたが、次なる魔神提督には、劇中での活躍を期待したいです。
次回――「よぉ! 俺の相手も世界的になった。今度の敵は南米からの使者だ!」
1クールを共に戦ってきた仲間達との別離の直後に、チャンピオンベルトに挑むスポーツマンみたいなノリになっている洋、人の心を確かに残していた筈ながら、これが改造人間の哀しき宿業なのでありましょうや。
「次回、「魔神提督の電気ジゴク大作戦」。痺れるぞ!」
ラストに 余計な 気の利いた一言まで付け加えるようになって謎の面白さが進化していく洋予告ですが、メタ的な事情が露骨とはいえ、二人の若者が悪の組織との戦いで人生を1年近く棒に振るレベルの重傷を負ってリタイアした直後の予告としては、あまりにも突き抜けた明るさにクラクラさせられ……ええ、まあ、いつものアレで締めようと思います――SHCは死ぬ。死ぬために我々は存在する。だが仮面ライダーは永遠である。つまり―――貴様らも永遠である!