東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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メタルギア ソリッドヒロシ

仮面ライダー(新)』感想・第11-12話

◆第11話「サンショウジン! 地獄谷の脱出」◆ (監督:山田稔 脚本:江連卓)
 「これが皆さんが見たがっていた、オオサンショウウオですよ。サンショウウオは、水のあるところならどこでも、神出鬼没に現れたり、消えたりする事が出来ると言われてるんですよ」
 なに言ってるの洋?!
 優秀なスポーツ中学生たちを次々とさらっていくネオショッカーの改造人間サンショウジンの能力を補強する為なのですが、何故か洋が白衣を羽織っているので、実は生物学を専攻していて専門家らしい学識でも述べるのかと思っていたら全くそんな事がなくて面食らいます(笑)
 実際問題、なんとなくそれっぽいだけで、大学生かどうかも判然としない洋ですが(第4話で、大学に通っている?ような映像があったぐらい)、天涯孤独で趣味:ハングライダー以外は、割と謎の人。
 三人娘の一人が、またも中学生がさらわれたとの情報を洋にもたらし、先日、コブランジンがスーパー殺人軍団を作ろうとしたところ、標的とした達人に敗北を喫して作戦が瓦解したので、今回は中学生を狙う事にしました!
 見学者の一人の弟が有名な柔道選手という事で安否の確認に向かう洋らだが、一足遅く少年はさらわれてしまい、サンショウジンの出現した水道管の中に引きずり込まれた道着の帯が残っているのは、猟奇で印象的な映像。
 「ネオショッカーだ……ネオショッカーの改造人間ならできる」
 洋は久々のハングライダーで戦闘員目撃情報の寄せられた丹沢上空を目指すと、秘境・地獄谷でネオショッカーの地獄キャンプを発見。
 そこではジュニアスポーツ大会を利用した要人暗殺計画の為に、スポーツ少年たちを暗殺者に変えようとするスパルタトレーニングが行われており……今こそ、コブラ催眠の出番なのでは?!
 (今飛び出せば子供たちに犠牲者が出てしまう。なんとしてもみんな無事に助けなければ)
 洋と途中合流した3人娘の一人が見つめる中、恐怖映像として過酷な地獄キャンプの風景に尺が採られ、技術云々よりも精神的に追い詰めて忠実な兵隊に仕立て上げるのが目的なのでしょうが、怪我をして大会に出られなくなったら元も子もない点に関しては、多分ゼネラルモンスターも気付いていません!
 事故の危惧された地雷原突破走は、サンショウジン自らが地雷を踏んでひっくり返った事で中止となり、アジトで酒をかっくらうサンショウジンは、成績優秀者には豪勢な食事を与える事で少年らの競争心と猜疑心を掻き立てようとマネジメント。
 いたたまれくなった柔道少年(成績優秀者)が、監視付きながら外に出て水を飲む事を許可されると、そこで出くわした洋が戦闘員を蹴散らし、少年が強引に逃走を図ろうとしたわけでもなければ、洋が策を巡らせたわけでもない純然たる偶然が突破口になるのが、なんとも締まりの悪い展開です。
 サンショウジンが酒で駄目になっている内に洋は子供たちの解放に成功し、ここから、地獄谷を脱出しようとする一同と、それを阻もうとするネオショッカーの構図となるのですが、中学生の集団トレッキングを延々と見せられても、まあ、面白くはありません。
 少年たちは地獄キャンプで疲弊している設定としても、引率者の頭数の都合により、SHC三人娘の一人・ミチが事前に単独で地獄キャンプまで到達しているのも緊張感を欠き、道中、君たちはなぜ手を取り合って助け合おうとしないのか?! と剥き出しの説教タイムが放り込まれると、雲の向こうから矢的猛がサムズアップを送ってきます。
 艱難辛苦を乗り越え、人里の見えるところまで辿り着くと志度会長らも合流するが、最後尾の柔道少年がサンショウジンにさらわれてしまい、救援に急ぐスカイライダーは、セイリングジャンプからのライダーブレイク!
 「おのれ、仮面ライダー! ネオショッカー・サンショウジン、最後の勝負だ!」
 人質をなんら活用できないままセルフサービスで追い詰められていくサンショウジンが背後からスカイライダーを羽交い締めにすると、戦闘員が崖の上から次々と飛び蹴りを浴びせていくのは面白アクションとなりましたが、スカイライダーに振りほどかれたサンショウジンは、戦闘員の飛び蹴りを浴びてまたも自爆。
 賞味期限の迫る地雷を手に特攻をかけてきた戦闘員が次々と爆死していき、現場に迷い込んできたジャーナリスト今太もついでに爆死……を笑劇時空で回避し、本当に、爆発ダメージを顔が煤だらけで処理されるとは思いませんでした(笑)
 額の三角ランプを明滅させたサンショウジンは、隠し持っていた鞭を振るってスカイライダーに襲いかかると背後から首を締め上げるも振りほどかれ、スカイキックの直撃を受けると自ら用意した電流ハードルに灼かれながら消滅し、カマキリジンに続く、とんだポンコツ怪人でしたが、徹底した自爆体質はちょっぴり面白かったです。
 高熱で意識を失っていた少年はスカイライダーによって救出されると姉と再会し、病床を見舞う地獄キャンプの子供たちで、大団円。
 ナレーション「ネオショッカーの野望から、仮面ライダーは少年たちを救った。少年たちは、仮面ライダーと過ごした冒険の旅を、生涯忘れないだろう。ありがとう仮面ライダー。負けるな、僕らの仮面ライダー!」
 力強くまとめるナレーションさんですが……子供たちの誰一人として、仮面ライダーと会っていないので、ゼネラルモンスター炎上爆死事件に続き、ナレーションさんは別のフィルムを見ているのではないか疑惑が浮かび上がります(笑)
 この時期、《ウルトラ》《戦隊》にも参加している江連さんが初登板となりましたが、スポーツ少年を悪の尖兵に仕立てようとするザ・定食なプロットで、定番アイデア×説教タイムのオーダーだった可能性はありますが、折角の新規脚本家なのに、新味が薄かったのは残念だったところ。
 次回――ネオショッカーのアジトで戦闘員の一人が覆面を取ると洋で、画面の奥に敵がうじゃうじゃ居る状況で平然と素顔のままカメラを向くと、
 「やあ、次はナメクジンとの戦いだ」
 と喋り出す予告は、最高に狂っていて面白かったです(笑)

