『電子戦隊デンジマン』感想・第43-44話
◆第43話「謎なぞ七色レディ」◆ (監督:竹本弘一 脚本:江連卓)
ライダースーツ・野球選手・アラビアの踊り子・水兵・フレンチカンカン風ダンサー・カンフー拳士・西部のガンマン、と冒頭から桃井の七変化が披露され、前半はミラー&ケラーに押され気味だった桃井あきらに、ひたすら色々な衣装を着せていく、割り切ったエピソード。
ミス人魚、ミス紅葉、ミス着物、ミスシャボン玉……いずれ劣らぬ美女たちが次々とステージ上で行方を消す怪事件が発生すると、囮を買って出た桃井はお洒落な衣装(OPのモデルスタイル)で街を闊歩し、シリーズ屈指のモテ力の持ち主である桃井さんですが、そんじょそこらの量産型ミス○○が狙われるのなら、私も狙われて当然という美貌への自意識の高さは、歴代でも珍しいタイプかもしれません(笑)
「マスク……100点。スタイル……100点。プロポーション……100点。ファッションセンス……100点。全部100点だ!」
その背後を尾行する怪しげな男たちがまんまと餌に食いつくと桃井はニヤリと笑い、暗躍する謎の女も姿を見せて桃井を襲撃するが、突然のカンフー桃井がヌンチャクを振り回し、インディアン桃井を前に襲撃犯は逃走。
謎の女――ベーダー怪物・デスマスクラーは、10人の美女の標本をヘドリアン女王の誕生プレゼントに捧げようとしており、残るは2人……。
「とにかく数を揃えなきゃ……質を落としてもね」
「……へっくしゅん!」
「多少悪くてもね」
「はっくしゅん!」
と呟く合間にクシャミするチエコの図が入ったのは面白かったです(笑)
ギャグにされたチエコだが、実は昨年のミス警視庁でありデスマスクラー一味に囚われの身となると、背後の牢屋の中に無表情で座っているミス・○○の皆さんが、なんともシュールな光景。
「おまえ達は私が採集した昆虫よ。ローヤルゼリーを飲んで、美しくなりなさい」
電子戦隊はベーダーの狙いに先回りしようと名だたる美女のガードに東奔西走し、カンフー桃井・ライダー桃井・セーラー桃井が大暴れして(今回は、多羅尾伴内というよりもキューティーハニーでありましょうか)拉致されかけた女性を救うと、ベーダーは続けて女子剣道チャンピオンを狙うが、今度は剣道桃井が助っ人に入り、激しいテンションで始まるチャンバラ立ち回り。
シスター桃井・船員桃井・モンロー桃井と好き放題の末、度重なるデンジマンの妨害に煮え湯を飲まされ続けるデスマスクラーは是が非でも桃井を10人目の標本にしようとデンジマンの分断を計画。
身代金要求をでっちあげて男衆が出撃している間に、デンジマンの保護(デンジランド軟禁……?)を拒否したディスコクイーンの元へと向かった桃井はバニー桃井でディスコへ突入するが、ガンマン桃井が馬に乗ったデスマスクラーに敗北し、とにかく節操が無いというか桃井チェンジ以外の要素は力強くおまけ扱いなのですが、
〔基本的に瞬発力重視のコスプレ回×綺麗さっぱり必然性も仕掛けもない衣装チェンジ×そもそも脈絡に欠けがちな江連脚本〕
が組み合わさった結果、見事なまでに“お題の他には何もない世界”が生じており、軽く4桁を越える《スーパー戦隊》のエピソードの中でも、なかなか類例を見ない味わいになっています(笑)
氷責めで凍結保存の危機に陥る桃井だが、分断作戦を看破した男衆が助けに駆けつけると、ベルサイユの桃井として囚われの女性たちを救出し、見よ! 電子戦隊デンジマン!!
コスプレの流れでピンクはデスマスクラーと激しくサーベルを打ち合わせ、珍しく怪人としっかりタイマンを行うのですが、最終的に追い詰められたところをレッドに助けられ、デンジスティックの直撃を受けた怪人は巨大化。
多彩な攻撃でダイデンジンを怯ませるデスマスクラーだが、パワー充填からの満月斬りで真っ二つにされると、解放された美女たちは、赤城の青空家庭教室で護身術を身につける事になって稽古に励み、相手の目を狙うんだ!
