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昭和コブラ会

仮面ライダー(新)』感想・第9話

◆第9話「コブランジンの殺人軍団」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝
 ファッション語彙が全く無いので、なんと表現したものやらなのですが……洋の服装が、凄い。
 ……それはそれとして、
 「私と稽古がしたいのか。それとも死合いか?」
 「もちろんのこと――死合いだ」
 見所は、中田博久vs中屋敷鉄也のマッチアップ!
 ネオショッカーの改造人間コブランジン(人間体を演じるのは、歴代仮面ライダーを演じてきた中屋敷鉄也)が、史上最強の殺人軍団を作り上げる為に様々な武術のエキスパートを集めようとしており、サングラスを外すと、両目の周囲が鱗模様、が面白い見せ方。
 コブラサングラスは、目を付けた人物をコブラ催眠により次々と殺人軍団に引き入れると、洋の師匠でもある空手世界チャンピオンの三好を次なる標的に定め、三好を演じる中田博久さん……今回は、善人の役でした(笑)
 古典的道場破りを行うサングラスの男、態度は不遜ながら道場ではちゃんと素足になっており、ゼネラルモンスターの昇格にお祝いの言葉を述べるなど、ネオショッカーは時候の挨拶と礼節を重んじる悪の秘密結社です。
 三好の弟子(今回の、気の抜けた喋り枠)を叩きのめしたコブラ男だが、三好との戦いでは催眠を破られると、引き分け感を出して撤収。
 「コブラ催眠も効かぬ想像以上の腕だ。奴なら使える」
 「……何に使う」
 と、乗り込もうとした車の背後から洋が現れるのは格好良く決まり、今回は全体的に演出が冴えています。
 コブラ男と洋の生身バトルから、スカイライダーになっての一当たりを挟み、なんとしても三好を加入させて殺人軍団を完成させようとするコブラジンは、三好の息子を誘拐するが、それを知ったスカイライダーがセイリングジャンプ!
 ナレーション「仮面ライダーの嗅覚は、コブラ独特の、生臭い匂いを探り当てた」
 前作主人公にあたる城茂がこの辺り好き放題だった事もあってか、視覚・聴覚に続き、嗅覚も強調されたスカイライダーは、車の後ろから飛び出してくるのが癖になってきていたが、少年を人質にされて手も足もせずに逃走を許し、昭和ヒーロースピリットが、まだインストール完了していなかった。
 諸先輩なら、動くなと言われた3秒後には殴りかかっているところです!
 「親というものは、子供には弱い。親は過去、子供は未来。どちらが生きるか。どちらが生きるかとなれば、未来が生きるべきだ」
 脅迫を受けた三好は、子供を救う為に決死の覚悟を固め、それを止めようとする洋の、
 「先生、僕はその未来の為に戦います!」
 は格好良かったのですが、説得は失敗(笑)
 まあ三好が行っても子供を取り戻せる保証が無いなら、洋が行っても取り戻せる保証はもっと無いので当然なのですが、スカイライダーである事は明かせず、話の流れの中で“正体秘密のヒーロー”の立ち位置を再確認。
 洋の制止を振り切った三好は息子を救う為に呼び出しの場所へと向かい、現れたコブラ男は、毒蛇と人質を見せつける。
 「あんたは死ぬ気だ……息子を取り返せば、我々の言うことを聞くより死のうと思っている。コブラ催眠も効かず、死ぬ気でいる男を操るには、息子の命と引き換えるしかない」
 道場では素足・弟子は当初相手にしない・昇格のお祝い、と来て、達人を前に自身の能力の限界を冷静に分析しているコブラ男が、パイロット版を思い出す路線の、割と人間味を見せる怪人で面白い(笑)
 「どうだ、これでも我々の言うことが、聞けぬというのか?」
 「待て!」
 そこへ伏兵としてスカイライダーが姿を見せ、既に三好(大人)にも存在を把握されているスカイライダーは人質の救出に成功。コブラジンは3人に未完成の殺人軍団をけしかけるが、何故、アーチャーを先頭に立たせる。
 実力はともかく、明らかに運用に問題のあった殺人軍団は次々とスカイライダーに気絶させられるが、剣道家の相手をしている内にレスラーとボクサーが三好へと襲いかかり、スカイライダーは戦闘員に囲まれる。
 「三好先生、私はあの怪人を倒します! 先生はなんとか防いで下さい!」
 正体バレすれすれの発言から無茶ぶりが飛び出すが、
 「よし、やってみよう!」
 の一言と共に三好はあっさりとレスラーを昏倒させ、鍛え上げた空手の前に敵は無い。
 戦闘シーンに顔を出したカメラマン・今太は本日二回目の特ダネ絶叫を行い、出番が倍増しても、存在に特に意味はありませんでした。
 戦闘員による地獄のコブラごっこを撃破したスカイライダーは、コブラジンと一騎打ち。顔面への連続パンチから空中高く舞い上がると、「射程が足りない!」になっているコブラジンに容赦なくスカイキックを叩き込み、コブラジン、催眠能力にリソースを割きすぎたのか、微妙な戦闘能力でありました。
 コブラジンが消滅すると殺人軍団は正気を取り戻し、ライフル銃を握っていたり、地面に真剣が突き刺さったりしていますが、三好先生が貫禄で丸く収めて一件落着。
 その光景を確認したスカイライダーは、少年を筆頭に一同に手を振られ、
 「仮面ライダーって、一体誰だろう?」
 と少年の呟きを受けながら身を翻して去っていくと、その背後にあった観音像が全身を見せて映される事で、神仏的ヒーローとしての位置づけが示唆されるのが、最後まで鮮やかな演出でありました。
 ナレーション「三好先生にも、仲良しの良次少年にも、仮面ライダーは、今ひとつの名前は教えられない。しかしそれでいいと、仮面ライダーは思っていた」
 夕陽を浴びながらバイクで走るスカイライダーの姿で、つづく。
 優秀な武道家などを集めて殺人軍団を作ろうとする定番中の定番メニューでしたが、洋の衣装! ライダー嗅覚! 異常に強いゲスト! など、ゲストの存在感と扱いが良い方向に転がったのもあり、色々とぶっ飛んでいて今回は面白かったです。
 演出が冴えていて、締まった画が続いたのもよかったところ。
 なお、画面に映らないところで功績をあげていたのか「昇格」した事になったゼネラルモンスターは、軍服の色が濃い黒からくすんだ灰色に変わった他、肩のひらひら(肩章)が無くなるなど、イメージとしては、よりナチス軍人風味のデザインにマイナーチェンジ。
 昇進に納得するには筑波洋の改造許可を出し、志度博士を捕捉できていない時点でマイナスが大きすぎるのですが、それも書類を改ざんして責任を誰かに押しつけたのかもしれず、手袋を外すと三つ爪のアイアンクローになっているのは格好良くなり(やはり火傷は重かったのか……)、大幹部としての再起に期待したいです!
 次回――「やあ、次はカニンガージンとの戦いだ」
 突然の、洋メタ視点予告で、どうなる『仮面ライダー(新)』?!