◆第12話「暗闇のサンタクロース あぁー変身不可能」◆ (監督:田口勝彦 脚本:伊上勝
 クリスマスに浮かれる カップルを次々と爆殺していく 人々を次々と地下にさらっていくネオショッカー。
 父親がさらわれた子供と出会った洋は、地下水道からネオショッカーのアジトへと潜入を図ると、お約束の衣装剥ぎを行って戦闘員になりすまし、ネオになっても相変わらず、セキュリティに問題を感じる制服です。
 広大な地下施設では、さらわれた人々が過酷な労働を強いられ、使い物にならないと判断されると超気持ち悪いデザインのナメクジン(なお今回も、クレジットでは「ナメクジジン」になっていたり)の溶解細胞の実験台として抹殺される地獄絵図が広がっており、囚われの人々を解放しようとする洋の潜入ミッションが、なかなか本格的に展開。
 ネオショッカー空手の訓練風景を目にすると、
 (ネオショッカーもなかなかやるな)
 とついつい呟くステルス洋の潜入劇に、ゲスト父子のドラマがスパイスとして加えられ、潜入のバレた洋は三好流空手で戦闘員を蹴散らすが、通路を封鎖されて閉じ込められてしまう。
 侵入者を始末すべく封鎖ポイントに向かうネオショッカーだが、扉を開けるとそこに居たのは腕組みしながら仁王立ちしている仮面ライダー は、あまり記憶に無い画で面白かったです(笑)
 「あ……か、仮面ライダー!」
 「ネオショッカーの諸君!」
 迂闊にも普通に閉じ込められていたわけですが、堂々としていれば相手が勝手に良い方向に解釈してくれます!
 敵の追撃を振り切り、改造手術室へと潜り込んだ洋だが、ナメクジンの奇襲を受けると、対仮面ライダー用に開発された薬液を浴びて、変身不能の大ピンチ。
 ナメクジパンチの連打を逃れると、とにかく変身モーションを繰り返す事で強引にベルトを回そうとするが空手が足りずに悪の科学の前に敗れ、方針転換した洋は通風口を利用してひとまず囚人たちを救出。
 ……むしろこちらが本題だったのですが、改造手術室を見ると血が騒ぎ、とりあえず壊しておくか、と寄り道したのは秘密です。
 脱出に成功するも、ナメクジ部隊の追撃を受けた洋は変身不可能のままビルの屋上から転落するが、《ライダーに強い風を当ててはいけない》の法則により、風圧で薬液が効果を失うと変身に成功し……ナメクジンくんはこの戦いを生き延びる事が出来たら、30日の謹慎処分の上、資料室で過去の作戦ファイルに目を通してレポートを提出するように!
 尺が余り加減だったのか、通風口を這い回る逃亡者たちに続いて、主題歌インストをバックに戦闘員を蹴散らしていくスカイライダーの場面が割と長めで、物陰から放たれる溶解細胞をかわしたスカイライダーは、しびれを切らしたナメクジンといよいよ一騎打ち。
 空中で交錯すると両者チョップを打ち合っての相討ちとなり、がっくりと膝をつくスカイライダーだったが、勝利の雄叫びをあげたナメクジンの前で再び立ち上がると、空中高く舞い上がってからのスカイキックを叩き込み、逆転勝利。
 背中合わせとなって風の音が吹きすさぶとライダーが膝をつく西部劇の決闘風の見せ方や、致命傷を受けたナメクジンの視界がぼやける主観カットが入ってからの消滅、と妙に力の入った演出でナメクジンが退場すると、洋の仕掛けていた破壊工作により、地下アジトが引くほど大爆発を起こし…………道を間違えて巻き込まれたゼネラルモンスターがまた瀕死の重傷を負っていないか、安否が気遣われます。
 かくして、人々の平和な暮らしの陰で進行していたネオショッカーの活動はまた一つライダーの手で食い止められるが、撮影の都合とはいえ救出できた人間は7人しかおらず、ネオショッカーの邪悪が、スカイライダーの背に重くのしかかります。
 息子の元に帰還した父親は仮面ライダーの事を伝え、こういった“草の根の広がり”により、異形の鬼から英雄へと変わっていく仮面ライダーを丁寧に積み重ねていければ様々な印象がだいぶ変わったと思うのですが、そういった要素は雑な飛躍を繰り返しがちになるは今見ると実に勿体ないところで、その本格的なアプローチはシリーズとしては約20年後を待つ事に。
 決意も新たに次なる戦いへと赴く謎の青年・筑波洋のスキルに新たに《爆破工作》が追加されるが、次回――東京大爆発?!