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帰ってきた『スマイルプリキュア!』

 個人的に、第36話(大変良かった)まで見たところで“元”が取れてしまい、視聴モチベーションが悪い意味でなく水面下に沈んでいたのですが、このほど、太陽戦隊のお陰で帰って参りました。
 輝け! スマイルプリキュア!

スマイルプリキュア!』感想17・君にも見えるプリキュアの星

●第37話「れいかの悩み! 清き心と清き一票!!」
 なにやらまた地上のドラマの影響を受け、生徒会長を闇の権力者と誤解したバッドエンド三幹部が人間に化けると、転校生として生徒会長選挙に立候補。当初は不出馬の予定だったれいかだが、三幹部の出鱈目すぎる公約への憤りから立候補を決断するも、選挙戦で思わぬ大苦戦。
 これまでも、スペックの割にカリスマ性の不足が垣間見えたれいか、潔癖さと自己肯定力の低さが災いして人の心を動かせず、またも進むべき「道」に思い悩み……という筋立てなのですが、ベースがトンデモ選挙ギャグの都合にしても、学校運営に影響する公約に対して教師が無反応を貫く中、一人それに異議を唱えるれいかが生徒達の白けた視線の矢面に立たされるのはあまりにもバランスが悪く、“大人”を介入させないのは作劇として理解できますが、その結果として「学校という舞台で、本来なら“大人”が取るべき責任が、“子供”に押しつけられる構図」が延々と続いてしまったのは、さすがに線の引きどころを間違えた感。
 その為、れいかが“理想を唱えるだけで具体的な道を示せない”自身を克服するといった次元の話ではなくなってしまい、戦闘後に改めて演説を行い、丁寧に言葉を重ねると生徒たちにそれが伝わるのも、劇的な説得力を感じられませんでした。
 ただ、ハイパー投票箱アカンベェ@狼にキュアビューティが言い負かされ絶望からファントムを生みそうになった時、俺たちゃ確かに掃除も勉強も好きじゃねェけどよォ、校内美化の大切さを軍師様に教わったんだぜ! とダメな子カルテットがその背中を押すのは、今作ここまでの積み重ねを活かした逆転の構図で良かったです……だけに、もう少し上手くそちらを活かせなかったかと思うエピソードでありました。

●第38話「ハッスルなお! プリキュアがコドモニナール!?」
 毎度お馴染み魔女の発明品により、プリキュア一同+赤鬼&狼が幼児化し、子供赤鬼&狼のデザインと作画が、だいぶあざとい(笑)
 「子供の姿になっても、あたしたち一応、中学2年生なんだからね」
 「でもなんだか、体が子供になってしまったせいか、心まで子供みたいになって、遊びたくてたまりません」
 精神が肉体に引きずられていき、事態はだいぶ、深刻だった。
 しばらく地面にお絵描きタイムとなった幼児プリキュア一行は、なおの先導で魔女捜しに出発進行するが、見るものに次々と目を奪われて目的意識が長続きせず、事態はだいぶ、深刻だった(……約1名、普段とあまり変わらない気はしますが……)。
 割とヒット率は高い魔女のアイテムが、プリキュアを機能不全に陥らせていく中、大家族で幼い弟妹の面倒を見慣れているなおが姉パワーを発揮するが、ミニ狼&赤鬼と遭遇すると始まる鬼ごっこ。そこに薬を探しに魔女が姿を見せると、たまたま公園に遊びに来ていた人たちが今日も適当にバッドエンドに陥り、毎回毎回のエナジーの集め方(量や質の差異)が雑にすぎるのは、今作の勿体ないところ。
 魔女の一体化したハイパードングリアカンベェと幼児の姿で相対する最大の危機に陥る一同だが、なおの音頭でスマイルチャージを発動すると変身に成功し……幼稚園のお遊戯会モードでスマイルプリキュア
 総員フル名乗りで大きく尺が割かれ、メタフィクション的手法といえますがこれをやるのが一つの狙いだったようで、なりきり逆輸入……? みたいな。
 キュアピースは秘拳グーチョキパーを生み出し、鬼ごっこ大作戦でハイパードングリアカンベェを攪乱した末、またも始まった狼と赤鬼の内輪揉めから解毒剤を手に入れたプリキュアは復活し、見所は、元に戻った途端、(赤ん坊扱いでくわえさせられていた)おしゃぶりをぺっと吐き捨てるキャンディ。
 勝機を逸したドングリはレインボーバーストでさっくり焼却され、夏休み以来とみに、アホの子の重力に魂を引かれ続けているなおが久々に気っ風のいいところを見せるエピソードだっただけに、最終的な解決手段が、なおの言行と関係ない敵方の内輪揉めになってしまのは、お茶を濁すような形になって残念でした。
 帰宅したなおは、久々に弟妹+父との鬼ごっこに参戦するが、半日、背後で鬼ごっこをBGMに聞かされていたと思われる母のカミナリがとうとう落ちて、ほのぼのエンド。
 ……ところで、ほぼモブのクラスメイトにさえ名前が設定されているのに、魔女の落とし物回で定番と化している親切なお巡りさんは未だに「警官」扱いなので、そろそろ名前をつけてあげてほしいです!

