『仮面ライダー(新)』感想・第10話
◆第10話「見た! カニンガージンの秘密」◆ (監督:山田稔 脚本:平山公夫)
第7話から、劇中名無しでも「ハイカーの男」「ハイカーの女」「トレーナー」など、OPクレジットのキャスト紹介が細かくなっているのですが、
「カマキリジン」(サブタイトル)なのか「カマギリジン」(クレジット)なのか
「カニンガージン」(サブタイトル)なのか「カニンガジン」(クレジット)なのか
割と大事なところが安定しない雑な感じに東映らしさが垣間見えます。
一応、現時点での東映公式資料と考えられる〔仮面ライダーWEB〕の怪人図鑑においては、前者は「カマギリジン」、後者は「カニンガージン」が採用されているのですが、前者のサブタイトルは「カマキリジン 恐怖の儀式」ままなので、もしかすると、ヨーロッパ連絡会議はカマキリジンを送り込んだ筈なのに、船旅の途中でカマギリジンにすり替わっていたのかもしれません。
これでカマギリジンが看板倒れの不良在庫怪人だった謎は解けた……!……?
果たして、本物のカマキリジンはどこに消えたのか……新たな謎が浮上する中、ネオショッカーのカニンガージンは、京浜工業地帯を火の海にするべく、大々的な石油コンビナート爆破計画を進めていた。
ところが地下への爆薬の運搬を小学生に目撃されてしまい、首ちょんぱの危機に陥った少年をスカイライダーが救出。
カニジンが泡を吹いて逃走すると、遅刻の理由を正直に説明するんだ、とスカイライダーの説得を受けた少年は嫌々ながらも登校するが、当然のように理解は得られず世の不条理に涙を流し……カメラは少年の心情に寄り添うのですが、教師側の対応は常識的なので不条理が空回り気味な上、そもそも不条理に行き会ったのは少年が立ち入り禁止の工場跡を通ってショートカットしようとしたからなので、どうにも因果の流れが巧く繋がってくれません。
世界の無理解に対する怒りや憎しみがマイナスエネルギーとなって怪獣を生んだりもせず、放課後になると少年は友人らと共に問題の工場からマンホールを開いて地下へと潜り込み……“大人はわかってくれない”から“少年冒険物”へと接続されていくのですが、そこにスカイライダーをどう組み込むかといえば、冒頭のちょっとズレたアドバイスしかないのに加え、子供サイドからスカイライダー(洋)へのフィードバックがあるわけでもないので、ヒーローが終始、“子供達を救う解決装置”にしかなっていないのが残念。
ネオショッカーに囚われた子供たち共々、コンビナート大爆発まで後5分――オートバイ部隊の妨害とカニジンの陽動を受けるスカイライダーだが、ディメンションアイを発動して敵の居場所を突き止めるとライダーブレイクで倉庫のシャッターをぶち破り、綺麗に茹であがった色の左腕が、ちょっとおいしそうなカニジンと激突。
……いやなんか、やたらおいしそうな色に出来上がっていて、カニ腕。
「必殺・二枚バサミぃ!」
だがその腕は必殺の凶器! とカニの攻撃が迫るが、反撃からのスカイキックでライダー大勝利。セイリングジャンプでコンビナート地帯に急行したスカイライダーは、子供達の悲鳴の元へと辿り着くと、辛うじて時限爆弾の停止に成功するのであった…………チョップで。
……そう、三好先生は教えてくれました。
鍛え上げた空手に不可能はない!!
スカイライダーは子供たちから「仮面ライダーありがとう」の大合唱を受け……とにかく少年たちと洋の関わり方が薄いので、生煮えのメッセージ性をそのまま皿に乗せて出してくるのと同じパターンでの“子供のヒーロー”アピールになってしまい、志度ハングライダークラブ謹製の仮面ライダーPVみたいなエピソードでありました。
次回――「やあ、次はサンショウジンとの戦いだ」
おもむろなシャドー空手から急にカメラに向けて語りかけてくる洋ですが……色々と心もとない洋に芝居の機会とパターンを増やそう、みたいな狙いもあったりしたのでしょうか。
……どうしても、
「さあ、みんなでコンドールマンの歌を唄って、美しい日本を守ろう!」
を思い出して困ります(笑)