『仮面ライダー(新)』感想・第3話
◆第3話「勇気だ! コウモリ笛の恐怖」◆ (監督:田口勝彦 脚本:伊上勝)
犬が! 犬が溶かされた!
モブ市民の代わりに雑に犬が殺されて始まり、コウモルジンが笛の音で呼び寄せた少女を冷凍してトラックに運び入れるネオショッカーだが、その現場を母親が思いきり目撃。
走り去るトラック後方視点で、カメラを画面手前に向けて引いていく形で移動させながら、トラックを追いかけて走る母親を映すと、その背後から、真っ赤な上着に身を包んだ洋のバイクが走ってくるのが、思い切りのよい映像。
「仮面ライダーがこの世に居る限り、貴様たちの悪事は許さん!」
戦闘員を蹴散らすスカイライダーだが、荷台から飛び出てきた小型コウモリに攪乱されている内にトラックには逃げられてしまい、ネオショッカーは冷凍状態でさらってきた子供達から新鮮な血液を採取し、毒ガスを作ろうとしていた。
……シャドウの怪ロボットばりの論理の飛躍で、一体全体どういうオカルトが持ち出されるのかと身構えていたら、子供の血液には、大人の血液にはないRHBの要素が多く含まれており、それが特殊毒ガスには不可欠な成分なのであった、と一応の理屈づけ。
すごすごと公園に戻ってきた洋は志度会長と合流し、会長は、子供をさらわれたご婦人には大変親身だったが、公園の管理人を名乗る老人には八つ当たり気味の罵声を浴びせていい格好を見せようとし(そもそも、誘拐現場は公園内部では無いのですが)……志度会長の駄メンターポイントが1あがった!
倶楽部に戻ると、女性メンバーが何故か一人増えており……志度会長の駄メンターポイントが1あがった!
キャラの区別もつかなければ素性も不明な女性3人がかしましく騒いでいるシーンは率直に好感が持ちづらく、過去の例から一人でもやがて存在が消えていき、二人での使い分けも上手く行きそうにないのに、どうして3人にしてしまったのか、洋も思わず、力の制御に失敗して灰皿を握り潰します。
自責の念にかられる洋はパトロールに出るが、コウモリジンの笛催眠にまんまとかかってしまい、通りすがりのコメディリリーフの焚いたフラッシュに偶然助けられる不覚。
「コウモルジン……恐るべき敵だ」
調査を進める洋は、問題の公園近くで子供達の蒸発事件が多発している事を突き止めると、いじめられていた弱虫少年と出会って、
「いじめられたら、やり返せばいい」
が炸裂し、矢的猛もそうだそうだと腕組みしながら頷いています。
「臆病で弱虫か……弱っちまったな」
「洋、何しとるんだ」
「じゃ、頑張れよ」
ひ、ひろしーーーーーーーーーーーーー!!
この辺り、若く未熟なライダーなりたてで、70年代の問答無用系ヒーローに比べると高みから説得スキルも低いニューヒーローという意識もあったのかもしれませんが、それにしても、それにしても、苛められている少年と接触してここまで役に立たなかったヒーローもなかなか見た記憶がありません(笑)
そんな少年が、コウモリジンの正体(公園の管理人)と、コウモリ笛によって子供たちがさらわれる現場を目撃すると、洋は、人間誰しも弱虫な面を持っているが、ここぞという時は勇気を出すものだ、と今度こそ説得に成功し、獲得したスキルポイントを即座に消費すると、第3話にして、目撃者の少年を囮に利用。
得るのは勇気、賭けるのは命、と少年は囮役に成功し、正体を曝したコウモリジンに飛び蹴りを入れた洋は変身。戦闘員に囲まれている内に少年をさらわれてしまうが、コウモリジンに一発殴られた志度会長は、いつの間にやら少年の体に発信機を取り付けており、囮作戦は常に二段構えでやるものだ! と、空の向こうで先輩たちも笑顔を浮かべています。
発信機の反応を追ったスカイライダーは、ライダーブレイクにより敵アジトへ突入すると、スカイライダー26の秘密めいたスーパーライトウェイブを発動してコウモリ笛を破壊。
「ライダー、怪人を倒して」
「君の勇気に負けないように、戦うぞ」
命をベットして得た勇気を発動した少年が、鉄パイプによる《破壊工作》に成功して子供達が救出されると、その激励に応えるスカイライダーですが、洋自身の演技がまだつたないのと、子役もさほど上手くない為、両者の絡みが割と多いのは、今回のなかなか辛かったところ。
コウモリジンの空中攻撃に苦しむスカイライダーには、解放された子供たちが声援を送り、細かなテコ入れ策としてままある“唐突にしてわざとらしい「子供のヒーロー」アピール”が第3話から繰り出されてやや困惑するのですが、当時の子供番組を巡る世間の厳しい目線があったようなので、その辺りの影響があったのかもしれません。
セイリングジャンプしたスカイライダーは、コウモリジンのお株を奪う空中攻撃から必殺キックを入れて、大勝利。
ネオショッカーの毒ガス製造作戦は失敗に終わり、少年は、「いじめられたら、(鉄パイプで)やり返せばいい」と学ぶのであった。
…………あれ?
その直後、EDで格好良く「勇敢に戦った男がいた」と歌い始められると、妙にはまってしまうマジック。