●第39話「どうなっちゃうの!? みゆきのはちゃめちゃシンデレラ!!」
 図書館に落ちていた不思議な絵本を手にしたみゆきが、本の中に吸い込まれて悪役令嬢……じゃなかった、シンデレラとなってしまい、それは世界中のありとあらゆる『シンデレラ』の物語と繋がり影響を与えるメルヘンランドの禁書『はじまりのシンデレラ』だったのです!
 メルヘンランドから飛んできたポップに事情を説明されているところに、『はじまりのシンデレラ』を書き換えて、全ての『シンデレラ』をバッドエンドに染め上げようとする3幹部が現れると、解説役のポップ以外、敵も味方も一同揃って『はじまりのシンデレラ』に取り込まれ……始まる、はちゃめちゃシンデレラ。
 大好きな絵本の主役となってノリノリのみゆきの前には、継祖母(継祖母……?)と意地悪な姉1・2役として現れた3幹部がケチな嫌がらせを繰り返し、ポップの早送りにより舞踏会の招待状が届くと、檻に閉じ込められてしまう、みゆきレラ。
 頼みの魔女も既に天井から吊り下げられており、
 「魔法使い役のやよいです……ごめんないシンデレラ、捕まっちゃいました」
 が妙に面白かったです(笑)
 そして舞踏会の夜、囚われのシンデレラと魔女を救ったのは、ネズミとなったあかね&なおと、トカゲ役のキャンディ。解放されたマジカルやよいの魔法により、カボチャの馬車が誕生すると、キャンディは御者に、あかね&なおはウマとなり……
 「なーんでうちらがウマやねん……」
 「まあまあ」
 ……デザインや普段の立ち位置からすると、この二人のどちらかが王子でも良かった筈なのですが、れいかorやよいがウマはなんだかな……という判断が働いたようで、これが筋肉担当の哀しきさだめです。
 ところが、意地悪な姉その1の正体は狼男だったのであり、カボチャの馬車を無惨に破壊されたシンデレラ一行は王宮を前に立ち往生。王宮ではれいか王子が力強く「道」を掲げて謎のポーズを取っており……大丈夫でしょうか、この国。
 れいか王子が、他の招待客を排除した3幹部に追い回される中、みゆきレラは魔女やよいの箒を奪ってまたがると王宮にカチコミを仕掛け、舞踏会で王子と踊る事に成功。示しあわせた茶番でガラスの靴フラグを立てて大団円の道筋を立てようとするが、しぶとい3幹部が掟破りのガラスの靴アカンベェを作り出し、諸々の事情でみゆきがソロ変身する変化球。
 ガラスの靴アカンベェは、フラグを阻止する為に城内を逃げ回ってばかり……と見せかけてキーーックでハッピーに強烈な一撃を叩き込み、ドタバタコメディが主体の回でも、戦闘に入ると割と、お、と思わせるような見せ方があって画が平板にならないような工夫が感じられるのは今作の良いところですが、今回も、上下空間の広さの使い方などが、面白かったです。
 ハッピーのピンチにキャンディがデコルを発動すると支援攻撃を行い、
 「「「飴の、雨……」」」
 「駄洒落かい!」
 あかねのツッコミも、久々に切れ味抜群。
 飴の雨に埋もれてガラスの靴アカンベェが身動き取れなくなったところに、ハッピーは気合いで一人ペガサスから、メガハッピー粒子砲を叩き込んでアカンベェを浄化し、その反動でお城からの脱出にも成功するのであった。
 「シンデレラは、無事12時までに家に帰りましたとさ……がくっ」
 最後の最後で、またも3幹部が妨害しようとするも失敗に終わると、ガラスの靴はみゆきの足に収まり、ハッピーエンドを達成したみゆき達は現実に帰還。
 一人より二人がいいさ、二人より三人四人五人がいい、みんなの力があったからハッピーエンドに辿り着けた、と綺麗にまとめて、オチ。
 3クール目を締めるみゆき回という事もあってか、キーアイテムである「絵本」を主題にして、“楽しい”重視のドタバタコメディ主体で展開しつつ、友情の大切さに着地して綺麗に落とす今作のド正道にまとめ、作画も割と良くて秀逸回でありました。
 次回――誰にでも、たった一つ、大切な宝がある?!