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地獄のムカデごっこ

仮面ライダー(新)』感想・第8話

◆第8話「ムカデンジンの罠 謎の手術室」◆ (監督:田口勝彦 脚本:伊上勝
 進堂誠なる青年の改造手術を進めていたネオショッカーだが、手術完了まであと10分のその時、装置の故障により手術が中断。自由を得た半裸の青年は空手アクションを披露しながらアジトを脱出し、それを目にして助けに入るスカイライダーだが、そこにはゼネラルモンスターの恐るべき企みが秘められているのだった……!
 脱走者となった青年は、
 「ネオショッカーに狙われたわけは?」
 「改造人間に何も言うことはない!」
 とスカイライダーにも敵意を向けると協力を拒み、両者のすれ違いと軋轢で気を持たせようとするのですが、メタ的には第4話で“改造人間の悲劇”を主眼においたエピソードをやっている事もあり、進堂が洋の味方(になる存在)と全く思えないのが辛い。あと、演技が辛い。
 やがていざこざを乗り越えた二人は、「洋!」「誠!」と即席の友情を結ぶと、台詞回しのおぼつかない誠がやたら小出しにしてくる情報により、改造手術室のあるアジトにカチコミ。
 だがそれこそがゼネラルモンスターの罠であり、誠の正体はネオショッカーの脱走者どころか暗躍するムカデンジンそのものだったが、スカイライダーは微塵も揺らがない。
 「おまえがムカデンジンと知っていて、誘いに乗った目的は……この手術室の破壊だ!」
 典型的な仮面ライダームーヴで啖呵を切り、罠にはまったと見せて実は計画通りと盤面をひっくり返すスカイライダーですが、いい時の伊上脚本と比べると、丁々発止の罠また罠の打ち合いによる活劇の妙味は薄く、残念ながら伊上先生の筆力がそろそろ限界に達してきていたのが窺えます。
 風見先輩なら勝ち誇った直後に落とし穴に落ちるところでしたが、スカイライダーは手術室の中に結局閉じ込められ、セキュリティによる銃撃と鉄格子の外からのムカデガスに挟まれて結構なピンチに陥るも、勢い余って天井が崩落すると、瓦礫の中からセイリングジャンプで飛び出し、天井を人間ライダーブレイク!!
 脱出に成功したスカイライダーは改めてムカデジンと激突し、戦闘員が連結して繰り出すムカデの舞アタックが、やたら人数を投入する事で、無駄な迫力の電車ごっこに(笑)
 ムカデジンの肩口から伸びる尻尾の操演はなかなか面白く、ガス攻撃を受けるスカイライダーだったが、最後は尻尾を利用してムカデジンの動きを封じるとスカイキックを叩き込み、ムカデジンは断末魔をあげて消滅するのであった。
 「ムカデンジン、口ほどにもない!」
 作戦の失敗したゼネラルモンスターは部下に責任を押しつけると仮面ライダーにラブコールを送り、筑波洋に改造許可を出した判断は間違っていなかったと自己正当化できるぐらい面の皮が厚くないと、悪の組織の大幹部なんてやっていられません!
 進堂=ムカデンジンは見え見えの上で、洋が真相に気付いた理由が全く描かれない・冒頭の手術トラブルが視聴者だけに向けた嘘になってしまっている・主人公も主人公とはいえゲストの演技があまりにもアレ、と三重殺で残念な出来。
 ……手術トラブルに関しては、追跡のリアリティを出す為に関係者全員を騙していたと考えられなくもないですが、無駄な混乱と負傷者を出しただけにしか見えない上に、大首領もそこに加えるリスクが大きすぎて(笑)
 ……失敗した作戦の構想は全て、ムカデンジンが提案したように書類を改ざんしておきました。
 「私は、大首領様まで騙すとは、なんと畏れ多い、と反対、したのですが……ムカデの奴が、いやいや行けるっしょ、ライダー倒せたら、大成功! ドッキリでしたーーー! てやれば大首領もマジ怒りしないっスよー、と、言った、ものですから」
 で押し通す所存です!