『太陽戦隊サンバルカン』感想・第5話
◆第5話「邪悪な太陽神」◆ (監督:小林義明 脚本:上原正三)
見所は、
締めのナレーション「太陽戦隊の活躍で、邪悪な太陽神への生贄は救出した」
に合わせて、夕陽を見つめてシルエットで立つ、嵐山親子(笑)
さすがにあんまりだと思われたのか、後からサンバルカンがすっと出てきて背後で決めポーズを取るのですが、最後にカメラがアップで寄るのは嵐山長官なので、なにこの番組?!(笑)
たぶん今回は太陽戦隊より台詞も多かった娘の方は娘の方で、全身に強風を浴びながら長官と一緒になって夕陽を見つめて仁王立ちする事になり、段々と謎のキャラになっていきます(話の圧縮もあって、調査役としては今のところだいぶ有能)。
ブラックマグマでは初期エゴス怪人のような顔をしたマジンモンガーが生み出されるが、その姿を見たヘルサターン総統は悶絶して走り出すと、太陽の神に助けを求めて祈りを捧げ始め……今回ラストまで見ても全く謎の成り行きなのですが、マグマエネルギーを天井まで注ぎ込んだのに、目当てのモンガーが出てこなかったのでしょうか。
「ヘルサターンよ、眠れる女王を起こすのだ」
ナレーション「機械帝国を支配する、ヘルサターン総統にも、意外な弱点があった。それは、邪悪な太陽神に対する、異常なまでの信仰と、畏れであった」
ヒーロー側が太陽を冠しているのに対して、敵サイドも邪悪な太陽神を信仰している事が明らかになり、邪悪な太陽神の言葉に従ったヘルサターン総統は、前作ラストで「我はまだ本気出していないだけ」と勝敗を有耶無耶にして逃げ出した後、何故か北極の氷の中で眠りについていたヘドリアン女王を発掘。
早速、ブラックマグマ心臓を埋め込んで強引に覚醒させ、まさかの勝手にカイゾーグ手術により生と死のイニシエーションを越え、改造人間として甦ったヘドリアン女王の頭部が……頭部が……パーマに大変身……!!
メタ的には、前作の兜デザインが大きな芝居をするのに不都合だったそうなので、左右の出っ張りを無くす方向でイメチェンをしたのかと思われますが、回路を埋め込んでパーマといえばそれすなわちマーキュリー回路(※参考:『仮面ライダーX』)であり、私の中で、ヘルサターン総統の中身=神啓太郎説が急浮上してきて困ります。
「こんなところでグズグズしてる暇はない。私は復讐せねばならぬ。ベーダー一族を滅ぼした人間どもにな」
決定的な固有名詞は出さずに、地球人類への復讐者として復活したヘドリアン女王は、ヘルサターン総統に持ちかけられた同盟の要請を拒絶するが、人工心臓ヘリオス回路の作用によりブラックマグマを離れられない体になっており、黒太陽のミサを司る役目を求められる事に。
かくして第5話にして、前作『デンジマン』の首領キャラが悪の組織に参加する事となり、言ってみれば前作のバンリキ魔王に近いポジションをヘドリアン女王が務める事になるのはとんだ皮肉になっていますが、テコ入れ追加幹部どころか序盤から組織に組み込まれる優遇処置で、制作サイドとしては前作でヘドリアン女王(曽我町子)のポテンシャルを生かし切れなかった、といったような思いがあったのかもしれません。
…………まあ今後の展開次第では、むしろ3クール目ぐらいで下駄を履いて登場する方が優遇だったのでは……? となる可能性もありますが(笑)
嫌々ながらも黒太陽のミサを取り仕切る事になったヘドリアン女王は、ガチャ運を高める儀式の為に、得意の妖魔術で生贄の女性を次々とさらい、その不審な動きを掴む嵐山長官。
出撃したサンバルカンが怪人と一当たりした後、皆既日食の日に行われる儀式に見当を付けた長官は、儀式の執り行われる島に自ら乗り込んでいくと敵兵の攪乱役を親子で担当し、太陽戦隊の方はもう変身済みの上で潜入ミッションを行うのはパンサーのみという、今見るとだいぶ独特の作劇。
人質救出の為、敵アジトに潜入を図るパンサーが、さらっとバック宙ダブルキックを決めたり、スマートなでんぐり返しで動き回るのは格好良いのですが、戦隊メンバー赤青黄には、台詞らしい台詞も無いまま話が進んでいきます。
パンサーが敵の罠にはまりかけると、待機していた赤青が、人質を救出できないなら儀式ごと破壊すると言わんばかりに洞窟をジャガーバルカンで直接攻撃し……尊い犠牲が3人ほど出るところでしたが、パンサーが頑張って自身と生贄の二人を救出しました!
名乗りを決めて戦闘になると、赤青黄はバルカンスティックからそれぞれの個人技を発動し、
溶解泡を撒き散らすシャーク
地割れを生み出すパンサー
火炎放射するイーグル
いずれも、どちらかというと怪人ぽい(笑)
撮影中、だいぶ海が荒れており、結構な高さの波と、魔神モンガーの攻撃による派手な爆発は、なかなかの迫力。
炎に巻かれたサンバルカンは、パンサーモグラによる地中攻撃から、イーグルが宙に浮かび、シャークは敵と全く別方向の海へと飛び込み、謎すぎる行動に困惑した怪人に連続攻撃を叩き込む事で形勢逆転し、人数を絞った事もあり、戦闘シーンでは3人それぞれの特徴ある見せ場を確保しているのは、今作の良いところ。
バルカンボールが直撃した魔神モンガーが巨大化すると、魔神フラッシュ攻撃に苦しむサンバルカンロボだが、バルカン苦無を飛ばしてひるんだところに、オーロラプラズマ返しで勝利を飾るのであった。
「ぬぅぅ、デンジマンの他に、またしてもサンバルカン!」
「女王、任せておけ! 共に血祭りにあげてやろう」
ヘドリアン女王の口から結局「デンジマン」の固有名詞が飛び出すと、早くもバーのママに貢いでいる会社社長みたいになっているヘルサターン総統は空約束を口にし、邪悪な太陽神が大体サタンエゴス様みたいな感じなので、ブラックマグマは第5話にして、エゴス×ベーダー一族の、ハイブリッド組織みたいになって参りました。
飯塚昭三声の黒仮面×曽我町子、の組み合わせが、個人的にどうしても後の『世界忍者戦ジライヤ』を脳裏にちらつかせて印象が引っ張られておりますが、なんだかだいぶ銀座の片隅に近づいてきたブラックマグマの明日はどっちだ!
あと、次回は太陽戦隊のメンバーに応答と戦闘時以外の台詞はあるのか?!