東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   X/Twitter→〔X/Twitter/gms02〕

リスペクトする狼

牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』感想・番外編

牙狼<GARO>-魔戒列伝-』
◆第8話「絵空事/試金石」◆ (監督:阿部満良 脚本:田口恵)
 歴代シリーズに登場したキャラクターにスポットを当てたオムニバス作品という事で、前半の「絵空事」は、3枚目風味の魔戒法師が縁あってちょっと良い雰囲気になった女性に、お仕事の現場を見られて別離するまでを描いた、「いい人なんだけど……」系脇役ラブストーリーで、後半の「試金石」は、毒島vsクロウの激突からスタート。
 「俺に剣を抜かせるとはな――」
 「僕は、あなたを斬る!!」
 「そうこなくちゃ」
 生身バトルに続いて、屋外に飛び出しての呪符と手裏剣の衝突、そして互いに鎧を纏い……そういえば、対ホラーだと基本夜戦になるので、シリーズで珍しいと思われる、白昼の鎧バトル(画面にうっすらとフィルターはあり)。
 ことの成り行きは全く語られないまま死闘が続き……もしかして大師、クロウ秘蔵の雷牙さん 隠し撮り ブロマイドコレクションを、燃えるゴミに出してしまったのでしょうか。
 悪びれない事には定評のあるギルの挑発に乗った吼狼は、翼を広げて空に舞い上がると逆光を背にして太陽アタックを仕掛けるも、空蝉の術に引っかかって派手に自爆する事になり、鎧解除。
 「その甘さ、弱さ優しさ、全て邪魔でしかない。そんな事では、守りし者を、名乗る資格などない」
 「……エイジ!! ……己の欲望の為に犯した罪、消えたとでも思ってるのか?!」
 「まさか。取り返しのつかない、許される事もない、俺はこの罪と、宿ってしまった心の闇と共に生きていくしかない」
 ……なんでさっきから、ちょくちょく節を付けて韻を踏むのですか大師?!
 元老院への反省文も「俺のアカリ、人生の灯り、取り戻したかった、止められなかった、悪かった、反省した、許されない、俺の願い」みたいなノリで提出したんですか?!
 クロウ演じる水石亜飛夢さん繋がりで、脳内でクランチュラさん(『魔進戦隊キラメイジャー』)がマイクを握り始めていて困ります。
 「ならば……せめて僕の手で葬ってやる!」
 再びの生身バトルで毒島を追い詰めるクロウだが、その刃から身を挺して毒島をかばったのは……死んだはずのアカリ?
 「どうした?」
 やたら邪悪な表情で毒島が笑うと、何かを見切ったクロウは、アカリをバッサリ切り伏せ、毒島をグッサリ。
 「……あなたの知ってる、昔の僕とは違う」
 決着が付き、クロウが格好つけて印を組むと周囲の光景が一変し、両者の戦いは、精神世界のものであった事が明らかに。
 クロウは忍者軍団の新たな頭領に指名され、毒島は監獄に収監されており、毒島がクロウの持つ甘さと向き合わせようとしていたのに対して、クロウは戦いを通して毒島の中に残っていた心の迷いを断ち切ったと告げる。
 毒島が浮かべた邪悪な笑みや悪し様な物言いは全てクロウに対する挑発にして挑戦であり、一方のクロウはクロウで毒島の職場復帰の道筋を切り拓こうとしていた……と、師弟の関係と、クロウの成長が描かれ、鉄格子越しに伸ばされたクロウの手を毒島が敢えて払いのけると、男たちはなにやらわかりきった笑みを浮かべてそれぞれの道を再び歩き出し、毒島の脳内アカリさんがサービスで出てきて、終幕。
 本編の成り行きを考えると、最後に登場した幻影のアカリは、毒島が独房生活の中で生み出したエア話し相手であり、やはり、魔戒騎士の精神の平衡を保つ為には、相棒の魔道具が必要です!!
 冒頭、毒島がクロウについて、魔道輪のお守りが外れない坊や呼ばわりするのですが、大師にも、一緒にホラーをディスってくれる魔道輪の相方が真剣に必要だと思います!
 ……真面目な話としては、戦闘中にぶったぎられるだけだとあんまりですし、もしかすると毒島の守護霊化しているのかもしれないアカリさんの幻像が、面倒くさい男どもに保護者スマイルを向けるのは、作劇としても、《牙狼》シリーズとしても、綺麗なオチでありました。
 毎度書いていますが、《牙狼》シリーズは根っこのところで、正邪の別なく、地母神的女神概念が最も偉大で崇高なるものとして存在していると思われる世界観なので。
 クロウと大師の関係性については、やはりもう少し本編で掘り下げておいてほしかった部分でありましたが、その点の不足は制作サイドも感じていた故なのか、両者の過去の繋がりと、大師への懲罰が描かれ、さすがにあのまましれっと旅に出たりしていなくてホッとしました(笑)
 なんだかんだそれなりにクロウは好きだったので見所充分の後日談となり、お薦めして下さったガチグリーンさん、ありがとうございました!