「女の武器は、何よりも……これよ!」
ラストは桃井が連続衣装チェンジを見せ、劇中で行動しないイメージのみのものも含めて、
〔ライダースーツ・野球選手・アラビアの踊り子・水兵・フレンチカンカン風ダンサー・カンフー拳士・西部のガンマン・インディアン・シスター・水兵(男装)・モンロー風・バニーガール・『ベルばら』風〕
合計13のコスチュームを身に纏う(&私服3パターン)、恐らく戦隊シリーズ史上、空前絶後の桃井ファッションショーでありました。
一番印象的だったのは、おもむろにマスケット銃をぶっ放す水兵桃井。
◆第44話「不思議ランプ物語」◆ (監督:竹本弘一 脚本:上原正三)
「いい匂いだ……生きていて良かった、て感じだな」
毎度お馴染み、大いなるアンパン教団の忠実な信徒たる青梅であったが、道で助けた老人からお礼に貰った魔法のランプに夢中になってしまう。ランプの精を名乗る女・アラジンに促されるまま、魔法の絨毯で東京上空をひとっ飛びした青梅は、子供達にもその魔法を披露して、パトロールに遅刻。
「怒ってたわよレッド。当番なのに30分も遅刻だって」
「これを見せれば納得するさ」
青梅を魔法のランプの虜とし、内部に潜んで魔法のランプ詐欺を仕掛けているアラジンラーごとデンジランドに持ち込ませようとするベーダー一族であったが……
「こんな子供騙し、しまっときなさい!」
桃井が問答無用でランプをロッカーに放り込み、プランA、敢えなく失敗(笑)
「アラジンラー、第二戦略に切り替えるぞ」
「はっ!」
作戦のクオリティはともかく、切り替えと立ち直りの速さには定評のあるヘドラー将軍の指示を受けたアラジンラーは、赤城らにランプの効能を披露しようとする青梅の前で敢えて姿を出さず……青梅おまえ、霊感商法に引っかかったんだよ……。
仲間たちから可哀想な生き物を見る眼差しで肩を叩かれ、とぼとぼと家に帰った青梅は、美女アラジンの姿で出迎えたアラジンラーに山海の珍味で籠絡されると、油断しきって妄想にふけっていたところに記憶投射装置を被せられ、デンジランドへの隠し通路を明かしてしまう!
……なおここでベーダーが取るべき最善手は、「用済みになった青梅を無抵抗の内に抹殺」だったのですが、恨み重なるダイデンジン強奪に気が急くあまり青梅を放置してしまう大緩手。
デンジランドのセキュリティにより辛くも侵入を防いだ赤城らは、どうも青梅の様子がおかしいと緑川と桃井に部屋を監視させ、国防の為には同僚の自宅も透視するのがジャスティス、とまたもデンジマンにBF隊の生き霊が憑依してフィーバー!
結果、魔法のランプから飛び出した精霊アラジンがベーダー怪物・アラジンラーである事が確認され、緑と桃は青梅の住まいを急襲。隠密作戦の失敗したアラジンラーはベーダーに一時撤退し、赤黄緑桃が各所のシークレットルートの安全を確認する中、青梅は……アイシーにより監禁されていた。
「このワン公め、ロッカールームまで行かせてくれねぇんだよぉ」
「ロッカールーム?」
「ああ俺さ……アンパンが無いと苛々するんだッ」
アレが無いと大いなる導きの声が聞こえず、俺はどうしていいのかわからぬノダ、と錯乱寸前の青梅の為に、桃井がアンパンの回収に向かう事になり、なまじ演者の身体能力が高い為に、アイシーに懇願してドタバタ転げ回る青梅の姿が、本格的にアンパンの欠乏による禁断症状に見えて困ります。
アンパンは真理、アンパンは道、アンパンこそ一にして全。
「アンパンなんて、そんなに美味しいのかしら。気が知れないわ」
本日は青梅に大変当たりの強い桃井は、アンパンの入った袋を回収してデンジランドに戻るが、ヘドラー将軍のプランCにより、その中に紛れていたアンパンラーは、とうとうデンジランドへの潜入に成功。
煙幕を張ってデンジタイガーの操縦席に乗り込むと、ろくなセキュリティがついていなかったのか、あっさり発進してしまうデンジタイガーだが、さすがにダイデンジンにはセキュリティがついており、労多くして得るものなく、外へ放り出されたアラジンラーの前で、見よ! 電子戦隊・デンジマン!!
散々弄ばれた腹いせとばかりに、アラジンラーに連続逆立ちキックを浴びせるブルーだが、ロープ攻撃で絞殺されかけるとレッドに救出され、怒りのブルー人間大砲を受けたアラジンラーは巨大化。
アラジンラーの魔力攻撃に苦しむダイデンジンだが、無慈悲なデンジ魔法返しによって得意技を使用不能にすると、デンジボールで叩いてからの満月斬りで一刀両断し、恨み重なるダイデンジン入手にこだわったばかりに、敗北を喫するベーダー一族であった。
後日……アンパン頬張りながら美女アラジンの回想にふける青梅にはあまり反省が感じられなかったが、チームメンバーがベーダー怪物の変装にいつまでも精神をやられているのは沽券に関わる、と桃井がアラジンコスプレを敢行すると正気に戻り、野外では、大変寒そうでした。
なお桃井は前回途中より、あまりにも一般市民めいたワンピース風衣装が変更され、下はまっピンクのタイトミニながら、グレー基調の上着を羽織った事で全体が落ち着いた雰囲気にまとまったのが、割といい感じ。
緑川は厚手のフライトジャケット風味を羽織り青梅と黄山はだいたい初期衣装に戻る中、赤城だけジャージ継続なのですが、次回――とうとう赤城が冬服?!